試合前に4バックか3バックかというお話をしましたが、ラリベイと指宿のツインタワーでスタートするとは全くの予想外でした。
ただ、これはジェフの戦い方をどうするかというよりも、横浜FC対策だったのではないかと思います。
結果的に大味な印象もありましたが、最後のパワープレーも決まって3-3の引き分けとなりました。
しかし、劇的な試合で勝ち点1を拾いましたが、順位的には厳しく。
混戦状態ということもあって、ジェフは18位にまで下がってしまいました。
■開始早々に横浜FCが先制
ジェフはラリベイと指宿の2トップで、船山がトップ下に入り、右サイドに小島、左サイドに矢田、1ボランチに熊谷が入る4-1-3-2に。
近藤が控えに回って、増嶋と鳥海の2CBになり、ラリベイがキャプテンマークを巻きました。
為田、町田、エベルトが外れて、岡野、真希、サリーナスがベンチ入り。
横浜FCはCBペ・スンジンが出場停止で、川崎がスタメンに復帰。
川崎以外は前節と同じスタメンで、GKにジェフアカデミー出身の辻、右WBに北爪、左に武田、控えに戸島が入っています。
ベンチには三浦知良が復帰。
7分、横浜FCが早々に得点。
横浜FCが左サイドでボールを奪ったところから野村が持ち上がり、レアンドロ・ドミンゲスに繋いで北爪が裏へ浮き球のパス。
野村が裏を取ってワンタッチでシュートを放ちゴール。
野村が裏を取る瞬間、逆サイドの茶島がイバについて行ってしまい、1人余ってしまいました。
これによってオフサイドラインが凸凹になり、野村に裏を取られる形に。
また、ジェフは前半序盤、横浜FCの中盤を捕まえきれず、攻め込まれていた印象があります。
9分にも横浜FCの決定機。
後方からのロングキックをイバ、レアンドロ・ドミンゲスと頭で繋いで、イバがダイレクトで裏へのスルーパス。
レアンドロ・ドミンゲスが増嶋の裏を取ってシュートを放ちますが、ここは何とかブロック。
その後は一進一退といった印象。
21分、横浜FCの攻撃。
中盤後方からのFKをイバが落としてこぼれたところから、レアンドロ・ドミンゲスがミドルシュートを放ちますが枠の外。
その直後にはジェフの攻撃。
茶島が長めの距離からアーリークロス。
これをファーのラリベイが頭で狙いますが、枠の外。
そこからはジェフがボールを持つ時間が長くなっていきます。
ツインタワーにしたジェフはいつも以上にアーリークロスが多く、積極的に前線の高さを狙っていった印象です。
また、プレースキックにも迫力がありますが、チャンスとまではいかず。
43分には横浜FCのチャンス。
クリアボールを北爪がうまく繋いだところから、イバがキープして北爪が飛び出しシュート。
ゴールネットを揺らしましたが、オフサイドの判定で、そのまま前半終了となりました。
■打ち合いの末、終盤にジェフが同点ゴール
キックオフ直後、ジェフは船山のFKを高木が足元で合わせますが枠の外。
その直後には、横浜FCが武田のセンタリング。
ニアで野村が合わせますが、ジャストミートせず。
49分、ジェフが同点ゴール。
右サイドからのスローインから指宿が前に持ち込んで、中央の船山が受けてゴール。
横浜FCはスローインの判定に不満の声を上げていて、その分足が止まったでしょうか。
54分、横浜FCの決定機。
北爪からのスルーパスに反応したイバが、完全に右サイドを抜け出して中央へパス。
フリーで佐藤謙介がシュートを放ちますが、GKロドリゲスがセーブ。
60分、横浜FCが勝ち越し点。
中盤でのジェフのパスがずれたところから、レアンドロ・ドミンゲスが持ち上がり北爪が拾ってセンタリング。
これを佐藤謙介が受けてシュートを放つと、ジェフDFに軌道が変わってゴール。
この前のプレーでイバが素早くスローインしたところから他選手の前への意識が高まり、そこからゴールが決まった展開だったように見えました。
失点したジェフは62分、小島に変えてサリーナスを投入し、左にサリーナス、右に矢田を回しました。
しかし、その直後、サリーナスが中盤でボールを奪われると、野村、イバ、佐藤謙介と、ボランチエリアでパスを繋がれます。
そして、レアンドロ・ドミンゲスが、フリーでミドルシュートを放ち3-1に。
その直後、今度はジェフがゴール。
高木が左サイド後方から2人を交わしてスルーパスを出すと、サリーナスが受けてグラウンダーのセンタリング。
これがファーの茶島に流れて、中央に繋ぎ船山がゴール。
66分、横浜FCは北爪に代えてジョン・チュングンを投入。
67分にも横浜FCの決定機。
左サイドのスローインから、イバ、レアンドロ・ドミンゲスと繋いで野村がシュートを放ちますが、GKロドリゲスがファインセーブ。
お互いにゴールを奪う、激しい打ち合いに。
70分にはレアンドロ・ドミンゲスのパスをPA内で受けたイバに対して、増嶋が足をかけたように見えましたがノーホイッスル。
これに抗議したタヴァレス監督が退席し、ジェフでもプレーした早川コーチが指揮を執ります。
77分、ジェフは指宿を下げて清武を投入し、そのまま前線へ。
81分、ジェフは矢田に代えて近藤を投入し、近藤を前線で起用し、清武を右サイドへ回してパワープレー。
86分、横浜FCは佐藤謙介を変えて石井を投入。
87分には横浜FCのチャンス。
中盤からのFKをイバが落とすとジョン・チュングンへ。
ジョン・チュングンがシュートを放ちますが、GKロドリゲスがセーブ。
94分、横浜FCはイバに代えて戸島を投入。
95分、後方からのラリベイが落とすと、相手DFがクリアしきれず清武が拾ってシュート。
これがポストに当たりますが、落ちたところでラインを割ってゴールをあげ、3-3の引き分けで終りました。
■横浜FCに中盤を合わせた4-1-3-2
冒頭でも話したように、ジェフは横浜FC対策を考えてきたのではないかと思います。
横浜FCは中盤をダイヤにした、3-6-1という少し変わったシステム。
攻撃時にはレアンドロ・ドミンゲスだけでなく、野村や佐藤謙介も積極的に前に出てきて中盤に厚みを作る。
そこでジェフは中盤の形を横浜FCに合わせて、4-4-2にしたのかなと思います。
さらに攻撃時にはツインタワーでいつも以上に積極的に、ファーを狙ったアーリークロスを蹴ってきた。
ペ・スンジンも不在でDFラインに高さがないと考えて、ツインタワーにしてきた可能性もあるのかなと思います。
また、ラリベイ、指宿は左右ストッパーの外を走る動きも狙っていたと思います。
横浜FCは両WBが積極的に前に出てくるので、その裏をFWが突くという考えだったのではないでしょうか。
1トップでCFがサイドに流れると中央が薄くなってしまいますが、ツインタワーなら1人が流れても問題ないということだったのかもしれません。
試合序盤はカウンター気味に船山がうまく受ける形も出来ていたと思います。
2トップなので、相手CBが前に出られず、船山が浮きがちになっていた印象です。
しかし、徐々に横浜FCも落ち着いていきボランチが船山を見れるようになり、遅攻時には船山が下がる動きが増えた結果、前半途中からは攻撃が作れなくなっていきました。
中盤の小島、矢田に関しては、守備時には中央に絞って野村、佐藤謙介を見て、攻撃時にはサイドに開く流れだったように思います。
そのため、船山が遅攻時に下がるインサイド的な動きをしていたのではないでしょうか。
これも横浜FCのサイドを突くことと、ジェフ本来のサイド攻撃を狙ったもので、サリーナスを投入してからはよりそれが明確になったようにも思います。
ただ、守備に関しては中途半端で、試合序盤から中盤の相手を捕まえきれずに失点。
3失点目もボランチ付近でパスを繋がれて、ミドルシュートを打たれています。
レアンドロ・ドミンゲスには熊谷がついていってほしいところだったと思うのですが、熊谷は大事な守備ところで時おりサボってしまうところがある印象もあります。
チームとしても、解説の奈良橋が話していたように熊谷が外に出ていった時に誰が埋めるのか。
あるいは相手の中盤に合わせるのであれば、そのままガッツリとマンマークで付くのか、ゾーン気味にマークを明け渡すのか。
そのあたりがハッキリせずに、苦労したところがあったように思います。
結果的に勝点1を確保できましたが、全体的な流れで言えばジェフが何とか引き分けた試合といったところではないでしょうか。
横浜FC対策も攻撃面ではある程度の効果も得られたと言えるのかもしれませんが、守備面ではあまりうまくいかなかったということになると思います。
それでも試合終盤は攻撃に勢いも感じましたので、それを次以降に繋ぎつつ、守備の課題を克服できるかどうか…といったところではないかと思います。