西部さんはエルゴラでも東アジア選手権の総括をしていて、このコラム以上に厳しいコメントを出しています。
4-4-2ならFW、4-5-1なら左サイドかトップ下が“1枠”になる。初キャップを経験した田代有三は巻誠一郎との競合になりそうだ。左サイドは安田理大が攻撃力を買われて起用された。このところ得点源になっている山瀬功治は最有力といいたいところだが、山瀬を入れると4-5-1しか使えない。4-42なら、2人の中村と遠藤のうち1人がアウトになってしまう。テストの結果、明確な答えは得られなかったと思う。
(西部謙司氏)
しかし、実際には怪我人が多かったし、相手の問題などもあり厳しい部分もあったと思います。
テストするにしてもチームを熟成して行くにしても、出来れば主軸選手はいて欲しいでしょうからね。
けれど、私も西部さんの言いたいことはわからないでもない。
いわゆる「接近・展開・連続」の戦術にしろ、内田の起用にしろ、守備の連係など細かな部分にしろ、私も今のところは心配なところの方が多いです。
例えば今実施している戦術に関して、「日本人らしいサッカー」と言われているけど果たして本当にそうなのか。
少なくとも「日本人に合ったサッカー」ではないような気がします。
もし「接近・展開・連続」が逆プレスからの展開が狙いならば、否が応でも相手とのフィジカルコンタクトが増えてしまいます。
日本人の特性を考えるとプレスをかけられないようにボールを散らしてプレスか逃げることは得意かもしれませんが、プレスをかけられてからそれを掻い潜るためのサッカーはあまり向いていないんじゃないかと思います。
プレスを掻い潜るにはある程度のフィジカルが必要だと思うし、オシム監督は中盤での接触プレーをなるべく避けるためのサッカーを目差していたはずです(もちろん最終局面では必要になってくるけど)。
岡田監督の戦術はタイなど日本人よりもフィジカルに劣るチームには強いのかもしれませんが、フィジカルに勝る世界レベルのチーム相手だと歯が立たないんじゃないかなぁ…と。
だから今のところ私にはこういった戦術は「悪手」に見えます。
だけど、これが今後どう変化するかはわかりません。
ヒカルの碁風にに言えば「打った時は悪手に見えた一手が、最終的には好手に!」みたいな感じで(笑)
オシム監督のジェフでの1年目を見ればまさか数年後にポゼッションサッカーをやるとは思えなかったし、ジーコ監督による加地の起用も当時は私も含め非難している人の方が多かったんじゃないかと思います。
だから、もしかしたら「接近・展開・連続」にも新たな変化があるのかもしれないし、今うまくいっていないように見えるのも岡田監督にとっては織り込み済みなのかもしれません。
(ただ、もし今後戦術を変化させていくつもりならW杯まで2年しかないというのは、非常に短いのだけれど…。)
でも、だからと言ってじゃあ「とりあえず黙って見ておこうぜ」的な発想も違うんじゃないかなと思います。
監督が変れば変化があるのは当然で、監督が変って良い所もあると思うし、悪い所…というか自分にとって理解できない、わからないところもあるはずです。
それらを1つ1つはっきりさせていくのは物事を理解するために非常に重要で、それらを早いうちから整理させておかなければ、後で一気に変化の波がやってきて着いていけず、埋もれてしまう可能性もあるんじゃないかと思います。
もちろんだからといって「どんどん批判すべき」とかじゃなくてね。
後々に批判するにしたって、ブーイングするにしたって、理解しておかなきゃ出来ないはずでしょう。
そこを理解できず自分がわからないからってブーイングするってんじゃ、子供おねだりと同じですからねぇ。
例えば「クゼ監督はフレンドリーで良い」なんて意見を聞きます。
けど、「フレンドリーだから良いと100%言い切れるのかどうか」という議論はまだあまりなされていない気がします。
例えば、広島のペトロヴィッチ監督はイビチャ監督やアマル監督よりフレンドリーでした。
けど、実際には結果が出なかった。似たようなサッカーをやっていて戦力だって大差ないように見えたのに、J2落ちたのはジェフではなく広島でした。
もしかしたらその雰囲気がアダとなって、結果的に馴れ合い的な環境になってしまったり、厳しい声は埋もれてしまってチーム全体には届かなかったりしたのかもしれません。
「悪手が好手に変わる」可能性があるのなら、「好手が悪手に変わる」可能性もあるでしょう。
だから、今は「好手」に見えていても、油断していいわけじゃない。
重要なのは変化をきちんと見逃さないことと、どちらにしてもすぐに決め付けないことなんじゃないかなぁと思います。
まぁ、だからようするに何がいいたいかって言うと、サッカーって見るの難しいですねって話でした。