これが週刊誌や夕刊紙が報じたのであればどこまで信じていいのやら…となるのですが、NHKの番組で山本浩さんが発言したというところが大きなポイントではないかと思います。
日本サッカー協会では、12月31日でアドバイザー契約が切れることと、日本で続けていた病気の後のリハビリテーションに一つの区切りが付いたからだと説明しています。一方でオシム監督サイドは、契約が延長になるものと見ていたらしく、オーストリアから新たに荷物を運び込んでいた奥さんにとってはショックだったようです。客観的に見れば、サッカー協会の会長も変わり、新しい路線で岡田武史監督も進んでいる。体制一新の意味があったのではなかったでしょうか。(スタジオパーク:山本浩氏)
意外にも「スタジオパーク」で山本さんがご出演した回というのはディープなサッカーの話しをしていることが多く、私が偶然見た回も稲本獲得とスポンサーと日本人観光客の繋がりなどについて詳しく取り上げていました。
オシム監督の件ですが、本当ならば非常に残念としかいいようがないですね…。
(現在発売されている「週刊現代」にも木村元彦氏の記事でオシム監督は契約延長のつもりだったが、川淵の一声でなくなったというような話しが書かれていますね。)
確かに岡田監督が中心になってまとめていくのであれば(それはそれで心配もあるけれど)、オシム監督が内部に入るのは問題があるのかもしれません。
しかし、アドバイザーのような一歩引いた形なのであれば、そこまで大きな影響はなかったのではないでしょうか。
以前も言ったようにサッカー界ではアドバイザーといっても形だけの場合が多く、実際には契約だけといった関係も多いですからね。
オシム監督に恩を感じているのであれば、それくらいのことは出来たのではないかと思うのですが。
結局、体制が変わりJFAはオシム監督が邪魔になったということでしょうか。
しかし、オシム監督の豊富な経験や知識、コネクションなどは例え体制が変わったとしても、未熟な日本サッカーにおいては非常に有意義なものだったように思うのですけどね。
そして、何よりも他人様から無理矢理強奪しておいて、最後はこのように切り捨てるような形でオシム監督との契約を一方的に打ち切ってしまうことに関して、ジェフサポとしてもオシムファンとしても大いに憤りを感じるのです。
このあたりの山本さんの分析は非常に面白いですね。
特に選手を感動させたのは、それぞれの選手に、攻撃と守備の特徴だけでなく性格まで見極めて適切なアドバイスを丁寧に繰り返したことでしょうか。クラブチームの監督なら選手が固定されていますが、代表では自分に合わない選手は招集しなければ済んでしまうのでそこまで丁寧に教えない人もあるはずなのですが。これで徐々にオシム監督に信頼を寄せる選手が増えていきました。
指導者にとって最大の強みは選手の「信頼」です。どこでも監督が欲しがるのは、実はこの「選手の信頼」なんですね。そのために監督は、理論武装をしたり、過去の実績を誇ったり、強い権力を発動しようとしたりします。
逆のアプローチで考える指導者がないわけではありません。情熱で選手を引っ張る、経験で選手を凌駕する、知識で選手を唖然とさせる。そうした考え方もあるのでしょうが、オシム監督にすれば、まず選手を、それにメディアを引きつけておく力が抜群に強かったという指導者でした。この引きつけておく力、スポーツ選手に限らず、指導者たるもの最も大切な部分がここにあるのだということを、私自身教えてもらいました。
特に日本のコーチ陣は理論ばかりを掲げる印象が強いのですが、それだけでは上手くいかない場合も多い。
そこに一石を投じたのが、オシム監督だったと。
非常に勉強になりました。
その他にもためになる部分がたくさんあるので、ぜひ読んでみて下さい。