藤枝対ジェフ戦は、打ち合いの試合となりました。
どちらも攻撃的なチームであることはわかっていたことですが、想像以上に激しい展開となりました。
藤枝は後方から中盤でのパスワークで優位に立ち、ジェフはスピードやサイドの仕掛けで攻め込んでいく。
いずれも攻撃面での持ち味を出した展開で、藤枝が前半のうちに2点リードを築きますが、ジェフがそこから3点を奪って逆転勝利を上げました。
どちらも守備には課題があり相手の弱点で強みを出せる関係性で、相手対策も特に感じない、まさに“殴り合い"の展開だったと思います
2点をリードされた時点で藤枝に試合をコントロールされた方が嫌な展開だったと思うのですが、藤枝はそれ以降も攻撃的な姿勢を変えませんでしたし、そもそもそういった術がないのかもしれない。
お互いに守備に回ると課題が見える展開だっただけに、前半は藤枝が攻めて守ったジェフが劣勢に。
後半はジェフが攻めて守った藤枝が劣勢となる、シーソーゲームだったと思います。
それだけに、ジェフも藤枝も主に守備面で課題を感じる試合だったと思いますし、反省しなければいけない部分もあるのではないかと思います
ジェフとしては綱渡りな展開が続きますが、今から大きな変更ができる状況でもないですし、やれる範囲で微調整をしながら昇格を目指していくしかないですね。
これでジェフは5連勝となりますが、4試合連続で1点差勝利ということにもなり、薄氷の展開が続いていることにもなります。
■藤枝が攻勢を見せ2点先制もジェフが1点を返す
ジェフは前節負傷交代した田口が不在ですが、エドゥアルドが復帰。椿が入って、田中が右SHにまわり、杉山がベンチスタートに。
藤枝は世瀬が不在で梶川がボランチに下がり、浅倉がスタメン。
大曽根、中川創が控えに回って、シマブク、鈴木翔太が入りました。
控えには、ジェフアカデミー出身の榎本などが入っています。
2分、ジェフの攻撃。
右サイドのエドゥアルドから大きな展開を受けた高橋がロングシュートで狙うと、相手に当たったこぼれを小森が狙いますが、枠の外。
キックオフ直後は、ジェフが攻め込む展開に。
しかし、12分、藤枝が先制。
中盤左でシマブクが倒れながら前に出すと、浅倉がゴール前でパスを受けます。
佐々木がついていましたが、そのままシュートを放ち0-1。
そこからは藤枝がペースを掴み、藤枝のパスワークをジェフが止められない場面が目立ちます。
19分にも藤枝の攻撃。
右サイドでモヨが仕掛けてクロスをあげ、矢村が足元で受けてシュートに行きますが、GK鈴木がセーブ。
24分、藤枝が2点目をゲット。
中盤左から、鈴木翔太が斜めの縦パス。
千葉が潰れて佐々木が受けるも、矢村が奪い返してシュートを放ち0-2。
27分にも藤枝の攻撃。
中盤でのこぼれ球を拾った新井が、すぐに縦パス。
バイタルエリアを取った浅倉がミドルシュートを放ちますが、GK鈴木がセーブ。
30分には、久々にジェフの攻撃。
小川からのスルーパスは椿に合いませんでしたが、モヨから奪い返してミドルシュート。
しかし、GK北村がセーブ。
32分、藤枝のチャンス。
浅倉が中盤中央を持ち上がったところから、千葉、シマブクと左へ。
浅倉がフリーで受け直してミドルシュートを放ちますが、GK鈴木がセーブ。
しかし、41分、ジェフが1点を返します。
相手のパスミスから、松田が縦パスを横山に通すと、椿が仕掛けてマイナスのクロス。
これを横山が決めて2-1に。
47分にもジェフの攻撃。
エドゥアルドの縦パスからカウンターで、中央の田中が長い距離を持ち上がってシュート。
しかし、GK北村の正面で終わり、2-1で折り返します。
■後半途中からはジェフの押せ押せペースに
ジェフは後半開始と同時に、小川を下げて山越を投入し、佐々木を左SBへ。49分、ジェフの攻撃。
佐々木が椿を走らせるスルーパスを出し、椿が小森にラストパスを送ってゴールかと思いきやオフサイド。
53分には、藤枝のチャンス。
左から中央へのパスワーク。
最後は浅倉から千葉がパスを受けてシュートに行きますが、GK鈴木がセーブ。
その直後にも藤枝のチャンス。
中盤中央でのパスワーク。
浅倉がパスを繋いでいって、最後は矢村がシュートを放ちますが、ゴール左隅を逸れます。
57分には、ジェフの決定機。
椿がモヨをかわして左足のクロス。
田中が飛び込んでシュートに行きますが、GK北村がかきだします。
その後はジェフが押せ押せの展開となり、64分にジェフが同点。
松田からダイレクトで、裏を狙うスルーパス。
田中が抜け出してラストパスを送ると、小森が合わせて2-2。
その直後、藤枝は浅倉、シマブク、梶川を下げて、大曽根、榎本、河上を投入。
68分、相手のミスからジェフの決定機。
GK北村のミスキックから、小森が相手を交わしてシュートにいきますが、GK北村がセーブ。
その直後、ジェフは横山を下げて林を投入。
74分、藤枝は鈴木翔太、久富を下げて、中川創と中川風希を投入。
モヨが右CB、大曽根が右WBに回り、中川風希がシャドーに回りました。
しかし、78分、ジェフが勝ち越し点。
松田のパスカットから、田中が受けてアーリークロス。
これに北村が飛び込みますが触れず、フリーで合わせた椿がゴール。
88分、ジェフは椿、エドゥアルドを下げて、岡庭、小林を投入。
試合終盤は、若干試合が落ち着いていきます。
藤枝は逆転されたショックもあってか攻撃の勢いを上げきれず、ジェフもあまり無理をしない展開に。
93分、ジェフは松田を下げて杉山を投入。
佐々木がCBに戻って、岡庭がSBへ。
そのままジェフが逃げ切って、3-2の勝利を上げました。
■守備でサイドに不安がある藤枝とバイタルエリアに不安があるジェフ
冒頭でも話した通り、お互いの弱点がお互いの武器とかち合って、打ち合いの展開になった試合だと思いあます。まず、藤枝の守備は5バックが基本で、ジェフが高い位置まで持ち込めば、5-4-1で守ることもある状況。
しかし、攻め残りからのカウンターを狙ってか、シャドーの一角、特に千葉が前に残る時間帯が長く、5-3-2にも近い状況で守ることが多かった。
さらに、普段なら右WBモヨが上下して中盤を埋める印象もありますが、ジェフは左SH椿がサイド前方で張るため、モヨは低い位置で守り続ける状況となっていました。
そのため、サイドの中盤から前がぽっかりと空いて、そこからジェフは優位に攻め込むことの出来た展開だったと思います。
後半からジェフが佐々木を左SBに回したのも、2失点に絡んだことも大きかったかもしれませんが、SBの位置が空くのでそこからのビルドアップを期待したのではないでしょうか。
5-3-2状態で守ると中盤選手のサイドへのプレスバックも遅くなりますから、ジェフとしてはどんどんサイドで1対1を仕掛けられる状況となっていった。
サイド攻撃はジェフのメイン攻撃パターンですから、非常に攻めやすい試合となっていったと思います。
ただ、一方の藤枝も攻撃に入れば、伸び伸びとやれていたと思います。
後方から中盤へのパスワークで、前進してバイタルエリアを取ってチャンスを作る。
そこにWBも絡んで、攻撃を仕掛けていきました。
ここ最近ずっと話している通り、ジェフはバイタルエリアを埋める守備がうまくいっていない。
DFラインも下がりがちですし、ボランチも人に食い付く傾向がある上、品田などはあまり守備が得意ではないタイプ。
さらに楔のパスのコースを消す守備にも課題があって、ポストプレーも含めてリズムを作られていたところがあったと思います。
藤枝はバイタルエリアを取る、中盤の高い位置で前を向く形を作るのが非常に得意なチーム。
前線やシャドーの選手がただ単純に前で待っているのではなく、アップダウンすることでフリーな形を作ったり、相手の守備を上下に混乱させて、そこからパスワークを構築したり。
サイドでもWBが相手SH裏でボールを受ける展開などもあって、うまく仕掛ける形を作れていたと思います。
ジェフは相手ボランチエリアでも前を取られがちで、そこから後手に回ってバイタルエリアでもフリーな選手を作られる傾向がある。
かといって、ジェフのボランチが前に出るとさらにバイタルエリアが空いてしまうし、ジェフの前線が下がると全体のラインも低くなってしまうしと、守備に悩みを抱えている印象です。
それ故に、昨年ほどのハイプレスはかけられなくなっている状況ではないでしょうか。
お互いに守備での課題と攻撃面での武器が噛み合った試合となったのではないかと思うのですが、最終的にはスタミナの差や総合力の問題なども出て、ジェフが逆転勝ちを収められた試合だったのではないかと思います。
また、プレーオフというモチベーションの差も大きかったのかもしれません。
試合終盤の藤枝はもう一度攻め込むというような気力もあまり感じませんでしたし、そこは目標を失ったチームのメンタル面の問題も感じるところだったと思います。
気持ちよく攻め込めた分、ここ数試合よりは前向きなイメージも感じる試合ではありましたが、バイタルエリアを攻め込まれる展開はこの日に限らず感じられたところで、改めて課題が明白になった試合でもあったと思います。
1点差ゲームでもありましたし、2失点という結果もあまり好ましくはない。
時間を考えればやることは大きくは変えられませんが、うまく守備面での課題をごまかせる術を身に付けていくことが、プレーオフからの昇格に向けて課題となっていくのかもしれません。