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[JEF]エキストラキッカーの重要性に関してもう1度

 ネタがないのでもう少し違った視点で説明を。


 「ドリブラーだけのアタッカーサッカーばかりでは相手に読まれやすくなってしまう」、というのは昨シーズンから何度も言ってきた話しだと思います。
 相手からすれば「ドリブルで突っ込んでくる」とわかっていれば、確実にボールホルダーに2人行けばいいだけの話しだし、ドリブラーの癖は1人1人をビデオなどで分析すればそこまで怖くはないでしょう。




 それに加えて、ドリブラーだけだとDFラインが下げられた時にどうしようもなくなってしまう、という問題があるはずです。
 近代サッカーではアーリークロスの重要性が言われていて、オシム監督もよく「早いタイミングでクロスを上げろ」と水野などに指示を出していましたね。
 ようするにドリブルなどで余計に時間をかけ遅いタイミングでボールを上げると、それだけ相手中央の守備陣形が整ってしまう。
 時間がかかる分PA内に相手DFが戻ってきてしまって、クロスに対応する準備が出来てしまうということです。


 「ここ数年、退いて守るチームが増えている」というのも、何度も言ってきた話です。
 オフサイドを取り難くなったルール変更により、オフサイドトラップをかける危険性が高まったことが一番大きな理由だと思います。
 いくら相手SBをドリブルで抜いてサイドからセンタリングを上げられる状況が作れたとしても、顔を上げて中を見たら相手DFとGKがほぼ同位置にいて、その中にFWが埋もれているような状況ではなかなかゴールはうまれません(もちろん全くありえないわけではないが、可能性が低いという話し)。
 しかも、そういった状況では、センタリングを上げるほうの体勢も厳しくなってしまう。
 …かといって、中央に切り込むドリブルがそう易々と出来るわけでもない。
 DFからすれば当然中央への切り込みは警戒していて、なるべくボールホルダーは外へ外へと追いやるのがセオリーですからね。




 坂本が昨シーズンの5連勝した後に苦しんだ理由を聞かれて、「相手がジェフを研究してきたこと」と「退いて守ってきたこと」をあげていましたけれど、相手が退いたことによってドリブル突破が有効的ではなくなったことに大きな問題があったのではないかと思います。
 5連勝中は相手があまり警戒していないこともあって、全体的に相手のラインが高く、DFラインの裏にスペースがあったため、アタッカーサッカーでも通用していたのではないかと思うのです。




 では、その問題に対してどう解決するかって言うと、DFラインの前で質の高いクロスを上げるっていうのが一番じゃないでしょうか。
 ようするにアーリークロスなどが必要なんじゃないかなぁと。


 ドリブル突破でDFラインの裏を付いても“裏のスペース”はないのだから、DFラインの“前のスペース”を有効に使う攻撃パターンを作るべきでしょう。
 しかし、高質なアーリークロスというのは誰でも出せるわけではない。
 だから、エキストラキッカーが必要なのではないか…というわけです。



 ドリブルばかりのサッカーでサイドを付いていくと、むしろより相手DFのラインが下がってしまい、得点は遠のいてしまうかもしれない。
 相手のラインを下げてミドルシュートを決める、あるいはパス回しからの崩しなんて展開が出来ればそれでもいいのでしょうが、前者は日本人には厳しいと思うし(代表もイエメン戦で狙っていたけれど打開は出来なかったし)、後者はミラー監督の戦術的では基本的にはコンセプト外でしょう(そのための人材もいないし)。


 …となると、やっぱり質の高いクロスを上げる選手の補強が一番手っ取り早いのではないかと思うわけです。
 ドリブルで相手のラインを下げた上で、相手の守備を整う前に質の高いクロスを巻に上げる(巻の周りをトップ下の選手や逆サイドの選手が囮になって動き回る)。
 これが今のジェフのコンセプトを考えた上で、一番の有効策なんじゃないかなぁと。




 5連勝後苦しんだジェフを変えたきっかけが、レイナウドアーリークロスと根本のプレースキックだったというのも偶然ではありません。
 ミラー監督は後日、最後の数試合は「コンセプトを変えた」と言っています。
 そのコンセプトの変更というのが、ドリブルメインのアタッカーサッカーではなくエキストラキッカーを活かしたクロスからの展開のサッカーだったのでしょう。
 そのような流れになったのも、むしろ自然なことだったのではないかと思います。




 ようするに、相手が研究してラインを下げてきてドリブルが止められてしまったから、エキストラキッカーを使うサッカーに変更したということ。
 このあたりの柔軟さがミラー監督の素晴らしさだと思います。
 しかし、今オフの補強を見ると、理想(アタッカー&プレスサッカー)を目差す結果、同タイプの選手ばかりが集まってしまったように思います。
 ミラー監督の特徴である柔軟さを発揮してもらうためにも、いろんなタイプの選手がいたほうがいいと私は思うのですが…。





 もしもアレックスが素晴らしいエキストラキッカーとしても活躍できれば、そのような心配も杞憂に終わるかもしれませんけれどね。
 ただ、例え本来はドリブラーのように見えるアレックスがエキストラキッカーを兼務してくれたとしても、前線の選手ですからフルシーズンは持たないでしょうけど…。


 それか、相手も来年が油断してきてくれて、DFラインを上げがちなサッカーをしてくれるのを祈るか(笑)
 それともう1つはカウンター。
 リトリートする前に、前線からのプレスでボールを奪って、少ない手数で速い形から点を奪う展開をいくつ作れるかですが(その形がミラー監督の理想なのでしょう)、これに関しては当然守備も関わってくる問題なので、どうなるかは見ていかないとまだわからないですね。
 具体的には、アレックスと中後がどこまでプレッシングサッカーをする上で、有効な戦力となってくれるか。
 そして工藤をセカンドボランチで使うのであれば、どれだけプレスに関する守備で有効な動きが出来るのか。
 このあたりは色々と複雑なので、簡単には言えないですけど…。



 まぁ、アレックスと中後がレギュラーになってくれば、プレースキックに関しては期待できるかもしれません。
 それによってドリブルだけじゃなく、もう1つは期待できる武器(飛び道具ですが)は準備できるのかもしれませんね。



 しかし、もし『ドリブルでつっかけてファール貰ってセットプレーで勝負』となったら、ますます日本代表のサッカーと被ってくるわけですけど(笑)



 もちろんこの時期からエキストラキッカーを獲れるとは思っていませんし(アレックスも獲得したわけだし)、最大の穴は他にあるんじゃないかとも思いますので、今さら言っても仕方がない話しではあるのですが(まぁ今さらというかずっと言ってきたんですけど)。
 しかし、今年のジェフの試合を見る上で退いた相手にどう戦うか…などについては、とても大きなポイントになってくるんじゃないかなぁと私は思うのです。