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高橋壱晟擁する青森山田がプレミア、選手権を制覇

 ジェフ入団が決まっている高橋壱晟擁する青森山田が、年末年始で高円宮杯プレミアリーグ高校サッカー選手権の2冠を達成しました。
 プレミアも選手権も一部試合の放送が行われていたのですが、年末年始は忙しく体調も崩していたので、録画したものが3、4試合ほど溜まっていました。
 しかし、ジェフも先日から今年の練習が始まり、15日にはキックオフフェスタもありますので、今週になって慌てて一気に試合を消化しました。



 青森山田は個人能力が高く、強さもあって、組織力も高いとても良いチームでしたね。
 後方では短く繋ぐものの前へ展開はロングボールが多く、GK廣末が高精度のボールを相手の奥に蹴ることが出来るため、それによって相手を押し込む。
 また前線に強い選手がいるため、高橋など多くの選手が信頼して高い位置まで出ていくことが出来る。


 長いボールの蹴り方、落とし方、受け方などがしっかり準備できていて、状況に応じた展開を作ることが出来ていた印象です。
 中盤の高い位置でボールを持つと必ず1人がサイドの奥に出ていくなど約束事が出来ており、セットプレーも多彩でしっかりと黒田監督が教え込んでいるんだなといった印象を受けました。
 廣末、住永、高橋、嵯峨、鳴海といった主力選手は2年生時からレギュラーだったので、連携も十分に構築できているのでしょう。



 日テレの表示では4-1-4-1といった説明でしたが、攻撃時には2トップ気味で、守備時には4-4-1-1に近いフォーメーションになっていたように思います。
 その中で高橋は、攻撃的なボランチに近い位置でプレー。
 ただ、住永がアンカーとして守備に貢献していましたので、攻守に中盤で自由にプレーしていた印象です。


 プレースキックも蹴ることができ、左右でボールを捌けて、視野も広い。
 ボールの置き方がうまく球際でボールを奪われることなく保持できる上、178cmとある程度サイズもある選手です。
 加えて得点能力も高く、冷静にプレーできるタイプではないかと思います。



 選手権で活躍した青森山田の10番ということで、鹿島の柴崎も思い出されるプレースタイルではないかと思います。
 より身近な例で言えば、長澤にも若干近いところがあるのかもしれません。
 攻撃的なボランチでキープも出来て、冷静なプレーからゴール前での決定力も持ち合わせている。


 ただ、守備においては、まだまだ課題もあるように思います。
 青森山田の強さの1つに守備力の高さがあげられると思いますが、前線の選手たちのプレスの意識も高く、アンカーの住永と両SHの守備力も高かった。
 前の2人が追って中盤の3人が素早く戻ってくれる分、高橋は守備面で免除されていたところがあると思います。



 特に住永は左右を広くカバーしてくれるので、高橋の守備力を大きく補っていた印象です。
 リトリートしている状況でも高橋は高めにポジショニングすることが多かったですが、ポゼッションのできるFC東京戦ではその背後を狙われることも多かった。
 2列目から飛び出した選手に付いていかずあわや失点か…(オフサイドでゴールならず)といった場面もありましたし、トップ昇格の決まった内田との一対一に敗れるシーンもありました。
 守備が軽く局面での寄せが甘いことがあり、プロレベルでは弱点となるのではないでしょうか。


 昨年の長澤はボランチ経験が少なかったため、当初はポジショニングに不安があった。
 しかし、体幹は強いため球際での守備では勝つことができ、長谷部監督になってからポジショニングも改善されてボランチとして成立していったところがあったと思います。
 高橋に関してはボランチ経験があるためスペースは埋めようとするものの、そこまで体幹は強くないため球際での守備はもう1つといった印象です。



 守備に課題があり決定力のある選手なら「前で使いたい」とも思ってしまうのですが、高橋もスピードはないタイプなのでそこが悩ましいところなのかもしれません。
 サイドでドリブルで抜きにかかって速さが足りず止められてしまうこともありましたし、現代サッカーでアタッカーにスピードは必須となっている印象があります。
 テクニックで完全にいなせるほどのファンタジスタなら別かもしれませんが、そこまでの選手というのはなかなか現れないのでしょうし。


 そのため、長澤もボランチに回されたのではないかと思いますし、昨日話した金沢での熊谷がSHながらも中央に入ってのプレーが目立っていたのもそのためではないかと思います。
 高橋もボランチ起用となればプロでは守備面で苦労すると思いますし、同じような悩みを抱えることになるのかもしれません。
 ボランチとして成り立つだけの守備力も身に付けられるか、2列目として鋭い仕掛けも習得できるか…。
 現代の司令塔タイプの選手にとっては、どうしても越えなければいけない壁なのかもしれません。



 もちろん潜在能力は高いものがある選手だと思いますが、本人へのプレッシャーなどを考えるとあまり1年目から期待し過ぎるのも良くないのかなと思います。
 過去に選手権で活躍してジェフに入団した選手を考えると、林丈統もレギュラーにはなりきれなかったし、青木孝太もプロの壁に苦しんでいた。
 米倉もプロ入り7年目にしてSBにコンバートされてようやくブレイクしたものの、それまでは苦労の方が多かったと思います。
 また、ポテンシャルの高い高卒選手という意味では益山も大いに期待されていましたが、ジェフでは活躍できず先日26歳にして現役引退となってしまいました。
 

 ジェフは95年にも優勝した市船から市船トリオ"と呼ばれた森崎、鈴木、茶野の3選手が加入したものの、得点王として最も期待していた森崎は2年で契約満了に終わった苦い過去があります。
 そこからジェフと市船の関係性は、悪化していったという見方もありました。
 最終的には最も期待されていなかった茶野が最後までジェフに所属し、日本代表にまで選出されたわけですから、サッカー人生というのはわからないものです。



 若い選手に過大な期待を寄せる"スターシステム"は良くないとトルシエ監督が良く話していましたが、オシム監督も同様の話をしていました。
 周囲が無駄に騒がずじっくりと選手を見守る環境を作ることは、クラブの選手育成において非常に重要なことでしょう。
 選手権も終わって高校サッカーも一区切りしたことになりますから、ここからはまた新しいスタートラインに立って、一から頑張ってほしいところではないかと思います。