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下位に2連敗のジェフが3位大宮に挑む

 7月に福岡や琉球など下位チームに勝利し、一時は14位まで浮上したジェフ。
 しかし、8月に入ってからは、同じく下位の鹿児島や愛媛に敗れ2連敗。
 順位を17位にまで下げています。

 以前にも話しましたが、今季のジェフはなかなか上位チームに勝てていません。
 それほどはっきりと、上位との力の差が開いてしまったということではないかと思います。
 それだけに鹿児島戦、愛媛戦は勝ち点を稼ぐ重要な試合だったと思うのですが、勝点1すら拾えずに終わったことになります。


 もちろん順位だけでなく、その時のチーム状況も重要になってきます。
 しかし、鹿児島も愛媛も決してそこまで好成績を上げていたわけではなかったわけですし、叩いておかなければいけない相手だったはずです。
 結果的に下位のライバルである2チームに勝点を与えてしまったことにもなるわけで、ジェフは余計に厳しい状況になってしまいました。

 現在ジェフの成績は7勝6分11敗で勝点30、降格圏内の栃木は勝点23なので勝点7差あります。
 この差から考えるとまだ慌てるような時期でもないのでしょうが、21位の栃木や最下位の岐阜などは補強も行っていますし、20位鹿児島と岐阜は延期試合があって他より1試合多い状況ですから、油断もしてはいけない状況ではないかと思います。
 なお、鹿児島の勝点は24でジェフに勝っていなければ降格圏内にいたわけですから、ライバルに勝ち点を与えたという事実は大きいものだと思います。


 今週末にアウェイで対戦する大宮は、水曜日に行われた天皇杯では神戸に0-4で敗れてしまいましたが、リーグ戦では13勝10分4敗と4つしか負けておらず現在の勝点は49。
 夏には横浜FMからイッペイ・シノヅカ、名古屋から櫛引とJ1から選手を補強しています。
 なお、新井は横浜FMから名古屋に移籍しており、イッペイ・シノヅカとはちょうど入れ違いになっていますが、櫛引とはポジションを争っていたことになります。

 大宮は左WBが固まらなかったところにイッペイ・シノヅカ、CBに怪我人が続いていた状況もあって櫛引を補強。
 チームとして戦い方が明確だからこそ、補強もピンポイントで実行できているのではないかと思います。
 江尻監督と同期にあたる高木監督は今季から大宮を率いているわけですから、江尻監督も時間のせいにはできなくなりつつある状況だと思います。


 大宮は開幕時から戦い方が一貫していて、前回対戦時と大きく変わっていない印象です。
 ここ数戦はファンマではなくシモヴィッチがスタメン出場していますが、その1トップに長めのボールを当ててシャドーが拾って前を向く形が基本。
 そして、シャドーがそこで警戒されたら、WBに展開してクロスという展開を狙っていく。

 また、守備に関しても帰陣が速く、穴なく守ることが出来る。
 もっとも総失点22は柏、水戸、山形に次いで4番目ですし、そこまで鉄壁の守備かというとそういたイメージでもないように思います。
 シモヴィッチやファンマは攻撃面では大事な選手ですが、守備では期待でいないですから、どうしてもそこが課題になる部分もあるのでしょう。


 一方のジェフは、攻守においてサイドの整備をどのようにするのか。
 サイドから守備で後手に回ることが多い印象ですが、どのように守るのか約束事がはっきりしていない印象を受けます。
 前節愛媛戦でも相手のミスマッチにより左WBを捉えきれませんでしたが、大宮も3バックですから明確な対応策が必要だと思います。

 また、攻撃においても前節は右SHに工藤を起用したことによって、右サイドからの攻撃が増えてしまった。
 左サイドに密集して右サイドに展開もなくなってしまったわけですが、結局のところ選手個々の能力によって状況が変わってしまうということではないでしょうか。
 それもチームとして確固たる狙いを作りきれていないから、選手を変えると戦い方も変わり、安定した戦いが出来ていないのではないかと思います。


 4月28日に両チームが対戦した試合は、スコアレスドローに終わっています。
 しかし、チャンスの数は大宮のほうが多かったですし、ジェフからすれば何とか引き分けたといった試合だったはずです。
 大宮としては今度こそ勝ちたい相手ということになるかもしれませんし、何よりも勝点2差で自動昇格圏内の京都を追っている状況ですから、勝点3が欲しいところでしょう。

 4月に対戦した時も話しましたが、意外と差を感じたのはビルドアップの方でした。
 しかし、あの時はどちらも3バックでがっぷりよつの状況でしたが、現在のジェフは4バックですからミスマッチが生まれるかもしれない。
 ミスマッチが生まれるということは攻撃においては相手に混乱を生みやすいが、守備面においては自分が混乱を起こしやすいわけですから、またいろいろと状況が変わってくるかもしれません。


 高木監督のことですし、しっかりとジェフをスカウティングしてきて、サイドやバイタルエリアを積極的についてくるかもしれない。 
 まずはそこにどのような対応ができるのか。
 その上で、どういった攻撃をするのかがポイントとなってくるのでしょうか。

 下位2チーム相手に結果を残せていれば、ここは胸を借りて思いっきりプレーするという流れにもなっていたかもしれません。
 ただ、下位2チームにも勝てず勝ち点を伸ばせなかったわけですから、そういった余裕もなくなってきます。
 1つでも多く、勝点を稼いでいく必要がある状況だと思います。

山本真希が松本にレンタル移籍

山本真希選手の期限付き移籍について(ジェフ公式)

 山本真希の松本へのレンタル移籍が、発表になりました。
 レンタルではありますが、状況やコメントからしてこれでお別れでしょうか。
 これによって米倉含む夏の補強に対しての予算を捻出した可能性もありますが、オフの段階で移籍の可能性はあり得る選手だと思っていましたし、単純に戦力や環境的な問題と考える方が自然な気がします。

 山本は15-16オフにあった、選手大量入替で加入した選手の1人。
 ジェフ加入後3年半後の移籍ということになりましたが、ジェフは15-16オフ以降も入れ替えが激しいため、3年半でも古株となりつつありました。
 確固たる優秀な選手がいないからか、チーム運営がバタバタしているためか、その両方なのかなどいろいろな要因は考えられますが、なんにせよ選手が定着しないのはジェフの大きな問題の1つだと思います。


 関塚監督時代となるジェフ初年度の山本は、主にボランチとしてプレー。
 しかし、怪我もあって離脱期間が長かったこと、長澤が台頭したこともあってポジションを失っていきます。
 結局、2016年は23試合の出場にとどまっています。

 エスナイデル監督になってからは、当初インサイドなどでプレーしていましたが、シーズン前半の出場機会は少ない状況でした。
 しかし、北爪や溝渕への評価が上がらず、右SBが固定されなかったこともあって、右SBにコンバートされ出場機会を得ていきました。
 それでも、その年も怪我などがあり、23試合出場で終わっています。


 昨年も右SBの主力としてスタートしましたが、チーム状況が不安定な状況もあって、ポジションを失います。
 ジェフはこの年もゲリアや溝渕、途中からコンバートされた茶島などで右SBの出場機会を分け合う形となり、右SBを固定化できずに終わっています。
 山本は夏以降出場機会を与えられず、13試合しか出場できませんでした。

 それだけに今季開幕前に移籍する可能性も十分にあるのだろうと思っていましたし、ジェフへの残留が決まったときには驚きすら感じました。
 そして、開幕を迎えたわけですが、予想通りメンバー外。
 それでも第4節の水戸戦の途中から昨年7月以来となる出場を果たしますが、その試合をもってエスナイデル監督が解任となっています。


 ここまでを振り返れば今回の移籍も驚きではないわけですが、江尻監督になって第15節の東京V戦から第18節の鹿児島戦まで、4試合連続で途中出場を果たしています。
 パフォーマンスも悪いものではなかったと思いますし、監督交代によって戦力になる可能性もあるのではないかと思っていました。
 けれども、それ以降は出場機会はなく、ベンチにも入れない状況が続いていました。

 山本はシンプルにパスを回してリズムを作れるだけでなく、ミドルシュートも売りな選手。
 守備においてもフィジカルや高さなどは期待できなかったと思いますが、ポジショニングなどは良くプレスもかけられて賢い守備ができるタイプだと思います。
 また、サイドで起用されたときには、クロスの質も期待できる選手でした。


 ジェフは熊谷や矢田など、確かに技術力はあるでした中盤の選手たちがいます。
 しかし、自らパスを繋いで相手を揺さぶり、攻撃のスタートを作ることが得意な選手は非常に少ない。
 だから、田坂がボランチのゲームメーカーとして、光る活躍を見せたのでしょう。

 相手を完全に押し込めてボランチがフリーな状況になれば、縦パスを出せる熊谷などの良さが打ち出せる。
 しかし、その状況を作るためにもパスを散らして相手を揺さぶらなければいけないわけですが、そういった繊細なビルドアップ能力の高い選手が少ない。
 そこを山本に期待できないかと思っていましたし、途中出場した際などはその可能性も見せていたと思いますが、江尻監督は山本を選ばなかったことになります。


 さらにSB・WBにおいても溝渕などが抜け、茶島などもはまらず候補は少ない状況でした。
 ゲリアも課題ははっきりしているだけに、山本を試してもいいのではないかと思っていました。
 しかし、江尻監督は右SBにフィジカルなども期待していたのか、チャンスは与えられずに終わりました。

 そもそも江尻監督体制になって、よりパスを繋いでいく方向になるのではないかと当初は見られていました。
 それだけに山本も貴重な存在として立場が変わるのではないかとも思っていたわけですが、結果的にそうはならなかったことになります。
 工藤などの起用方法も定まらないし、戦い方もバタバタしている印象がありますから、そうなれば当然選手の評価も安定していかないこといなりますね。


 もちろん山本にも課題はあって、スタミナなどはもう1つだったと思いますし、怪我も少なくない選手ではないかと思います。
 それでもパスを散らせてそれなりの守備もできて、クロスやミドルシュートも狙える選手。
 さらに複数のポジションがこなせる器用さ・賢さも持ち合わせているタイプだと思いますから、所属チームによっては重宝する選手であろうと思っていました。

 しかし、今年昇格した松本とはいえ、まさかJ1に個人昇格することになるとは思っていませんでした。
 考えてみれば右WBなら田中や岩上や溝渕と、ボランチなら藤田や宮坂やパウリーニョと、シャドーなら杉本やパウリーニョや町田と争うことになる。
 ようするに、元ジェフの選手たちとポジションを争うことになるかもしれないわけですね。


 特に溝渕はジェフからのレンタルですので、山本の移籍によってチャンスが遠のくのであればジェフにとっても困りものだと思いますが、現状でもリーグ戦では出場機会を得られていませんから、結果的に変化はないのかもしれません。
 山本は本来使い勝手の良い選手だと思いますから、例え確実なレギュラーにはならなくとも、戦力としてチームを支えられる選手ではないかと思います。
 ジェフとしてはアタッカー優先だったエスナイデル監督から江尻監督に代わったこともありますし、もっとうまく使えた選手なのではないかとも思ってしまいます。

 しかし、監督が起用しないというのであれば、移籍を考えるのも当然でしょう。
 それだけの実績も能力もある選手だと思いますし、反町監督ならこういった地味なタイプの選手をうまく使っていくのではないかというイメージもあります。
 久々のJ1挑戦ということになりますが、チームのJ1残留のために頑張ってほしいと思います。