非常に白熱した試合だっと思います。
山口は非常に攻撃的なパスサッカーをしてきたため気を抜けない展開でしたし、ジェフも鋭い裏狙いがあるので一発でチャンスを作れる可能性がある。
しかし、ジェフからすると、最後は勿体ない形で勝点を落としてしまったといった印象でした。
■山口のパスワークとジェフのカウンター
ジェフは菅嶋がベンチにも入っておらず、北爪がスタメンに。
ベンチには井出、小池が復帰し、山本が外れました。
町田、北爪、長澤に加え対戦相手の庄司も含め、専修大卒の選手がスタメンに揃ったことになります。
山口は出場停止のCBユンに変わって北谷が復帰、MF三幸が2試合出場停止で前節に続いて望月がボランチに入りました。
また星がベンチに回り、鳥養がスタメンに。
鳥養はジェフ下部組織からジェフリザーブズ出身の選手ということで、フクアリで対戦できたのは嬉しいですね。
立ち上がりから、山口がショートカウンターからの素早いパスワークで攻撃を作っていく展開。
ジェフはエウトンのポストプレーから、船山や町田が裏を狙う形。
ジェフは前節に続いて、4-4-2でバランスを重視した守備といった印象でした。
12分にはジェフの決定機。
中盤からボールを受けた北爪が、北爪がファーにクロスを上げると、エウトンがヘディングで競り勝ってシュート。
これはGK村上が弾かれますが、こぼれたところをエウトンが拾うとポスト直撃のシュート。
これを今度は町田が拾ってシュートを放つものの、これもポスト直撃で終ります。
その直後には山口の攻撃。
右SB小池がアーリークロスを放ち、こぼれたところを福満がシュート。
しかし、これは大きく枠を逸れます。
序盤はどちらも攻撃的で動きの多い試合でしたが、20分あたりから膠着状態となっていきます。
山口がボールを保持する展開でしたが、縦にパスを入れられなくなっていきます。
ジェフもカウンターを作れなくなり、ゴール前でのプレーが少なくなっていきました。
28分、山口が得意のパスワークから決定機。
庄司から縦パスを中盤の間で受け島屋、福満とワンタッチで繋ぎ、望月が裏へ走り込んだ島屋へ浮き球のパス。
そのままシュートを放ちますが、ゴール前で比嘉がカバー。
その直後のプレーで、ジェフがカウンター。
一度はボールを奪われますが、左サイドで奪い返すと、町田が受けて縦に持ち込みシュート。
これは相手にブロックされたものの、エウトンが拾って鋭いシュートを放ちますが、惜しくもバーの上。
35分、ジェフの攻撃。
中盤での浮き球のボールを富澤が頭で前方に供給し、中央寄りにいた北爪が右サイドの丹羽へつなぎます。
丹羽がマイナスのクロスを北爪に合わせ、北爪からボールを受けたエウトンがダイレクトで合わせますが枠の外。
38分にもジェフの決定機。
右サイドからのCKで、長澤が鋭いボールを供給。
中央の密集地帯から出てきた若狭がフリーでヘディングシュートを放ちますが、バーに当たってゴールならず。
35分あたりからジェフは守備時にボランチが前後関係になって、庄司をケアしようという意図を感じました。
前半途中からはジェフも押し込む時間がありましたが、ゴールを奪いきれず。
そのまま0-0で後半に進みます。
■ジェフが先制するも終了間際に追いつかれる
山口はハーフタイムに、宮城に代えて廣木を投入。
廣木が左SBに入り、香川がCBに回りました。
再び後半から山口が勢いをかけてきます。
しかし、56分にはジェフのチャンス。
比嘉の縦パスをエウトンがワンタッチで落とし、町田が左サイドを駆け上がります。
町田からのパスを受けた比嘉が中央に入っていき、逆サイドのスペースに走り込んだ丹羽へグラウンダーのパス。
丹羽がフリーでシュートを打ちますが、大きく枠を逸れます。
その直後、今度は山口の決定機。
カウンターから中央の福満が受けて、右サイドの鳥養へ。
鳥養の供給した中央へのパスは合わなかったものの、ファーの中山がフリーで受けてシュート。
しかし、GK佐藤がファインセーブ。
先制ゴールが生まれたのは64分。
中盤の富澤から、長い距離のスルーパス。
これを長澤が折り返して、エウトンが足元で決めてゴール。
山口は60分あたりから、全体が間延びしていたように見えました。
加えて、富澤のパスを出す前に、町田のボールに船山が走って詰めたことで、ジェフがボールを拾えた。
そういった流れもあって、生まれたゴールだったと思います。
その直後、ジェフは北爪に代えて井出を投入。
70分には山口の攻撃。
左サイドで廣木の仕掛けグラウンダーのパスを福満がスルーし、望月がミドルシュートを放ちますが枠の外。
71分、山口が望月に代えて加藤を起用。
73分、ジェフは船山に代えて大久保を投入し、3バックになりました。
山口も鳥養に代えて岡本を投入。
83分、ジェフはエウトンに代えてオナイウを投入します。
3バックにしたジェフはゴール前こそスペースを消せていましたが、中盤から前は人数が少なくなって相手のパスワークを抑えきれなくなった印象です。
その分、山口に攻め込まれる時間が長くなっていった印象でした。
そして、後半アディショナルタイム。
中央からのボールを受けた岡本がセンタリング。
これを中山が頭で合わせて同点ゴール。
そのまま1-1で引き分けとなってしまいました。
■3バックにした試合終盤の戦い方
ジェフとしては、非常に残念な試合だった思います。
山口はやはり非常に攻撃的でスピードのあるパスワークを展開し、序盤からチャンスを作っていました。
うまく中盤で受けてボールを落とし、そこから裏へ走り込む選手を使っていくという形が、スムーズにできていました。
しかし、ジェフの方も大事なところではやられず、スペースを管理しながら粘り強く守れていたと思います。
そこからカウンターでのエウトンの落としと、船山の裏抜けなどは効果的に作れていたと思いますし、試合を通じて決定機はジェフの方が多かったでしょう。
そして、長澤が裏を突く形で、先制点を奪うことが出来ていました。
それだけに、試合終盤の戦い方はどうだったのかなと思います。
確かに山口は4トップのような状況にもなり、そこからグラウンダーのパスワークでチャンスを作るのが得意なチーム。
そのため、後方のスペースを埋められると弱いというスカウティングもあったのでしょう。
加えて、ジェフは前半途中からボランチが前後関係になって、庄司をケアしようという意図を感じた。
しかし、後半途中からは相手も間延びしてきたことがあって、庄司がかなり後方で位置することが増えた。
そのため庄司に付いていくと、今度はジェフの中盤の距離感が開いてしまうという問題がった。
それならパスの出所を潰しに行かず、パスの出し先を消そうという発想で3バックにしたのかもしれません。
加えて山口は、後半から失速するイメージも少なくない。
それならば無理をせず、後方で引いて守って逃げ切ろうという考えだったのでしょうか。
しかし、その分ジェフは中盤から前の人数が少なくなり、パスを自由に回されてしまった。
当然それだけ相手が攻め込む回数が増えて、ゴール前での守備の時間が長くなってしまう。
ゴール前にボールを持ち込まれる機会が増えれば、失点する確率が上がるのも当然のこと。
そして、実際に最後は外から放り込まれて、やられてしまったということになります。
個人的には失点する前からこれで逃げ切れたとしても、本当にこの選択で良いのかな?と思っていました。
厳しい言い方をするとすれば、ズルズルと引いて守って後方で跳ね返すサッカーをやるのであれば、長谷部監督でなくても良かったはずです。
長谷部監督本人も「PAの外で守備を完結させるのが目指すところ」と話していたわけで、その理想からも離れたことになります。
もちろん3バックになった後もDFラインは細かく修正していたし、以前の5バックとは変化を感じました。
加えて様々なスカウティングやその時の状況も考えた上での判断だったのでしょうし、前方の選手たちに疲れが見える中で、交代カードが少なく他に手を打てなかった可能性もあるのかもしれません。
しかし、それらを加味しても、今回の策は個人的には失敗だったのではないかと思います。
策士策に溺れるというべきか、勝負師としての勘に関する問題なのか。
確かに狙いはわかるけれども、守備で受けに回ってしまった結果、相手が攻撃の勢いと回数を増してしまった。
そして、逆にジェフは攻撃の勢いが止まってしまった。
ようするに、理論的には正しかったとしても、試合の流れとしては間違っていたかもしれない。
もちろんベースとなるサッカーは、改善されていると思います。
3バックにするまでの内容も、非常に良かったと思います。
ただ、2試合連続で選手交代からギクシャクし始めたところがったわけで、そこは少し気になるところではないでしょうか。
もっとも、これが監督の経験不足によるものなのであれば仕方のないところ。
新人監督を起用した限りは、じっくり見守っていかなければいけないところもあるでしょう。
しかし、それにしても良い試合をしていただけに、非常に悔しい幕切れだったように思います。