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多方面に動き出し攻撃も牽引した町田

 山口戦でプレスにおいて大きな貢献を見せた町田ですが、攻撃においてもチームを牽引していたと思います。
 前半はボールを奪って、そのまま仕掛ける展開で攻撃を作り。
 後半は守備を固めた相手のボックス外で受ける動きをすることによって、ボールをうまく引き出していた印象です。



 まず、山口の守備に関してですが、前半は前にボールを奪いにいくも、中途半端に終わっていた印象です。
 山口はハーフカウンターでチャンスを作るために、プレスをかけていく守備をしていると思います。
 相手の攻撃を遅らせたりバランスよく追って出所を消したりするような狙いではなく、ともかく高い位置でボールを奪うことが優先となっている。


 そのためボールホルダーに2人、3人と密集するので、ジェフとすればそこさえかわせれば一気にスペースを突ける。
 前にスペースがあるのでどんどん前に持ち込んで行ってしまい、結果的に前半序盤は殴り合いに近い展開になったように思います。
 山口は4-2-3-1なのでジェフの3-1-4-2に対しても追いやすいのではないかとも思っていたのですが、バランスを考えた追い方はしてこなかったですね。



 山口のプレスがうまく嵌まらず、ジェフが町田を中心としたハイプレスが嵌まっていったこともあって、前半途中からはジェフが完全に押し込む展開となっていきました。
 そこで山口は後半から無理に追うのをやめて、4-4-1-1のリトリート守備にシフトしていった印象です。
 53分にはボランチもできる加藤を投入し1トップで起用しましたが、これも4×4のボックス前を加藤に追い回してもらおうという意図だったのではないでしょうか。


 山口が前に出てバランスを崩すようなことが少なくなったことで、ジェフはボール奪取からのハーフカウンターが作れない。
 あるいはボールを奪っても後方に人数が残っていて、決定機が作れない。
 山口のリトリート守備も"堅守"といった印象ではなかったので、まったくチャンスが作れなかったわけではないですが、前半ほどの確実なチャンスは少なくなっていったように思います。



 特にボックス守備を、うまく乱せなかったことが大きかったと思います。
 そこで町田はボックスの手前まで引いて、ボールを受けてリズムを作る。
 あるいは相手のCBとSBのギャップから斜め外に飛び出して行って、チャンスメイクを図っていきました。

 町田が上下にうまくパスを引き出すことによって、ボールを動かせていたところがあったと思います。
 前半の町田は主にプレスで目立っていましたが、後半の町田は引いた相手に対して賢い動きで攻撃を牽引していたのではないでしょうか。
 逆にその他の攻撃陣は、後半になってあまり目立たなくなったようにも思います。


 これに対して、山口は再び守備を修正をしてきたところがあったのではないでしょうか。
 トップ下の高柳に代えてボランチに池上を投入し、小塚を前に上げて4-4-2にしたように見えました。

 それまでは高柳が熊谷を見ることで、アンカーからの展開を警戒していたように感じましたが、その横で町田が受けてしまう。
 1トップの加藤もジェフの後方を追い切れていなかった印象があるので、前線二枚を横に並べて完全に4-4-2でスペースをケアする形にしたのではないでしょうか。
 これに寄って町田が引いて受けるスペースがなくなって守備全体も前半よりは落ち着いていき、試合終盤に疲れの見えたジェフを相手にいくつかチャンスを作っていきました。



 攻守に大活躍を見せた町田ですが、細かいプレーに関してはまだまだ改善の余地があると思います。
 京都戦などでもスルーパスを相手に引っかける場面が目立っていましたし、山口戦でもトラップが長くなってボールを失うシーンがあった。
 細かなプレーの質を高めることによって、より決定的な試合を決めるプレーも期待したいところではないでしょうか。


 もちろんあれだけ攻守に活躍すれば、それ以上を期待するのは贅沢とも言えます。
 しかし、せっかくジェフ残留してくれたわけで、ここで成長が止まってしまえばJ1に移籍した方が良かったのでは?ともなりかねません。
 本人も分かっていることとは思うのですが、細部の質を高めることが今の町田にとっては大きなテーマとなるのではないでしょうか。



 一方でジェフとしては、町田ばかりに頼らないチームを目指したいところだと思います。
 もちろんあれだけの活躍を見せられては、町田が目立つのもある程度は仕方のないところではあるでしょう。
 しかし、そのギャップを埋めることが重要であり、そのためもチームとして戦えるように成長していきたいですね。


 どうしても個人に頼るサッカーをしていると、個人が目立つ傾向にはあると思います。
 うまく個人を活かすためにも、細部の組織作りというものが重要ではないでしょうか。
 そこをどこまで向上できるかが、注目点となっていくのではないかと思います。