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高木利弥が半年で柏へ完全移籍

高木利弥選手の移籍について(ジェフ公式サイト)


 ジェフの高木が、柏へ完全移籍することが決まったとのことです。 
 高木は今年山形から加入した選手だっただけに、工藤の復帰以上に驚きのニュースでした。
 ジェフにとっては今年の残りシーズンだけでなく、中長期的に見ても大きな痛手となるのではないでしょうか。



 これまでにも何度か話してきた通り、高木は非常に完成度の高い選手だと思います。
 タイミングの良い飛び出しもあり縦への仕掛けもあって、シンプルながらそこからのセンタリングも狙える選手。
 ショートパスも出せて、ビルドアップにも加われるSBだと思います。


 守備においても体格が良く、1対1のドリブル対応も期待できるジェフでは数少ない選手でした。
 178cmながらも、空中戦においてもある程度計算できるのではないでしょうか。
 バランス感覚にも優れていてクレバーなタイプでもあったと思いますし、ジェフは攻守両面で戦える選手が少ないだけに、貴重な戦力だったと思います。



 高木が左SBの位置で攻守にサポートできていたからこそ、左SHが仕掛けやすい状況を作れていたところもあったと思います。
 高木と為田や矢田といった左サイドのコンビがジェフの武器になっていた試合もありましたし、左SHを活かすという意味でも高木が抜けるダメージは大きいかもしれません。
 数試合怪我で離脱した時期もありましたし、派手なプレーは少なかったとは思いますが、ジェフでの今季前半のMVPといっても過言ではない活躍をしていた印象です。


 J2では縦への突破など一芸だけで活躍できるところもあると思いますが、J1ではそれだけでは厳しく総合能力が求められる印象もあります。
 単純にボールロストや守備面での甘さなどはJ2では問題にならなくても、J1ではそこから一気に失点に関わる可能性もある。
 もちろん総合能力が高いだけでは"武器のない中途半端な選手"という評価を受けかねず、高木もそうなる不安もあるかもしれませんが、大きな穴がないことがJ1で勝負する最低条件となるのではないでしょうか。



 一方で移籍先の柏は、オフに亀川を輪湖とのトレードのような形で獲得しています。
 ただ、個人的にはJ2で見ていただけに、亀川はそこまで圧倒的な能力を見せていた印象はなく、輪湖を放出してまで補強するというのは意外でした。
 結局、前年から加入していたユン・ソギョンとポジションを争う形になりましたが、ユンも先日ソウルへのレンタル移籍が決まっており、左SBのポジションには穴があったのでしょう。


 高木としてはポジションを空けてくれた形にもなるし、チャンスは多くないであろうJ1へのチャレンジということになるのでしょう。
 ジェフとしても、完全移籍ならということで、契約がまとまったのでしょうか。
 在籍して半年の移籍というのは残念ではありますが、毎回話している通りジェフがJ2にいる限りは、J1からのオファーがあれば選手が移籍を選んでも仕方ないものだと思っています。



 それでもジェフはJ2では割高な年俸を払っているのだろうし、シーズン中の引き抜きはないだろうと思っていました。
 もちろん戦力となっていない選手ならば夏の移籍もあり得るでしょうが、そうではないとなれば移籍金も満額となるかもしれません。
 今年はジェフに限らずJ2からJ1へ個人昇格する例が多い印象で、これもDAZNマネーの影響ということなのでしょうか。


 一方でジェフが高木を獲得した時から、乾や杉山はどうするのだろうとも思っていました。
 乾や杉山の方が若いとはいえ、高木もまだ25歳で将来性も期待できる選手。
 実際のプレーを見ても安定感があり、今後数年におけるチームの軸の1人として期待したい選手といった印象でした。



 もちろん乾の方がスルスルと抜け出すドリブル突破からのセンタリングもあり、杉山も良い左足を持っている選手ではあると思います。
 一発での打開力などは乾の方が期待できるかも知れませんが、選手としての総合力という意味では高木の方が一枚上手ではないでしょうか。
 乾の左SH起用が悪くないと思ったのも、今後数年は左SBに高木が定着するのではないか…と感じていたからです。


 決まってしまったからには仕方ないことだと思いますし、高木にはJ1で頑張ってほしいところだと思います。
 引き抜かれたのがライバルの柏というのが気になるところ…と、昔なら言えたと思いますが、ここ数年のジェフは元柏の選手に頼ることが多し、ジェフは長らくJ1に昇格できていないだけに、それすら言えなくなっていますね…。
 ジェフとしても左SBにはもともと若手有望株が多かったわけで、今後は乾や杉山の成長に期待するべきではないでしょうか。



 ただ、チーム全体として攻守に期待できる選手、総合能力の高い選手が少ない状況となっているのが非常に気になるところ。
 高橋GMの影響かエスナイデル監督の趣向なのかはわかりませんが、アタッカーが非常に多く守備の出来る選手が極めて少ない。
 数少ない戦力として計算しやすいタイプが引き抜かれてしまっただけに、ポジション以上に全体的な構成として不安が残ります。


 とはいえ、起用法なども含めて考えると、エスナイデル監督はその方向が好みなのでしょうし、少なくとも今年はこのままいくことになるのでしょう。
 高木の穴に関して追加補強などをする可能性もあり得なくはないでしょうが、現状での順位などを冷静に考えると、将来性を考えて乾などを育てた方が賢明ではないかとも思います。
 しかし、現段階で最も悩ましいのは、もしエスナイデル監督が今季限りとなった時に、この偏った構成をどう構築し直すのか…なのかもしれませんし、その時に高木のようなタイプの選手がいないというのが、大きな損失になる可能性があると思います。