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多くの課題が浮き彫りになったちばぎんカップ柏戦

 今年のちばぎんカップではクレーベルケンペス、木之本氏、岡野氏への黙祷が行われました。
 改めて日本のサッカー界は昨年末から今年の初めにかけて、多くの大事な人を失ったことになりますね。
 お悔やみ申し上げます。


 さて、今年はスカパーからDAZNに放映権が移ったこともあってか、J2も土曜日の開催が増えます。
 そのため月曜朝にブログの更新となると時間が空いてしまいますので、今回のように試合直後はなるべく早くアップします。
 そして、原則的にその次の更新は火曜日、という流れでいきたいと思います
 昨年からそういったケースは多かったのですけど、改めて明記しておきたいと思います。
■試合序盤はジェフが押し込むも…
 ジェフは怪我人などを除けば、ベストメンバーだったのではないでしょうか。
 GKに山本海人、CBは右から若狭、近藤、西野、右WBが北爪で、左SBに乾、アンカーにアランダ、インサイドに山本と町田、2トップが清武と船山。
 ベンチは佐藤優也、イ、多々良、比嘉、サリーナス、勇人、ラリベイとなりました。 
 熊谷、高橋などは負傷しているようです。


 一方、下平監督が率いる柏も、ほぼベストメンバーではないかと思います。
 4-4-2でディエゴ・オリヴェイラとハモン・ロペスの2トップ。
 茨田、増島などが抜けた右SBには今井が入りました。



 3分、ジェフのチャンス。
 左サイドからのCKを船山が蹴ると、ニアで若狭がヘディングシュート。
 しかし、GK中村の正面に終わります。


 5分には柏の攻撃。
 右SB今井から、右SH伊東を裏に走らせるスルーパス
 伊東が乾をいなしてふわっとしたボールを出しますが、惜しくも合わず。



 試合序盤はジェフが相手を押し込みます。
 ジェフはNYC札幌戦と同様に、3バックが広く開く。
 それによって相手のプレスを分散し、そこからサイドの奥を狙うビルドアップ。


 それに対して、序盤の柏2トップは守備への貢献度が低く、そこから押し込まれる展開に。
 ジェフは前線とインサイドの4人で中央にプレスをかけ、さらに相手を押し込んでいきます。
 攻撃ではこの試合でも、サイドチェンジが多かったですね。



 20分には、柏のチャンス。
 大谷がアランダからボールを奪って、ディエゴ、ハモンと繋いで裏へ。
 ハモンが前に出ていた海人のニアを狙ったシュートを放ちますが、ゴール左を逸れます。


 序盤はジェフのペースだったものの、柏は15分あたりからジェフの高いラインとプレスに慣れていった印象です。
 裏を狙うボールが増えていき、特に3バックの横をポイントにして攻撃を作っていく。
 また、ジェフは守備時に5-1-2-2のようなシステムになるので、1枚になりがちなサイドをサイドチェンジで攻め込むことでリズムを作っていきました。



 22分にも柏が左サイドで町田と山本のプレスをいなしで、素早く逆サイドへ。
 中央寄りに入った伊東がタメて、今井が外をオーバーラップ。
 ハモンのヘディングシュートはジャストミートしなかったものの、今井は余裕を持ってクロスを上げることができました。


 柏がSBからビルドアップを始めるようになり、中央に選手の多いジェフはプレスをはめられなくなっていきました。
 柏がボールを持つ時間帯が伸びていきますが、ジェフは高いラインを維持。
 「プレスがかからなくなった時にどうするのか?」が気になるポイントの1つでしたが、常に高いラインを維持するという発想なのでしょうか。



 31分、柏のチャンス。
 小林が町田からボールを奪ったところから、ディエゴが中央でキープ。
 アランダの寄せにも負けずに持ち上がり左サイドに展開すると、クリスティアーノが裏で受けて中央へ。
 鋭いボールを出しましたが、ハモンには合わず。


 32分にも柏の攻撃。
 左サイドからのCKをクリスティアーノが蹴ると、中央のハモンが頭であわせますが海人の正面。
 しかし、この時間は完全に柏ペースでした。



 35分にも柏の決定機。
 右SB今井からジェフDFライン裏を突くパスが出ると、ハモンとディエゴの2人が裏を取ります。
 海人と1対1になったディエゴがシュートを放ちますが、海人の裏をカバーした近藤が何とかクリア。


 41分にも柏の決定機。
 右サイドからのCKをクリスティアーノが蹴ると、ハモンがフリーでヘディングシュートを放ちますが、バー直撃で得点ならず。
 近藤のマークだったと思うのですが、ハモンがシュートを打つ前に競り負けフリーにしていました。
 去年もセットプレーの守備で苦労しましたが、今年も課題となるのでしょうか。



 前半アディショナルタイムにも柏が攻め続けます。
 クリスティアーノが中央でためて左サイドでハモンがクロスを上げ、逆サイドで受けた大谷がセンタリング。
 海人が触ったこぼれ球をクリスティアーノが受けてシュートを放つも、ゴール左隅を逸れます。
 ピンチが続いていたジェフですが、何とか無失点で折り返します。
■高いラインの裏を取られて2失点
 ジェフはハーフタイムにラリベイ、サリーナスを投入し、船山と乾が下がりました。
 柏はメンバー交代なし。


 50分、ジェフの攻撃。
 清武からのロングスローのこぼれ球を、北爪が拾ってシュート。
 しかし、ゴール左を逸れます。


 その直後に、柏の決定機。
 左サイドのクリスティアーノから一本のパスで裏を取り、伊東と海人が1対1に。
 伊東のシュートは海人の正面で、こぼれ球からもう1度シュートに持ち込まれますが、何とかDFがブロック。



 68分にも柏のチャンス。
 左サイドで大谷、クリスティアーノ、輪湖とつないでセンタリング。
 これに反応した伊東が裏を取ってフリーでヘディングシュートを放ちますが、枠を捉えることが出来ず。
 サリーナスは攻撃で変化を作っていましたが、ここでは守備で遅れた印象でした。


 その直後に柏のゴール。
 海人のゴールキックから中盤で相手が競り勝ち、伊東がボールを受けて右サイドを突破。
 西野を抜き去って、逆サイドのクリスティアーノが合わせてゴール。



 このシーン、ジェフの守備が甘かったですね。
 ゴールキックからということもあって、守備組織が乱れたまま守ってしまった。
 まず海人のゴールキックが、短すぎたというが大きな失敗だったと思います。


 また、ゴールキックのターゲットになっていたラリベイですが、中谷が空中戦に強いということもあって競り負けることが多かった。
 加えて、サリーナスが高い位置にいたこともあって、その裏を取られてしまいました。
 さらに西野が伊東のスピードに振り切られ早いタイミングでクロスを上げられたことで、中央のポジションもバラバラなままやられてしまったということになると思います。


 
 60分、ジェフは町田に代えて、比嘉を投入。
 サリーナスがインサイドに入って、比嘉が左WBに入りました。
 続いて、柏はハモンに代えて中川を投入。


 その直後、柏の追加点。
 中盤でのセカンドボールの拾い合いから、クリスティアーノが頭でジェフのDFライン裏を狙ったパスを出します。
 これにディエゴが抜け出して、そのまま右足でゴール。


 後半から柏はクリスティアーノが中に入って、スルーパスを狙うシーンが増えていった印象です。
 1ボランチ脇を狙うということだったのではないかと思いますし、このシーンでも山本の裏の位置から頭でパスを出されてしまいました。
 セカンドボールを頭で押し合う展開ではありましたが、インサイドの山本はどうしても高い位置にいるので下がるのが遅れた場面だったと思います。



 63分、ジェフはアランダに代えて勇人を投入。
 その直後には、山本に代えて多々良を投入。
 そのまま、多々良がインサイドに入ったようです。


 65分、ジェフの攻撃。
 右サイドからのCKを清武が蹴ると近藤がニアでヘディングシュートを放ちますが、ゴールの右を逸れます。
 ジェフは西野が足を釣り、イが交代で入ります。



 68分にはジェフの決定機。
 右サイドの高い位置で北爪がボールを奪い、少しためてサリーナスへ。
 サリーナスがラリベイにスルーパスを送ると、ラリベイはGKと一対一になりますが、中村がセーブ。


 ジェフにとっては、この試合一番のチャンスだったでしょうか。
 この頃から柏は2点取ったこともあってか、全体的に運動量が落ち間延びしていった印象です。
 柏は71分に小林に代えて安西を投入、75分には伊藤に代えて武富を投入します。



 80分、柏はクリスティアーノに代わって大津が入ります。
 同時にジェフは、若狭が足を痛めて負傷交代。
 これで西野、若狭と両ストッパーが足を釣ったことになるわけで、それだけハイラインは負担が大きいということでしょうか。


 積極的に選手を入れ替えていたジェフは、交代枠がなく残り時間を10人で戦うことに。
 多々良がDFラインに入り、清武とサリーナスがインサイドに入る5-3-1のような布陣になりました。
 その後は柏がゆっくりとボールを繋ぎつつ、じわじわと攻めていく展開に。


 89分、柏はディエゴに代えて鎌田を投入。
 後半アディショナルタイムにはジェフの後方でパス回しにプレスをかけられ、GKまで押し戻されて海人がクリア。
 これをCBの中谷が拾って大津と1-2で抜け出し、シュートまで持ち込まれます。
 しかし、このシュートは決まらず、試合は2-0で柏の勝利となりました。
■想定内の課題が表に出た試合
 ジェフとすればNYCで感じていた疑問点が、すべて課題として表に出てしまった印象です。
 この時期に課題が出ることはいいことだと思いたいところですが、想定内の課題がそのまま試合に出てしまった。
 サッカーに限らずテストをして想定外の課題が出たのなら「膿を出した」とも言えると思いますが、想定内の課題ばかりでは単なる準備不足とも言えるのではないかと思います。
 手の内を隠しているだけなら良いのでしょうが、はたしてそれだけの余裕があったのか…。



 まず札幌戦後にも何度も話していたように、プレスにおける4バックへの対策に関して。
 札幌のように3バックと2ボランチでビルドアップをするのなら、そこに2トップと2インサイドでプレスをかけることが出来る。
 しかし、4バックだとサイドの奥から攻撃をスタートされる可能性があり、そこにどうプレスをかけていくのか。


 そこが3バックのチームには越えなければいけない課題だと思うので、相手が4バックの時は1トップ2シャドーでシャドーが開くのかなと思っていたのですが、札幌戦と同様に3-5-2の1ボランチのままでした。
 そこから何か変化があるのか期待したのですが、少なくともこの試合では無策だった印象です。
 基本的にはインサイドが追うことになるのでしょうが、サイドチェンジされるとスライドが間に合わず、SBから攻撃を作られてプレスも弱まっていきました。



 また、ハイプレスがはまらない時にどう対処するのかといった疑問も、ハイラインは維持したままでリトリートして守る形は見られませんでした。
 確かに高いラインを維持すれば縦パスを足元には付けにくいでしょうが、当然裏は空いてしまいこの試合ではそこからチャンスを作られてしまった。
 J2レベルならあそこまで高精度のパスは出ないかもしれませんが、相手のミス待ちでは不安が残ると思います。


 加えて、ラインが高い時に、相手の前線に足が速い選手がいた時にどう対処するのか。
 柏はハモンとディエゴに強さがある上、右サイドに伊東がいた。
 これもJ2ならあそこまでの選手はいないとは思いますが、結局CBが競争になって負担に耐え切れず負傷してしまった印象もあります。



 続いて、1ボランチ脇をどう埋めるのか。
 前からプレスをかけられて1ボランチ脇のスペースを圧縮できれば良かったのかもしれませんが、この試合でハイプレスが維持できたのは最初の15分程度。
 それ以降は伊東やクリスティアーノに1ボランチ脇を取られることがあり、中盤の競り合いで苦戦して相手に前を向かれることも多かった。


 相手SHが中に入ってきて、そこにインサイドやWBが対応すると、今度は相手SBなどがフリーになってしまう。
 CBがこのエリアを潰すために前に出て行ければいいのかもしれませんが、柏は2トップが強力でCBにそういった余裕はなかった。
 これも相手次第というところはあるのでしょうが、1ボランチ脇もシーズン中に狙われる不安はあるのではないかと感じました。



 攻撃においてもサイドの奥を攻めるというのは狙いの1つだったと思うのですが、それ以外はアバウトな印象が強かったと思います。
 結局、ジェフの攻撃はセットプレーと、北爪のボール奪取からラリベイがシュートを放ったシーンくらい。
 加えて、後半からは3バックがワイドに開いてビルドアップする展開も相手に読まれて、プレスをかけられて押し込まれる場面が増えてしまいました。
 CBの中央を相手FWの一角が追い、広く開いたストッパーに相手SHが来るようになって、苦戦していった印象です。


 3バックが広く開いて素早いパスワークをできれば、テンポよくワイドにパスを回せることが出来るでしょう。
 しかし、パススピードが遅く判断なども遅れれば広く開いている分、距離感が開いてボールホルダーが孤立し、相手プレスの格好の的になってしまう。
 アランダなどが後方へサポートに行く場面もありましたが、周りのサポートなども含めて後方でのパス回しにも不安が残ったように思います。



 唯一の収穫は、サリーナスが期待できそうだということでしょうか。
 今後はどのようにサリーナスを活かすのかもポイントになりそうですが、サリーナス頼りにはならないようにしたいですね。
 ラリベイも45分動けたのは良かったですが、この試合では違いを見せるまでには至りませんでした。
 コンディションが上がってくれば、戦えるのでしょうか。


 もちろん柏のレベルが高いからこそ、苦戦した部分は大きいでしょう。
 中村の安定感、中谷の強さ、大谷のパスセンス、伊東のスピード、外国人選手3人の力強さ…。
 他の選手も含めて基礎レベルが高く、やはりこのレベルで試合がしたいなぁと思う一方で、今は大きく差が開いていることも改めて痛感しました。
 DAZNマネーが本格的に入ってくれば、さらにJ1とJ2の差は開いていくのでしょうか。



 ただ、それにしてもチームとしての基礎的な部分を、整備しきれていないところが多すぎたのではないかと思います。
 ここから2週間で、課題を解決することができるのか。
 それともいっそここから、チームの方向性を大きく変換することも検討すべきなのでしょうか。


 ハイプレスとハイラインにチャレンジすること自体は悪いことではないとは思うのですが、それを実行するために必要な細かな整備が出来ないのであればチームは崩壊しかねない。
 例えば昨年の柏もちばぎんカップで0-3で敗れ、さすがにここから戦術整備の策があるのだろうと思っていたら、そのまま開幕を迎えて苦戦し監督交代となっています。
 戦術のベースとなる部分は本来初めから作り上げるものではないかと思いますし、時間とともに改善するとは限らないと思います。


 少なくともこの日のサッカーでは厳しいということは感じることが出来たと思うので、開幕に向けて危機感を持って戦えることは良いことなのかもしれません。
 しかし、4バックにどうプレスをかけるのか、かけられない時にどう守るのか、攻撃をどう作るのか…と課題は山積みなだけに、早急にそのあたりの約束事を作り上げなければいけないのではないかと思います。
 時間をかければ良くなるというケースも、基本的には戦術などチームの基礎があってこそだと思いますし、まずはそこを作ることからになるのかもしれませんね。