力関係ははっきりしていた試合だったと思うのですが、終わってみれば僅差でのジェフの勝利でした。
やはり愛媛は戦力的にもきつそうではありますね。
それでも前半の愛媛はアグレッシブにプレスをかけてきて、ジェフのプレスを掻い潜り、何度も裏を取ってきました。
どちらかといえば、愛媛ペースだったのではないかと思います。
しかし、ジェフがセットプレーから1発でゴールを決めて試合をリード。
すると、後半は愛媛の勢いが止まってしまいました。
前半から飛ばしていたのか、攻守に運動量が落ちてミスも目立っていきました。
しかし、ジェフの方も後半からは失速した印象があり、最後に失点して完封試合を逃した展開となります。
■セットプレーからジェフが先制
ジェフは勇人が4月1日大分戦以来となるスタメンで、熊谷とダブルボランチを組む4-4-2にでスタート。
左SH為田、右SH船山が入り、矢田がベンチ、サリーナスはベンチ外に。
右SBに溝渕が入り、真希が控えに回って、エベルトがベンチに復帰。
前節大分戦で11試合ぶりの勝利をあげた愛媛は、控えも含めて同じメンバー。
川井監督になって左WB前野が左CBにコンバートされ、小池が左WBでプレー。
神谷は5月中旬に左鎖骨を骨折し、全治8週間と診断されています。
開始早々、ジェフのチャンス。
左サイドの高木からクロスが相手に当たると、中央で拾った熊谷からラリベイと繋いで、最後は船山がミドルシュート。
しかし、バーの上を超えます。
6分には愛媛の決定機。
左サイドで小池が、船山に仕掛けて抜き去り中央へ。
河原が足元で合わせますが、バーの左を逸れます。
立ち上がりの愛媛は、前からプレスをかけてきました。
しかし、10分頃から落ち着いていき、ジェフがある程度持ち上がたら守備に行く形にシフト。
ただ、ハーフウェイラインからチェックに行くことで、簡単には押し込まれない状態を作ろうとしていたのかなと思います。
12分、ジェフのチャンス。
高木からの縦パスを為田が受けてセンタリングを上げると、軌道が変わって中央へ。
これにラリベイが競り勝ってヘディングシュートを放ちますが、GK岡本がファインセーブ。
18分、愛媛の攻撃。
船山が前野にプレスに行くも交わされたところから、中盤で近藤が熊谷を交わして縦パス。
西田が前線で反転してシュートを放ちますが、オフサイド判定。
ジェフも前からプレスをかけ、DFラインも高めに設定してきましたが、守備がはまらず。
愛媛が後方でジェフのチェックを交わして、縦に繋がれるシーンが目立っていました。
18分の前のシーンでも後方からのパス2本で、右サイド裏を取られています。
29分、愛媛の攻撃。
右サイドの小暮が切り替えして、逆サイド前方へのロングパス。
小池がダイレクトでシュートを狙いますが、枠の外。
その後は均衡状態でしたが、41分のジェフの攻撃。
中盤で得たFKを船山が蹴るとファーで近藤が競り合い、高木がうまく拾って足元でシュート。
これが決まって1-0とします。
前半AT、ジェフのチャンス。
高い位置でラリベイがボールを奪ったところから為田が受けてシュートを放ちますが、相手DFに当たってゴールならず。
その後のCKも得点は決まらず、1-0で折り返します。
■後半はていた状態も1点を奪い合い2-1で終了
後半開始と同時に、愛媛は西田に代えて丹羽。
ジェフは勇人に代えて矢田を投入。
しかし、後半からはどちらも動きが鈍く、ミスの多い立ち上がりとなりました。
59分、愛媛の攻撃。
ジェフの中盤でのパスミスから、前野、河原と繋いで、裏を走った小池へ。
小池のセンタリングから丹羽が狙いますが、シュートまで持ち込めず。
その直後、ジェフが2点目を決めます。
左サイドでのスローインの展開から、指宿が山崎と入れ替わる形で裏を取り中央へ。
フリーになったラリベイがシュートを放ちゴール。
51分、ジェフは指宿に代わって清武を投入し、清武が右に入って船山が中央へ。
その直後、愛媛は野沢に代えて有田を投入。
田中の1ボランチ、丹羽と有田の2トップによる3-1-4-2に変更。
その後も動きの少ない時間が続きましたが、74分には愛媛の攻撃。
前野からの縦パスを河原が受けて、小池が裏を取ります。
そのままセンタリングを放ちますが、精度を欠いてGKロドリゲスがキャッチ。
79分、ジェフは為田に代えて乾を投入し、そのまま左SHに。
投入直後、乾が左サイドで粘って、船山に繋ぎ、最後は清武がミドルシュートを放ちますが枠の外。
83分、愛媛は近藤に代えて神田を投入。
87分には愛媛のチャンス。
中盤で愛媛がボールを拾ったところから、有田がキープして中央の神田へ。
神田がバイタルエリアからシュートを放ちますが、GKロドリゲスがセーブ。
91分、愛媛が1点を返します。
愛媛が左サイドでパスを繋ぐと、中盤で中央がポッカリと空きます。
神田が再びバイタルエリアでミドルシュートを放つと、今度は見事に決まって2-1。
得点が決まり愛媛の勢いが高まり、愛媛がチャンスを作っていきます。
最後はFKから、攻撃参加した岡本が頭で狙います。
しかし、ゴールは決まらず、2-1でジェフが逃げ切りました。
■ツインタワーでのプレスとボランチの守備
個々の能力や選手層も含めて、力関係ははっきりと出ていた試合だっと思います。
それだけにジェフとしてはスッキリと勝ちたい試合だったと思いますが、最後に失点し完封勝利とはいかず。
試合内容も課題が多かったように思います。
ジェフは勇人を起用して、ダブルボランチの4-4-2にしてきました。
しかし、前半は前から積極的にプレスをかけ、DFラインも高めに設定。
昨年終盤のように、引いて守る戦い方ではありませんでした。
けれども、そのプレスがハマらず、簡単に交わされてピンチになる展開が目立っていました。
ツインタワーにしてから見られる傾向ですが、指宿とラリベイの2人では相手を潰し切れない。
2人がプレスに行っても、その間を取られることが多くなっています。
また、相手ボランチにボールが入った時は、ボランチが前に出ていくか指宿が下がるのが基本となっていたようにお思います。
しかし、そこを交わされて、縦に繋がれることが多かった印象です。
ボランチがどんどん前に出ていくので、そこを交わされると一気にピンチになってしまいます。
さらに相手は3バックなので、船山が前に出て相手CBに対応しようとしていました。
しかし、前に出るのが遅く中途半端になって、そこから攻撃を作られていた印象です。
結局ジェフは90分を通じて、左CB前野を止め切れなかったように思います。
後半に入ってからは相手も失速し、ジェフもリードしていたため、無理はしなくなったように思います。
しかし、後半アディショナルタイムに失点。
確かに神田のミドルシュートは素晴らしいものでしたが、その前にもバイタルエリアでシュートを打たれていることを考えると、やられても仕方ない展開だったと思います。
どちらも左サイドを攻め込まこまれて、ボランチが2人ともサイドに流れてバイタルエリアを空けてしまいました。
やはり熊谷は対人守備は強くなったのですが、バランス管理という意味では課題がある印象です。
矢田も守備面で計算できるタイプではなく、そこから失点してしまったということになるでしょう。
攻撃面においてはツインタワーにしたことによって、長身選手が増えたこと。
それによってセットプレーでの迫力が増したことは、大きなプラスと言えるのでしょう。
ただ、その分スピード面や守備面においては、どうしてもマイナス面も出てくると思います。
特にこの試合では前に出ていった分、プレス面での課題を感じました。
愛媛はビルドアップは出来るものの、ラストプレーの質や前線の強さの部分では課題があるだけに、そこに助けられたところもあったと思います。
また、試合終盤には守りを固める時の守備バランスにも、問題があったように思います。
相手も含めた内容という意味では、今季の中でもかなり"しょっぱい"試合となってしまったかなと思います。
それでも試合には勝てたということで、なんとか結果は収められたということになりますね。
ただ、次につなげるという意味では、課題の方が多かったかなという印象です。