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第12節 仙台 0-2 ジェフ 中央での縦パスからゴールを奪い接戦をものにする

 仙台対ジェフ戦は、お互いにプレスの意識の強いチーム同士ということもあって、激しい試合になりました。
 2‐0でジェフが勝利しましたが、仙台にも決定的なチャンスを2度、3度と作られる展開でした。
 ジェフも粘り強く守ったとはいえ、GK藤田のファインセーブもありましたし、スコアは出来すぎな気もします。

 特に後半は仙台が押し込み続けた試合でしたし、この日もジェフはプレスがはまり切らなかった。
 相手の左右への揺さぶりも効いていましたし、後半からは中盤でパスを通されることも増えてしまった。
 ジェフも悪い試合ではなかったとはいえ、苦労の時間帯の多い試合でした。


 それでもジェフが勝利できたのは、攻撃面での差が大きかったのではないかと思います。
 試合前にも話しましたが、今期の仙台はコンパクトな守備を形成していますが、攻撃面では課題も多い。
 素早くパスを回すという意識は感じますが、タメを作ったり、変化を作ったりといった展開は課題で、最後のところでの精度ももう1つな印象です。

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 一方、この日のジェフはサイドだけでなく、中央での縦パスも織り交ぜて攻撃を作ることができた。
 そこからゴールも生まれたわけで、より決定的な攻撃が仕掛けられていたように思います。
 前節秋田戦などはサイド一辺倒な攻撃で追加点が奪えずに終わりましたが、この課題が改善されたというのであれば、今後にも期待できるのかもしれません。

■一進一退の展開からジェフが先制ゴール

 ジェフはスタメン継続。
 サブからは風間、林が外れて、呉屋、米倉が復帰しました。

 仙台は中島が控えに回り、オナイウ情滋が右SHでスタメン復帰。
 郷家が前線に移りました。
 ボランチも工藤に変わって、開幕後に加入した松井が入りました。


 5分、仙台の攻撃。
 右サイドから、オナイウのロングスロー。
 こぼれたところをファーの郷家が狙いますが、枠の外。

 10分にはジェフの攻撃。
 右後方から高橋のアーリークロス。
 小森が頭で狙いますが、GK林がセーブ。


 15分には仙台のチャンス。
 長澤が横山から、ボールを奪ったところからの攻撃。
 相良が品田をかわしてシュートを放ちますが、ゴールの右をそれます。

 前半序盤は一進一退の展開。
 どちらもプレスの意識が強い、コンパクトな守備を展開していきます。
 そこからサイド攻撃からチャンスを狙う流れに。


 33分、ジェフが先制。
 鈴木大輔、品田と縦にパスをつないで、小森がキープから右サイドへ。
 田中が左足でクロスを上げると、田口がニア飛び込んでゴール。

 36分、ジェフは鈴木大輔が負傷交代で、メンデスを投入。
 その後もお互いに激しい展開が続き、46分には仙台の攻撃。
 右奥のオナイウのクロスから郷家が頭で狙いますが決まらず、1-0で折り返します。

■仙台に押し込まれ続けるも2‐0で勝利

 後半から、仙台は中山を下げて中島を投入。
 47分、仙台の決定機。
 オナイウからのクロスをメンデスの後ろで完全にフリーになった郷家が頭で狙いますが、GK藤田がファインセーブ。

 52分にはジェフの攻撃。
 カウンターから小森が受けて、左前方へ展開。
 椿が受けてシュートに行きますが、GK林がセーブ。


 63分にも仙台の決定機。
 オナイウが縦にパスを出すと、高田がキープして再びオナイウへ。
 ポケットをとったオナイウがラストパスを送ると、中島が合わせますがゴール右隅をそれます。

 後半に入ってから、仙台が押し込む時間帯が続きます。
 64分、仙台はオナイウを下げて名願を投入し、相良が右SHへ。
 ジェフも田中、椿を下げて、岡庭、ドゥドゥを投入。


 74分、仙台は高田を下げて、真瀬を投入。
 その直後にも仙台の攻撃。
 中島のスルーパスを受けて右サイドを抜けた真瀬がラストパスを送ると、長澤がシュートに行きますがジャストミートせず。

 劣勢だったジェフですが、78分に追加点。
 メンデスのブロックから横山がボールを受けると、中盤から左前方へ長いスルーパス。
 これに反応したドゥドゥが合わせて2-0。


 その後も、仙台がせめてジェフが守る展開。
 80分、ジェフは小森、品田を下げて、呉屋、小林を投入。
 86分、仙台は長澤を下げてエロンを投入し、中島がボランチに。

 90分にはジェフの攻撃。
 田口からのカウンターで呉屋、ドゥドゥとつなぎ最後は岡庭へ。
 しかし、岡庭のシュートは決まらず、オフサイドの判定。

 その後も仙台は攻め続け、最後はパワープレー気味に放り込みますがゴールは生まれず。
 ジェフが2‐0で逃げ切りました。

■中央での縦パスからゴールを生んだ試合

 前半から一進一退の展開ではありましたが、仙台のほうが優勢かなと感じました。
 いずれもプレスの意識が強いチームですが、ジェフは人に食いつく意識が強く、仙台のほうがポジションバランスを考えた守備に行くスタイル。

 その流れで、仙台はうまくボールを左右に振って、素早くパスをつなぎジェフのプレスをかわしにいった。
 ジェフはバランスを崩してでもプレスに行く形なので、大きな展開で交わされるとスペースができがちで、そこから攻め込まれていきました。
 守備バランスという意味では仙台のほうが上手で、後半相手に押し込まれたのもそこが要因といえるでしょう。


 ただ、大きな展開や素早いパスワークにこだわるチームにありがちですが、仙台はその分ミスも増えてしまう。
 前線中央でタメが作れないことも多く、素早くつないで勝手にパスをひっかけてしまうことが多かった印象です。
 攻撃の変化も少なく、リズムが変わらない分、ジェフは守りやすかったところがあったと思います。

 さらに後半からはジェフを押し込み、ボールを握る時間が長くなっていきましたが、攻撃に迷いがあるのか足を止めてしまう選手も多かった。
 サイドからの展開が多かったことも、ジェフとしては対応しやすかったのではないでしょうか。
 決定力にも課題があり、やはり攻撃面に関してはまだ課題がありそうな印象でした。


 一方のジェフもその仙台に対して、粘り強く守っていたと思います。
 とはいえ、サイドを突破されることがかなり多かったし、後半序盤は2度3度と決定機を作られていました。
 GK藤田に救われた部分もありましたし、完璧な守備とは言えなかったと思います。

 ジェフとしてはゴールを決めたタイミングもよかったと思います。
 まだ均衡状態でどちらに流れがわからない状況だった、35分の先制ゴール。
 さらに劣勢状態が続いていた78分に2点目のゴールを決めたということで、どちらも試合の流れにおいて大事な時間帯だった印象です。


 この日は序盤からGK藤田や鈴木大輔からの中央への縦パスがありましたし、中央も攻め込むという意識があったのかもしれません。
 そして、先制点では前線中央の小森への楔のパスから、サイドへ展開してのクロスボールからゴール。
 一度DFラインを中央に寄せたことで、中と外で揺さぶってゴールが決まった形でしたし、理想的な展開といえるのではないでしょうか。

 先日のU-23日本代表もカタールに退場者が出て、右サイド一辺倒の攻撃になってしまいましたが、ゴールが決まったのは中央の縦パスから細谷が抜け出して決めたものでした。
 もちろんだからと言って強引な中央攻撃ばかりが良いとも思いませんが、サイドばかりではこの日のジェフのように対応がしやすい。
 怖がらず中央もつくことで、より決定的な攻撃を作れるチームになってほしいですね。

第12節 仙台対ジェフ プレビュー GW初戦は森山佳郎が指揮する堅守の仙台戦

 まず業務連絡。
 今年のゴールデンウィークは、今週末の前半に帰省することになりました。
 そのため、明日からの更新は未定となりますので、よろしくお願い致します。

 さて、GWのJリーグは、恒例の連戦ということになります。
 ジェフは明日4月27日(土)に仙台、5月3日(金)にいわき、5月6日(月)に横浜FCと対戦。
 しかし、ジェフのホームフクアリでは今年もJAPAN JAMが開催されるということで、ホームゲームはフェス最終日翌日の横浜FC戦までありません。


 明日対戦する仙台は、今年から森山佳郎監督が就任。
 広島ユース黄金期の監督として有名で、U-17日本代表も指揮しました。
 昨年仙台に加入した元川崎強化部長の庄子春男GMが、招聘した監督ということになると思います。

 森山監督が就任した仙台は、4-4-2の非常にソリッドなチームとなっているイメージです。
 前線から組織的なプレスを敢行し、最終ラインも高いアグレッシブな守備を作り上げています。
 前後左右にコンパクトな守備ボックスで、運動量や球際の激しさを求めている印象です。


 ボールを持つと、タッチ数の少ない素早いパスワークが特徴となっています。
 後方からでもショート、ショート、ロングといった基礎的なボールの動かし方で、パススピードも重視して素早い展開で相手を交わしていく狙い。
 そこから前線やSHを走らせる攻撃が、メインのパターンとなっているように感じます。

 守備に関しては11試合で9失点しかしておらず、J2でも4番目に少ない数字に。
 しかし、攻撃面においてはここまで12得点しかあげられておらず、7番目に少ない数字となっています。
 組織的な戦い方での堅守を構築していますが、攻撃に関してはまだ細部が詰められていないのかなといった印象もあります。

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 しかし、前節清水戦では2点を奪うも、3失点を浴びて敗戦。
 仙台の高いDFラインの裏を取られる形での失点もしており、新チームも10戦を越えて相手に分析され、弱点を狙われ始めたのかもしれません。

 なお、仙台はジェフでもプレーした長澤が、ボランチとしてレギュラーで活躍。
 ただ、昨夏町田へレンタル加入してJ1昇格の立役者となった川崎MF松井が、今季開幕後に再レンタルで仙台へ加入となったので、今後は長澤のライバルとなるかもしれません。
 また、元ジェフFWオナイウ阿道の弟であり、新医大で小森と同期だったオナイウ情滋も活躍しており、前節清水戦でプロ入り後初ゴールを決めています。


 ジェフとしては、前節秋田戦に続いて堅守のチームと戦うことになります。
 前々節大分戦も含め、4-4-2の守備ブロックを敷くチームとの連戦ということにもなります。
 それぞれスタイルは異なる相手ですが、後方で左右にパスを展開しつつ4-4-2の外を狙って、サイドや裏を狙う攻撃が基本となっていくのかなと思います。

 ただ、大分戦も秋田戦も攻め込む場面の多い試合ではありましたが、どちらも得点は1ゴール止まり。
 相手の弱点を突くのはいいのですが、より相手にとって嫌な決定的なエリアも突かないと、なかなかゴールは生まれていかないのかもしれません。
 Yotubeでも話しましたが。

www.youtube.com

 意外にもエスナイデル監督時代のジェフを、思い起こさせるサッカーになりつつあります。
 あの時も4-1-2-3のサッカーで、後方からサイドへの大きな展開が非常に多かった。
 それによって攻撃回数は増えるし、うまくはまれば爆発するのですが、後方を固められたりサイド対策をされると途端に弱くなっていた印象です。

 また、現在のジェフはハイプレスからのハーフカウンターがうまくはまらないこともあって、リトリートの時間が増えています。
 それ自体は悪いことではないと思うのですが、その分得点力不足に陥っているのではないかというお話もしました。
 この辺りの細かな話に関しては、ぜひYoutubeの方もご視聴ください。

 チームの進歩という点で総合的に考えると、足踏み感も漂う雰囲気になっているようにも思います。
 改めて良いサッカーは出来ていたとしても、勝たなければ未来はない。
 そこが大きな壁ではないかとも思いますし、強いチームに進化できるように頑張ってほしいですね。