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岩崎は左SHでスタメン 為田役を継ぐことに?

 開幕戦では途中出場から活躍したブワニカや末吉などが話題になりましたが、スタメンを振り返ると新加入の選手は4人。
 キャプテンの鈴木大輔を筆頭に、福満、岩崎、大槻が先発に選ばれました。
 特にプレーのタスクというか、チーム内での役割という点で、個人的に気になったのが岩崎でした。

 もともと岩崎は前線で起用されるのか、SHで起用されるのか予測しにくいところもありました。
 岩崎は京都橘高で活躍し、京都に加入。
 高卒新人ながら2017年、2018年と主力として活躍すると、2019年には札幌に個人昇格し、昨年は湘南でプレーしますが、J1では2年間活躍できませんでした。


 高校時代の岩崎はFWで、ユース代表でも前線でプレー。
 2017年のU-20W杯では2トップのレギュラーとしてプレーし、2019年のトゥーロン国際ではシャドーで出場しました。
 東京五輪世代ですが、三笘、旗手、小川航基などの1つ下ということになります。

 代表でも期待される選手の1人ということもあって、前線でのプレーを望む声もあるようです。
 しかし、京都時代はサイドで出場して活躍。
 前線ではなかったとはいえ、2017年も35試合出場で2ゴール、2018年も33試合出場で1ゴールと、得点力には物足りなさが残る印象もあります。


 プロ入り1年目を終えた後には、以下のようなインタビューに答えています。

www.soccer-king.jp

高校の時は、プロになっても自分の特長を出して、どんどん活躍していけると思っていたんです。でも実際は、チームの決まり事や周りとの関係もあり、自分の特長を出したいけど、チームの中でやるべきことをやらなきゃいけないっていうのはすごくあります。
(中略)
2トップがツインタワーなので、サイドを持ち上がってクロスを上げるというのが僕の仕事になります。なかなか(中央に)切り込んでシュートを打ったりというプレーは少なくなりましたね。

 2017年の京都と言えば190cmのケヴィン・オリスや闘莉王、イ・ヨンジェなどを前線に並べて、岩崎がサイドを駆け上がってクロスを上げるサッカーを展開していました。
 京都はあそこから、よくこの2、3年で立て直しましたね。


 甲府戦を振り返ると、岩崎のプレーは京都時代にも近いもので、昨年の為田役を継ぐことになるのかなと感じます。
 サイドで開いてプレーすることが多く、高い位置を取って縦の仕掛けを狙っていく。
 6分にも左サイドを仕掛けてクロスを狙いますが、相手の守備にあって止められています。

 昨年の為田はチーム内で、重要な役回りだったと思います。
 劣勢の状態でも為田が縦に持ち込めることで時間が作れるし、良い状態で攻め込めている時もビルドアップの最後の出口となることが多かった。
 ただ、そこからのクロスの質に課題があって、チャンスまでは作り切れないことも多かったですね。


 岩崎もそのタスクを求められているように感じた開幕戦でしたが、一方で本当にそれが岩崎に向いているのかなとも思ってしまいます。
 本来は中央でもプレーできる選手だと思うのですが、為田役ならサイドに張り付くのが基本となるでしょう。
 SHでの起用に問題があるとは思いませんが、もっと中央へも入っていくような動きがあった方が本人にとっても良いのではないかなと。

 もちろん、純粋なサイドアタッカー的な動きが一概に悪いというわけではなく。
 過去の選手を振り返ると、ジェフでは村井や水野、太田や為田などが純粋なサイドアタッカーと言えるでしょうが、彼らはアップダウンが出来てサイドで相手をかわして、クロスを上げるプレーが武器と言える選手たち。
 岩崎は本来より幅広くプレーできる選手なのではないかと思うし、そういった持ち味も活かせるようなチーム状況になってほしいところではないかと思います。


 まだ1試合ですから、シーズンが進むにつれて岩崎のタスクが変わってくることも考えられるでしょう。
 あるいは、末吉あたりが為田役を任されることもあるのかもしれません。
 または、岩崎自身もサイドアタックに専念した方が、良さが出せるという状況になる可能性もあるのでしょう。

 ただ、岩崎も22歳ということで、プレースタイルを固める上で大事な年代に入ってくるのではないでしょうか。
 チームのために選手が慣れない仕事をこなすことも珍しくはないですが、出来れば選手の持ち味も出せる状況を作るのが理想と言えるはず。
 開幕戦ではまだSHの選手選択とタスクがハマり切っていなかったように見えますし、第2節以降もSHのポジション争いとプレー内容は見どころとなるのではないかと思います。

戦術面でも大きな貢献をもたらした高卒新人ブワニカ

 今年修徳高からジェフに加入したFWブワニカが、開幕戦で早速ゴールを決めました。
 ジェフで高卒新人FWが開幕戦ゴールを決めたというと、城彰二を思い出します。

 ただ、プレースタイルでいえば、どちらかといえば巻に近いでしょうか。
 巻もブレイクした2004年は、開幕前から練習試合で結果を残して、チャンスを掴み取った経緯があります。
 ブワニカも今年の練習試合でゴールを決めていますし、当時の巻を少し思い出しました。 


 ジェフへの加入が決まった昨年10月には、サカダイに以下のような記事が出ていました。

www.soccerdigestweb.com

「技術とスピードは高校3年生の先輩に比べるとなくて、ヘディングでも勝てなかった。自分は何も武器がないと感じた。『何ができるかな』って思って、一番早く身に付けられる武器を考えた。それが持久力だったんです」

 続いて、12月にはゲキサカにもこのような記事が出ています。
web.gekisaka.jp

2年時冬に千葉へ練習参加した。すると、「下手くそだったので走りまくろうと思って、練習の紅白戦で走りまくっていたらユン(尹晶煥)さんに気に入られて」
(中略)
千葉からは「人間性が一番評価されていると言われました」とブワニカ。

 186cmという身長もあり身体能力が高いタイプで、将来性に期待して獲得したのかなと思っていたのですが、いきなり開幕戦でデビュー。
 しかも、ゴールという結果まで残しました。

 足元でもしっかりボールを捌いていましたし、本人が言うほど下手な印象はうけませんでした。
 しかし、自分は下手だと自己分析をした上で、頑張って練習をし運動量豊富に走り回る。
 明るくて真面目な性格も含めて、ジェフサポに受けるタイプの選手ではないでしょうか。
 

 ブワニカは戦術面においても、非常に大きな貢献をもたらすことになったと思います。
 開幕戦前半のジェフは甲府のプレスをかわせず、DFからFWにロングボールを蹴り込む展開となっていました。
 しかし、苦し紛れのロングボールだったため質も低く、大槻、船山はそこまで高さはないだけに跳ね返されるケースが目立ち、長身FWがほしいと感じる展開だったと思います。

 ただ、例え長身FWでも機動力がなく守備に課題があると、そこから相手に攻撃を作られ押し込まれてしまう。
 全体が押し込まれれば、長身FWがロングボールを落としても周りがフォローに行けずセカンドボールを拾えない。
 大槻は守備においては貢献していましたし、課題ばかりではなかったと思います。


 この傾向は昨年も感じましたし、今オフはターゲットになれて守備もできるCFが欲しいところではないかと思っていたのですが、それを実行できたのがブワニカだったということになると思います。
 献身的に守備に走れて、体を張って浮き球のターゲットになっていただけでなく、ボールキープの面でも健闘。
 さらに、ゴールまで決めたわけですから、言うことはないと思います。

 ただ、後半はブワニカが戦術的な軸になっていたからこそ、不安に感じる部分もありました。
 戦術的な軸ということは、その選手がダメならチーム全体もダメになるし、相手チームもそこをわかって徹底的に消しに来る可能性がある。
 その立ち回りを高卒新人のブワニカに頼っては、ブワニカ自身も潰れかねないと思います。


 昨年、高卒新人だったソロモンもデビュー戦でゴールを決める活躍を見せたわけですが、同じようにロングボールのターゲットとなって、攻撃の軸となっていました。
 しかし、ソロモン頼りになっていた試合もあり、相手のマークが厳しくなって徐々に活躍できなくなっていった。
 結局、昨年ソロモンがゴールを決めたのはそのデビュー戦と、出場3試合目にあたる甲府戦のみで、その後ゴールはなく出場機会も減っていったことになります。

 若手を育てるためにも若手がのびのびとプレーできる環境づくりが必要だと思いますし、そのためにも個々に頼るのではなくチームとして戦えるようになりたいところ。
 特にビルドアップに関しては大きな問題を感じましたし、長身FWに依存する形からの脱却が求められるのではないでしょうか。
 プレスに関しても、連動して組織的にプレスをかけるという点で課題があるように思います。


 それと共にシーズン全体で考えると、川又がどこまでやれるのかも大事になってきそうですね。
 当面、ブワニカは途中出場で起用した方が、良さが出るのではないかとも思います。
 また、開幕前に少し気になる記事が出ていて。

www.chunichi.co.jp

ハードワークが要求される守備面の適応も順調だ。始動日こそ走力系メニューに「きつかった」と苦笑いしたが、練習試合では最前線からハーフウェーラインを越えて守備に戻る場面も。DF吉田豊は「あんなに守備をしてくれるんだと驚いた」と語った。

 名古屋もフィッカデンティ監督が就任して守備的なサッカーになっていると思うのですが、そうなると前線からの守備が重要となるのでしょう。

 そして、尹監督時代のC大阪も柿谷や杉本の守備力があって、成り立っていたところがあるのではないでしょうか。
 柿谷と杉本なら高さもあるしテクニックもある上、守備でも貢献できる。
 さらに中盤も水沼、清武、山口蛍、ソウザといたわけですから、チーム作りも楽だったのではないかと思います
 

 J2とJ1の選手の違いも、総合力の部分が大きいのではないかと思います。
 一芸だけならJ2の選手でも凄いものを持っているけれど、課題が多い選手が目立つ。
 そのため、安定感のない選手になってしまうし、チームもピーキーになってしまう。

 しかし、ないものねだりをしても仕方がないわけで、チーム全体で助け合って戦える状況を作らなければいけないはず。
 それと同時に選手個々も苦手なものを克服して、総合的に強い選手になっていかなければいけないのでしょうね。
 少なくとも開幕戦でのブワニカは攻守に戦えていたわけで、そのポテンシャルは持った選手ではないかと思いますから、じっくりと育っていってほしいと思います。
 とはいえ、開幕戦で結果を残せたとはいえまだ1試合45分の活躍ですし、あまり持ち上げず冷静に見守ることも大事ではないでしょうか。