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長澤の浦和への復帰が発表に

 先週末、長澤の浦和復帰が発表になりました
 完全移籍は難しいにしても、レンタル延長などにわずかな期待を求めたのですが、やはり難しかったようですね。


 何度か話していますが、浦和としてもそれなりの予算をかけてケルンから長澤を獲得したのではないかと思いますので、2年も続けてのレンタル移籍は難しかったのかもしれません。
 また一度も浦和でプレーすることなくジェフへ即レンタルとなっただけに、手元で見たいというところもあったのではないでしょうか。
 初めからジェフでの2年目は、期待薄だったと思います。


 浦和としては、大きな怪我もあった選手なのでリハビリもかねて。
 そして、Jリーグへの慣れというものも期待して、ジェフへのレンタルを選んだのではないかと思います。
 浦和は選手層も厚いチームですし、賢いやり方だとも思います。



 ジェフでの長澤はリーグ戦41試合に出場ということで、出場停止1試合を除いた全試合に出場したことになります。
 途中出場もあったとはいえ、船山に続く出場試合数で重要な戦力でした。
 しかし、シーズン序盤は苦しんでいましたし、個人的にはそこまで「大活躍を見せた」というイメージはありませんでした。


 開幕戦でのスタメンを逃した長澤ですが、第1節徳島戦、第2節岡山戦の両試合で途中出場から1ゴールを決めたことで、スタメンの座を勝ち取っていきます。
 しかし、SHやトップ下での起用が多かったのですが、2列目の選手としてはスピードがなく縦に鋭く仕掛けるというプレーが期待できなかったこともあり勢いに乗りきれない状況が続きました。
 これは関塚監督が個人での打開を求めるサッカーをしていたこともあるのでしょうが、Jリーグは攻撃にスピードを求めることが多く、その点で苦労したところもあったのではないかと思います。



 第2節以降ゴールがなく5月3日の讃岐戦で1度はスタメンから外れますが、当時チームはアランダ、山本、富澤、勇人といったボランチが相次いで長期離脱。
 そこで讃岐戦の途中から急遽ボランチとして出場し、まずまずのプレーを見せます。
 そこからはボランチとして、スタメン出場を続けていきます。


 しかし、関塚監督は基礎的な約束事を選手に教え込むタイプではなく、個々の判断に任せる傾向が強いこともあって、当初はボランチとしての仕事を探し続けているような状況でした。
 確かにフィジカルは強く局面で攻守に競り勝つことで何とかボランチをこなしていましたが、周囲へのサポートやバランス調整といった仕事は出来ずボランチとしては成り立っていない印象でした。
 それでも他にボランチがいないこともあって、長らくボランチとしてのプレーとなりました。



 長澤にとって大きな転機となったのは、長谷部監督の就任でしょう。
 長谷部監督は就任当初から守備時の細かなポジション修正の改善に着手し、長澤もボランチとしてバランスを取れるようになっていった。
 攻撃でも裏狙いやポストからの展開など、明確な攻撃の意図がチームとして作れるようになって、長澤も戦いやすくなっていきました。
 長澤とオナイウが浦和で活躍できたとすれば、浦和は長谷部監督に感謝しないといけないかもしれませんね…(笑)


 長澤のウリは体幹の強さと、懐の深いボール扱いからのキープ力。
 そして、視野の広さからのスルーパスだと思います。
 以前にも紹介しましたが、岡山戦でのロングスルーパスは今のジェフではなかなか見られないレベルのプレーだったと思います。



 サッカーセンスやスケール感といった意味ではジェフで頭1つ抜けていた印象で、上記のようなアシストだけでなく今季決めた4ゴールも難易度の高いものが多かったと思います。
 相手ゴール前での精度の高さや落ち着き・安定感なども含めて局面での強さを感じる選手で、そこは日本人離れしたところがあるのではないでしょうか。
 キックのパワーやボールスピードなども特徴で、ドイツ帰りらしさは十分見せてくれたと思います。


 ただ、その反面日本人のように素早くパスを散らしたり、細かく周囲をサポートしたりといったプレーは、まだ勉強段階なのかなと感じなくもありません。
 またパスセンスのある選手ではありますが、どこか遠慮しがちな印象もあり自分からゲームを作るというプレーには物足りなさもありました。
 ボランチでのプレーが長かったですが、どちからといえばゲームメイカーというよりチャンスメイカーとしての方が目立っていたように思います。



 それだけに浦和にフィットするのかどうか…に関しては、疑問も残るように思います。
 浦和はペトロビッチ監督が就任して来年で5年目になり、ポジションごとの役割もはっきりしている印象です。
 2列目は連携からのスピードある仕掛けが中心で、攻撃的なボランチは細かなパスワークから試合を作っていくイメージです。


 長澤はキープからのスルーパスなどは期待できる選手ですが、スピードある仕掛けや細かなビルドアップに関しては物足りなさもあり、浦和が求める部分は苦手な印象があります。
 しかも、ボランチには阿部、柏木の不動のダブルボランチに加えて、矢島復帰の噂もある。
 シャドーにも多くの選手がいるわけで、熾烈なポジション争いが待っていると思います。



 それでもセンスだけ言えば、十分にポテンシャルのある存在ではあると思います。
 今シーズンも終盤には2列目でもタメからのチャンスメイクが狙えていたし、浦和でもそういった展開を狙って攻撃にアクセントが作ることが出来れば新たな立ち位置を見つけ出すことが出来るかもしれない。
 イメージ的にはオシム監督時代のジェフのマリオ・ハースのような存在となることが、ポジション確立に最も近いのかもしれません。


 才能ある選手ですから、浦和で埋もれないように頑張ってほしいところです。
 まずは自分の強みをコンスタントに発揮できるようにするためにも、基礎的な動きをより一層高めていかなければいけないのではないでしょうか。
 パスセンスはある選手ですから、どんどん自分からチームを動かしていくプレーも増やしていってほしいところではないかと思います。


 ジェフからすれば1年間Jリーグに慣れるために費やし、本領発揮はここからといった状況での復帰となるわけで非常に残念です。
 しかし、J2暮らしが長くなると、こういうケースも起きてくるということなのでしょうね…。
 実際戦力になった部分もあったし、現状では仕方のないところもあったと思います。
 浦和でのさらなる活躍を遠くから見守っております。