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第14節 ジェフ 0-1 徳島 サウダーニャをスタメン起用も2連続完封負け

 前回の更新ではなるべく前向きな話をしましたが、その後はオシム監督のニュースを見るのも辛く、サッカー関連の情報を見る気も起きずに、ネットからも少し距離を置いていました。
yukkuriikou.hatenablog.com
 しかし、さすがにジェフ戦となれば試合を見てブログも書かなければいけないと思うもので、ちょうど連戦だったことも、ブログを書いてきたことにも感謝しなければいけませんね。
 オシムさんの訃報を切っ掛けにサッカーから足を洗うのではオシムさんに顔向けが出来ないですし、オシムさんの愛したサッカーとジェフを頑張って追っていきたいと思います。


 とはいえ、今の選手や関係者に、オシムさんへの気持ちを押し付けるのも違うと思います。
 今のジェフはオシムサッカーを標榜しているわけでもなく、真逆のスタイルになっているわけですし、別物と考えなければいけない。
 しかし、今振り返って見れば当時はサポもフロントも偉大過ぎるオシムサッカーからの卒業を選択したわけですが、それこそが逃げだったと言えるのかもしれません。

 10年以上たった今でも新加入の選手からオシム監督の名前が上がるほど、周囲からは強い印象が残っているのでしょうが、当のジェフにはオシム監督のエッセンスは一切残っていない。
 かといって、新しいスタイルが構築できているわけでもなく、逆にオシム監督の名前を出すと拒否反応を起こす者すらいる。
 もちろんオシム監督のスタイル継続は簡単ではなかったでしょうが、現在の札幌や京都、横浜FCなどが近いサッカーをしているのを見ると、何をやってきたのかなと思ってしまうこともあります。


 とはいえ、一度逃げたものを、今さら追いかけるのは現実的ではないでしょう。
 上記の話はオシム監督離脱直後の問題であって今は別段階に来ており、新たなスタイルを一向に構築できないことが大きな問題なのだと思います。
 オシムさんにも他の人々にも、これがジェフのスタイルだと胸を張って言えるものを築き上げることが必要でしょう。

 オシム監督もチームのビジョンが大切であるとよく話していましたが、改めて現状のチームを見ると、以前から話しているようにやはりスタイルが確立されていない。
 攻撃も遅攻なのか速攻なのかはっきりしないし、守備でもプレスを徹底するのかセットした守備を確立するのかあいまいなところがあります。
 そこがチームに強みを作り切れない原因であり、安定しない要因でもあるのではないでしょうか。

■徐々にジェフが押し込まれるものの動きの少ない前半

 前節大分に0‐3敗れたジェフは福満がメンバー外で、高木と小林がサブに。
 サウダーニャが右シャドー、秋山が左WBで、末吉が右WBに回り、田口もスタメン復帰。
 控えからはダニエル・アウベスが外れて、佐々木が入りました。

 徳島は1トップのバケンガがベンチスタートで、藤尾がスタメンに。
 左SH杉森も控えに回って、ジェフ宇都宮出身の西谷和希が復帰。
 控えGKには、特別指定でジェフに所属していた松澤が入っています。


 2分、ジェフの攻撃。
 右サイドを抜けだした末吉のクロスは精度を欠きますが、秋山が触って田口へ。
 田口がロングシュートを放ちますが、GKスアレスの正面。

 5分、徳島の攻撃。
 スローインの流れから、左SB安倍がシンプルにクロス。
 藤尾が頭で合わせますが、大きく外れます。


 ここから徳島がボールを持つ時間に。
 ジェフは立ち上がりこそ末吉の仕掛けとプレスから押し込んでいきますが、それ以降は守りの時間帯が長くなっていきます。
 徳島はゆっくりとしたパスワークと、西谷の仕掛けからリズムを作っていく。

 22分にはジェフのプレスをかわされ、徳島に逆を取られます。
 レオンソとサウダーニャでプレスに行ったところ、内田がその背後に鋭い縦パス。
 藤尾、児玉と繋いで、西谷が仕掛けてシュートを放ちますが、新井一耀がブロック。


 40分、徳島の攻撃。
 内田からのロングパスを、西谷が受けると中盤にバックパス。
 児玉が受けて櫻井がスルーパスを出しますが、安部には通らず。

 ジェフは徐々にラインも下がっていき、押し込まれる状況に。
 徳島がボールを持つ時間が伸びていきますが、チャンスまでは作れず。
 動きの少ない展開のまま、前半を折り返します。

■後半開始から徳島に猛攻を浴びて失点

 ジェフはHTに、田口を下げて小林を投入。
 後半からジェフは足が止まってプレスにも行けず、中盤がスカスカな状況に。
 一方の徳島は前へ勢いを増して、押せ押せの展開に。

 51分には徳島の攻撃。
 右サイド前方で新井がパスを出し、白井が完全に抜け出しクロス
 西谷がオーバヘッドで狙いますが、ゴールならず。

 54分は徳島の攻撃。
 熊谷のパスミスから、白井が中盤中央を持ち上がってスルーパス
 西谷が左サイドから、シュートを放ちますが枠の外。
 

 59分にも徳島のチャンス。
 安部の中盤からのクロスを、藤尾がヘディングで合わせます。
 フリーの藤尾でしたが、ポストの左。

 その直後、徳島は坪井に代えて杉森を投入すると、そのまま右SHに。
 65分、ついに徳島が先制。
 西谷が左サイドから仕掛けて、児玉が中央へ繋ぎ、白井がシュートを放ってゴール。


 68分、ジェフはレオンソを下げて高木を起用。
 サウダーニャが1トップに入り、見木が右、高木が左に入りました。
 71分、徳島は藤尾を下げてバケンガを投入。

 77分、久々にジェフの攻撃。
 末吉が右サイドで一人をかわしクロス。
 こぼれたところを小林が狙いますが、枠の外。


 80分にもジェフの攻撃。
 秋山からのパスを受けた、高木が仕掛けて3人に囲まれながらシュート。
 しかし、ポストの左。

 試合終盤から徳島にも疲れが見え、ジェフは高木の投入でプレスから攻め込めるようになります。
 83分、徳島は負傷した児玉と櫻井を下げて、石尾と長谷川を投入。
 石尾がCBに入った3バックで、白井と長谷川のダブルボランチになりました。


 88分、ジェフは見木、秋山を下げ、佐久間、風間を投入。
 佐久間とサウダーニャが2トップ気味に張り、高木が左WBに。
 89分、ジェフは鈴木大輔を下げて佐々木を投入。

 95分には、セットプレーからジェフのチャンス。
 右サイドからのCKを風間が蹴ると、高木が中央でフリーになって合わせますが決めきれず。
 0‐1の敗戦となりました。

■迷走しないためにもチームにビジョンを

 昨年からスペイン人のポヤトス監督が就任した徳島。
 リカルド・ロドリゲス監督からパスサッカーを継続したことになりますが、じっくりとしたサッカーを展開してくる印象です。
 その徳島の特徴もあって、前半の動きが少なくなったところもあるのでしょう。

 CBからのミドルパスでリズムを作り、左右へ展開する。
 サイドが駄目なら一度戻して作り直すという、無理をしない選択肢をすることが多い。
 そこから左右に揺さぶり相手を疲れさせたところで、縦パスを供給するという狙いだと思います。


 オシム監督も同サイドでダメならバックパスから展開し、相手を揺さぶることを好んでいましたが、近い意図があるのかもしれません。
 また、徳島の場合は無理をしない展開で、ポゼッション率を高めて主導権を握る。
 そうして、相手守備網に隙が見つかったら鋭いパスを供給し、攻撃に緩急をつけてくるイメージがあります。

 また、粘り強い守備とプレスも特徴で、4‐1‐4‐1で1トップのバケンガや藤尾からしっかりとチェイスにいく。
 そこから相手の攻撃を限定して、インサイドやSHと囲っていくプレスが武器の1つだと思います。
 さらに最終ラインもしっかり粘って、ラインを大事にする統率力なども感じます。


 堅守とポゼッションもあって、徳島は現在J2最少失点の7を誇ります。
 一方で得点力が課題でしたが、ここ数戦は右SHに坪井や藤尾などFWの選手を入れることで、攻撃に厚みが増してきているように思います。
 この日も1‐0での勝利ということで大量得点とはいきませんでしたが、リスクの少ないパスサッカーで思惑通りの試合だったのではないでしょうか。

 一方のジェフは、サウダーニャをスタメン起用しましたが、この日も無得点。
 前半途中までに何度かサウダーニャがキープする展開を作りましたが、徳島は冷静に対処しCBなども無理には前に出ず守備が大きく乱れることはありませんでした。
 結局、サウダーニャがうまくゴール前に侵入する機会はなかったですし、中盤でキープする分には相手も怖くなかったと思います。


 なんどかサウダーニャからスルーパスが出る機会もありましたが、それに反応するのはレオンソだけでは厳しい。
 しかし、前線のサウダーニャが中盤でボールを保持しているわけですから、ゴール前が薄くなるのも当然のこと。
 そこもサウダーニャ起用の大きな弊害となりがちです。

 また、DAZN解説にも言われた通り、前半は見木が目立ちませんでした。
 元々消えることの多いのが見木の課題ですが、サウダーニャを起用するとどうしてもサウダーニャのチームになって、他の攻撃陣が目立たなくなる。
 結果的にサウダーニャが個人技で打開するか、そうでないかで攻撃が終わってしまう状況となってしまいます。


 守備においてはレオンソとサウダーニャで、相手の2CBにプレスへ行くという狙いだったのでしょう。
 しかし、このプレスがかわされる場面も目立ち、前半途中にサウダーニャの後方を児玉に取られてからは、サウダーニャがサイド後方に下がらざるを得なくなった。
 サウダーニャには低い位置から前に出るプレスは厳しく、そこから5‐4‐1で守る時間が長くなって、全体がずるずると下がり、後半から徳島の猛攻を浴びてしまいました。

 好守に弊害が生まれることを予期しながらも、サウダーニャを起用せざるを得ないのは、それだけ他で攻撃を作れないからでしょう。
 しかし、それによって守備にも支障が出てしまうことが多く、結局このチームの根本的なスタイルとは何なのか。
 尹監督にとって譲れない部分はどこなのかという疑問が、見えてしまうところがあります。


 昨年までも戦い方を頻繁に入れ替えてきましたし、どうしても信念が見えにくい印象がありますね。
 そういったチームでも勢いで戦えている時期はいいのでしょうが、一度挫折するとガタっと来てしまうところがあると思います。
 そこに今、ぶつかりつつあるということなのでしょうか。

 チームにビジョンもないし結果も出ないしとなると、頻繁にチームをいじりたくなってしまう。
 チームをいじって運良くはまればそれで良いのでしょうが、毎回そううまくいくとも限らないし、逆に迷走してさらに穴が広がる恐れもある。
 そうならないためにも、改めてこのチームのビジョンとは何なのかを突き詰めて欲しいところなのではないでしょうか。