試合後にも話しましたが、藤枝は守備時に左シャドーとも言える千葉が攻め残り、5-3-2にも近い状況で戦っていきました。
しかし、その守備がはまらず、特に後半は攻勢を取れたジェフが、サイドを取って優位に進めた試合だったと思います。
もっともわかりやすかったのが、49分のシーン。
後半初めから左CBに入った山越が、左SBに移った佐々木にパス。
佐々木は裏を通すスルーパスを出し、椿が抜け出してラストパスを送ると小森が合わせますが、オフサイドの判定で終わっています。
図にすると、このような感じで。
白い矢印で示した通り、右シャドーの浅倉は佐々木のプレスに行ってはいます。
しかし、守備時の藤枝は5-3-2気味の状況が長いため、浅倉は右ボランチにも近い立ち位置で中盤の守備に加わっていました。
そのため、SBまで守備に行くには長い距離を走る必要があって、佐々木へのプレスが間に合っていない。
そこから佐々木にサイドを走らせるパスを出されたため、ピンチに陥ったシーンだったと思います。
さらに、中盤では浅倉が前に出ていったのをエドゥアルドが見て、浅倉の裏でパスを受ける動きを見せています。
そのため右CB久富は、エドゥアルドについていくために前へ。
しかし、そうなると、今度は最終ラインが1枚少なくなってしまいます。
そのスペースを埋めるように、右WBモヨがカバーに入るため、走り込んでいった椿の守備に少し遅れる形で対応することに。
それによって椿が前を取って、チャンスを作れたシーンだったと思います。
最終的にはオフサイドだったため、ゴールとはなりませんでしたが、惜しいシーンが作れています。
左右は異なりますが、このシーンに近い形がジェフ2点目のゴールだったと思います。
高橋の横パスを受けた松田からのダイレクトパスで、田中が裏を取って小森がゴールを決めた場面。
#10月26日 #第36節#藤枝MYFC
— ジェフユナイテッド市原・千葉【公式X】 (@jef_united) 2024年10月26日
ゴールシーンをPLAYBACK🎥
65分#小森飛絢 選手のゴール⚽️✨
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松田のパスと田中のスピードが光ったシーンではありますが、この場面では藤枝の左右シャドーが入れ替わっていて、千葉が右、浅倉が左に移っています。
その浅倉が5-3-2の左MFに近い位置から、斜め前の高橋へプレスにいくも間に合わず。
浅倉が前に出ていたっため、中盤右に開いて行った横山に、左CB鈴木翔太が前へ出て対応しようとします。
松田はそのスペースを逃さず、スルーパスを出します。
これが左WBシマブクと、中央CB川島の間に通ると、田中が快足を見せて2人を振り払いラストパスを送ります。
最後はしっかりと小森が合わせて、ゴールというシーンでした。
藤枝としてはジェフのSHに簡単に仕掛けさせ過ぎていましたし、今回のようにサイドを走られたとしても、WBと中央CBではなく左右CBで対応したかったところではないでしょうか。
ここまでレギュラーでプレーしていた184cmの左CB中川創をわざわざ外して、左WBでもプレー経験のある鈴木翔太を左CBで起用したのも、ジェフのスピード対策だったのではないかと思います。
しかし、その鈴木翔太が簡単に前へ出ていって、中盤を埋めるような仕事をしていては、起用の意味がなくなってしまう。
あるいは、左右CBが前に出ていくアグレッシブな守備をするのであれば、前からプレスをはめていきたいはず。
しかし、ジェフの左右SBには藤枝の5-3-2の左右MFが前に出て対応する形でしたから、どうしても寄せが遅れがちになってしまう。
前々節対戦した甲府のように、ハイラインでコンパクトな陣形でもなかったですし、SBへの対応が遅れがちな時点で劣勢に立たされやすい守備だったと思います。
結果的にジェフとしては、後方や中盤にもスペースがあって、最終ラインにもスペースが出来がちだった藤枝の守備をうまく攻略して逆転勝利。
スペースからパスを出しスペースを突く展開は得意中の得意ですから、攻撃面では戦いやすい試合だったと思います。
しかし、ジェフの方も守備には課題があって、前半のように守勢に回ると劣勢に立たされてしまうという課題も見せたことで、前半は藤枝優勢、後半はジェフ優勢の試合になったのだと思います。