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難しい試合をものにして天皇杯3回戦進出

 フクアリで行われた天皇杯2回戦ジェフ対金沢戦。
 観客は3,021人と寂しい数字でした。
 天皇杯初戦の北海道教育大岩見沢サッカー部戦も2,475人だったそうですし、天皇杯の序盤戦を週末に開催する意義に関していろいろと考えてしますね。


 なお、この試合と同日になでしこリーグカップ決勝が行われ、ジェフレディース日テレ・ベレーザと対戦。
 この試合があったことで、サポーターが分散したところもあったのではないでしょうか。
 残念ながらレディースは0-4で敗れ、準優勝に終わったそうです。
■序盤は劣勢も徐々に巻き返す
 ジェフは天皇杯初戦に続いて、ほぼベストメンバー。
 岡本に変わって佐藤優也が入っただけで、その他は先週と同じスタメンに。
 ベンチは7人枠になり、井出が外れて小池、勇人、山本が入りました。


 一方の金沢は天皇杯初戦に続いて控えメンバーが中心で、リーグ戦でもコンスタントに試合に出ている選手は熊谷アンドリューくらいでしょうか。
 横浜FMからレンタル移籍している選手ですが、天皇杯ではキャプテンも任され期待されているのでしょう。
 昨年レンタルでジェフに加入していた安柄俊も、ベンチに入りました。



 5分、ジェフの攻撃。
 右サイドからのCKのこぼれ球を、船山が中盤で拾って、ミドルシュートを放つも枠外。
 これがこの試合のファーストシュートでした。


 11分、金沢の攻撃。
 中盤でボールを奪ったところから古田がミドルを放ちますが、ゴール右を逸れます。
 19分にも金沢の攻撃。
 富田がゴール前で得たFKを直接狙いますが、壁に当たってゴールならず。



 立ち上がりは両チームゆっくりとした展開でしたが、5分過ぎから金沢のペースになっていきます。
 金沢は左SH熊谷が中央寄りにプレーしてパスを回し、外に開いた左SB馬渡が積極的に仕掛ける形で攻撃を作っていきます。
 ボランチの大槻がDFラインまで下がり、左効きのCBメンデスがサイドに開いて馬渡を使う展開も効果的で、左サイド前方ではFWなども絡んでパスを繋いでいきました。


 それに対してジェフはエウトンがメンデスを追い切れず、菅嶋と丹羽も攻め込まれて全体のラインも下がりがちに。
 攻撃でも後方でパスを回すものの前に繋げず、大外の比嘉を使うもクロスの精度が悪く…と苦戦していました。
 ジェフは全体的に動きも重かった印象です。



 それでも金沢の攻撃を耐えると、20分過ぎからは徐々にジェフもリズムを作っていきます。
 28分、金沢のカウンター。
 一度はジェフが中盤で金沢の攻撃を止めたものの菅嶋が奪い返され、相手に抜け出されてシュート。
 しかし、シュートはサイドネットの外に終わります。


 その直後にはジェフの攻撃。
 左からのCKをグラウンダーで供給。
 町田がファーでシュートを放つも、相手に当たって終わります。



 36分には、ジェフの決定機。
 右サイドからのCKを長澤が蹴って、菅嶋がニアでヘディングシュート。
 最後は丹羽が詰めてゴールかと思いきや、オフサイドの判定。


 38分、ジェフにアクシデント。
 アランダが足を痛めて交代し、佐藤勇人が入ります。
 アランダも怪我の多い選手ですね。


 前半アディショナルタイムにも、ジェフのチャンス。
 長澤が左サイドからのFKで鋭いボールを供給し、ニアにジェフの選手が飛び込むも触りきれず。
 前半はそのまま0-0で折り返します。
■後半に2点を奪ってジェフの勝利
 後半から両チーム、勢いを増していった印象でした。
 50分、ジェフが右サイドでパスを繋ぎ、船山が抜け出して中央へ蹴り込みますが、GK原田直樹が対応。
 55分には金沢FW金子が中盤でミドルシュートを放つも、GK佐藤がセーブ。


 先制ゴールが生まれたのは57分。
 ジェフが左サイドから攻め込んでクロスを上げるも、中央であわず。
 しかし、逆サイドで丹羽が拾って、グラウンダーのクロス。
 これに反応した船山がニアで潰れて、最後はエウトンが合わせてゴール。


 ジェフは50分あたりから積極的に前に出ていき、船山、エウトン、町田を中心にプレスをかけていきました。
 この得点の前にも町田が高い位置でボールを奪う場面があり、その勢いのまま得点が生まれた印象です。
 金沢は左サイドからのクロスが流れたことで、若干集中力を欠いたようにも見えました。



 得点直後にも船山が裏に走り込みクロスを上げますが、中央に折り返し切れず。
 60分にも、船山が思い切って中盤からミドルシュートを放ちますが枠の外。
 失点した金沢は富田に代えて安柄俊を投入し、安が前線に入り古田が右SHに移りました。


 64分、ジェフの攻撃。
 町田のタメから、比嘉が左サイドを飛び出してクロス。
 エウトンには惜しくも合わなかったものの、この試合で始めて比嘉から良いクロスボールが出たシーンでした。
 65分、金沢は大槻に代えて星野が入り、そのままボランチでプレー。



 先制点をあげたジェフですが、その後は金沢が押し込む時間も増えていきました。
 疲れが見え始めたジェフは、72分に2枚目のカード。
 菅嶋に代えて小池を投入します。


 75分には金沢の決定機。
 右サイドからのスルーパスから、逆サイドの金子が抜け出してシュート。
 しかし、シュートは安に当たってしまい、ゴールならず。



 77分、ジェフは疲れの見えた比嘉に代えて北爪を投入し、そのまま左SBでプレー。
 79分、古田に代えて玉城を投入し、金子が右SHへ。
 両チーム最後のカードを切ったことになります。


 80分、金沢の攻撃。
 右サイドからのパスワークから、最後は熊谷が中盤でミドルシュート
 しかし、惜しくもバーの上に終わります。



 86分、ジェフの追加点。
 中盤でボールを奪ったところから、長澤が持ち込んでそのままミドルシュート
 狙い澄ましたゴールがゴール右隅に決まり、2-0とします。


 その直後にもジェフのチャンス。
 左サイド後方からの浮き球のスルーパスに小池が反応してボールを受け、エウトンに戻します。
 そのままエウトンがシュートを放ちますが、相手DFがブロック。
 後半アディショナルタイムには金沢が右サイドから攻め込みますが、何とかジェフがゴール前でブロック。
 ジェフが2-0で逃げ切って、3回戦進出を決めました。
■ジェフが難しい試合を何とかものにする
 ジェフが2-0で勝った試合でしたが、難しい試合だったと思います。
 金沢はリーグ戦でも結果は出ていませんが、大崩れはしておらずこの日も内容は悪くなかったと思います。
 特に天皇杯ではフレッシュな選手を起用したことが、逆に良い方向に作用したのではないでしょうか。
 ただ、金沢は局面での勝負に勝てないことが多く、それはこの試合でも言えたのかもしれません。


 また、ジェフは55分頃から攻守に激しいプレッシャーをかけ、実際に得点を奪うこともできた。
 その時間帯は相手との差を、見せることができていたのではないかと思います。
 しかし、そういった時間帯をうまく使い分けることが出来るのが理想的なのでしょうが、実際にはそれ以外の時間帯は苦労も多かった印象です。



 苦労した一番の原因は、リーグ戦で見せていたような裏抜けの展開が作れなかったことではないでしょうか。
 エウトン、船山はともに疲れも感じ、動き出しが少なかった。
 裏抜けの攻撃だとメインだと、コンディションに左右される部分が大きくなってしまうのでしょうか。


 もう1つは、中央でパスを繋げなかったこと。
 裏抜けへのパスを出すためには中盤中央からボールを出したいところだと思うのですが、この日の金沢は金沢らしく守備の距離感が良く、特に中盤中央のスペースが取れなかった。
 そこがこの試合を難しくした要因ではないでしょうか。



 中央へボールをつけられないジェフは、左サイドにパスを回すことが多かったのですが、比嘉はクロスの質がもう1つ。
 金沢はあえて、比嘉にはボールを持たせていたようにすら見えました。
 「サイドを広く使う」と言えば聞こえがいいですが、中にパスを通せないのでサイドに回すしかない状況だった印象です。
 中盤中央でボールを繋げるような形を作れなかった、ビルドアップの質に関しても課題を感じました。


 それでも後半終盤にあった、2つの攻撃には可能性を感じました。
 1つは追加点直後にあった、左サイドからのスルーパスに右SH小池が飛び出したシーン。
 船山、エウトンだけが裏抜けを狙う形では、どうしても2人に負担が増える。
 岡山戦でも左SH町田が積極的に飛び出すことで裏抜けのターゲットが増えてチャンスを作れていたと思いますし、この試合では2列目からの飛び出しが少なかったことが課題だったようにも思います。


 もう1つは長澤が中央でのドリブルから、狙い澄ましたゴールを決めた場面。
 得点自体は長澤の見事なシュートによるものでしたが、このシーンでは左サイドの町田が完全にフリーでボールを待っていた。
 それによって中央へのマークが甘くなって、コースが空いたところがあると思います。
 サイド攻撃を見せることによって中央を広げるという形を、もっと作っていきたいところではないでしょうか。



 この日も比嘉は積極的にアップダウンしていたものの、前半からクロスボールを何本も大きく外していました。
 もともとクロスの質には課題のある選手で、こうなるのは想定内とも言えるでしょう。
 五輪代表候補にもなった名のある選手ですから、あれで足元の技術もあればJ2にまで来てはいないと思います。
 それだけに比嘉を見せながら中央を使うといった展開や、比嘉がサイドを広げたところからのパスワークといった形も狙っていきたいところではないかと思います。


 個人的にはクロスより不安になったのは、スタミナ不足による守備面。
 後半に入って金沢は馬渡を右SBに回してジェフの左サイドを狙ってきましたし、今後も比嘉のスタミナ切れを狙われるかもしれません。
 左SB不足は悩ましいところがありますから、うまくやりくりしていかなければいけませんね。
 この日はよく北爪を残しておいたとも、言えるのかもしれません。



 試合全体を振り返ると、守備でもサイドで劣勢に立たされてずるずると下がってしまったし、攻撃でも裏抜けの形をあまり作れなかった。
 ジェフとしてはあまり良い内容ではなかったと思います。
 やはり気になるのはコンディション調整の問題で、そこが狙った形を作れるかどうかに直接繋がっている印象もあります。


 とはいえ、全ての試合を万全なコンディションで挑めるわけでもないでしょう。
 だからこそ、あえてベストメンバーで挑んでコンディションが厳しい状況でも戦える形を目指しているのかなとも思わなくもありません。
 もっともジェフの場合もうPO進出は数字上厳しいでしょうから、天皇杯にかけているという可能性もなくはないのかもしれませんが…。
 ともかく、劣勢であっても我慢して、安定して良さの出せるチームになっていきたいところではないかと思います。