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『理想のサッカー』と『選手へのアプローチ』

 サブ組がJ1の浦和と非公開の練習試合を実施。
 浦和キラーと呼ばれていたこともある巻がPKで1点を奪うも、1-2で敗戦となってしまったそうです。


 しかし、J1のチームと対戦できるというのは、今のジェフにとってありがたい話ですね。
 浦和は選手層も厚いチームですし、負けたとはいえ良い経験になったのではないでしょうか。
 ジェフの出場メンバーはジェフ公式サイトで。
 浦和のメンバーは浦和公式サイトでそれぞれチェックすることが出来ます。


 
 この試合に絡みこのような記事が。

江尻監督は「1年でJ1に復帰できるように、また復帰したあとでも通用するように、ステップの使い方を練習している」と話した。パスを受けるときに足を踏み出して、体をゴールに向ける動きだ。「だからパスはスペースではなく足元に出しなさい、と言っています」と話した。(日刊

 これは草津戦の試合後にも話していたことですね。 

私の中で今年トライしているのは、最後の16メートルから20メートルにかかった時にスペースに出すなということ。足元で受けて調節しろと。足元のスペースを受け手がしっかり調節しながら、もしくはそのスペースに流しながら体を反転する。もしくは早くボールに寄って逆足でコントロールして前を向く。 

 これによって「(特に日本人の?)ストライカーないしセカンドストライカーを育てたい」ということのようなのですけど、うーん…。
(「そもそも日本人FW使ってないじゃん」という突っ込みは、ともかくとして。)
 ようするにゴールに近いエリアでは、自力でFWが足元でのボールをコントロールし、前を向くようにさせていきたいということなんでしょう。
 そういうことになれば、当然ネットの方がぴったりフィットすることでしょうねぇ…。


 しかし、ストライカーと一口に言っても、世界中にはいろんなタイプのFWがいるはずです。
 ネットのようにとにかくゴール前では前を向きたがる選手もいれば、ともかくDFラインのスペースに特化した選手もいるし、巻のようにクロスからのボールに合わせて初めてゴール前で活きる選手もいます。
 千差万別、個性があるから面白いし、相手DFも読みにくくなるのではないかと思うのですが…。


 それに選手育成という意味でも、これでは逆に選手の選択肢を狭めてしまわないでしょうか。
 オシム監督も話していましたよね。
 「選手の選択肢を増やすためには、指導者にもアイディアが必要だ」ということを。
 まさにそんな感じがするのですが…。



 これがどれだけ選手育成の面で良い効果があるかに関しては置いておくちしても、ネットが足元にボールを受けて前を向くプレー。
 今のところ相手DFが格下である時には凄く効果的なプレーとなっていますけど、岡山戦のように相手がミスなく集中してマークをしている状況では逆にボールを奪われるポイントになってしまいました。
 これは昨年J1でも、同じことが言えたと思います。
 どうにもマークが緩かったFC東京戦ではネットは活躍しましたけど、それ以外のマークが厳しい試合では完封されていたことが多かったと思います。
(とはいえネットが全然ダメだとか言うつもりはなく、日本人DFに慣れてきたのかポストプレーなどはうまくなっていると思います。このあたりは努力の結果と言えるのではないでしょうか。)
 結局、ゴール前で前を向くプレーというのは、相手次第では強引な個人技プレーになりかねないということですね。


 
 ここでも最終的に問題になるのは、江尻監督はどういったサッカーをしたいのかということだと思います。
 江尻監督の目指すサッカーとFWが足元にボールを受けて前を向くプレーがしっかりと合致するのであれば、そういったプレーを要求するのも納得できます。
 

 ただ、私にはそのあたりがチグハグに見える部分があります。
 例えばパスサッカーを目指しているようにも感じるのだけれど、縦パスを強く意識させて、バックパスや横パスはなるべく出さないという意識付けをする…。
 これも目指すサッカーと練習方法がどうにも合っていないような気がします。
 例えば湘南の反町監督も縦パスを強く意識させているようですが、あのチームはフィジカル寄りのサッカーをやろうとしており、まずはゴールに近い1トップにあててそこから攻撃をスタートをさせる。
 だから、どんな状況でも縦パス…ゴールに近いところをターゲットにパスを出すという意識付けがマッチしているはずです。
 しかし、今のジェフはそういったサッカーではないわけで、結果的に強引なロングパスが増え、ボールを失うことが増えてしまう…。
 もしもパスサッカーを目指すというのであれば、戦術的なバックパスや横パスで相手を揺さぶる(このあたりはオシム親子も好んでやっていましたが)、あるいはゆっくりと攻めるという選択肢だって、決して間違いではないと思うのですけど…。
 あるいはパスサッカーを目指しているはずなのに、「引いた相手を崩す」術を重視していないように見えるのも、チグハグに感じる部分でもあります。


 そのあたりも含めてなんとなく、チグハグなのかなぁと。
 『理想のサッカー』と『選手へのアプローチ』(『目的』と『方法』と言いかえられるのかもしれません)が、ちょっとずれているように感じる部分があるのです。
 手法としては、FWが足元で受けて前を向くプレーも、縦パスを強く意識づける指導も、間違いとは言えないとは思います。


 しかし、それと今のジェフのサッカーとどう結びついていくのか。
 昨年から見ていてもいろいろと頑張ってやりくりしようとしている部分は感じるし、そのためにいろんな勉強もしているのだと思うのですが(縦パスの意識付けなどは反町さんから吸収したのかもしれませんけど)、「監督として筋を通すところは一本通す」ということが、必要になってくるのではないでしょうか。 
 新しい考え方や良い手法が、今のジェフと江尻監督の目指すサッカーに必ず合うかどうかというのは、わからないわけですからね。
 そのためにはどこかで我慢しなければいけない場面もあるかもしれないし、勇気を持って自分の意思を貫くことも大切なのかなと思います。