岡野洵選手 大分へ期限付き移籍について(ジェフ公式サイト)
先週、岡野の大分へのレンタル移籍が発表になりました。
選手がレンタル移籍するケースも少なくないジェフですが、ジェフより上位のJ2クラブへレンタルするのは珍しいのではないでしょうか。
それだけジェフが低迷しているとも言えるのでしょうが、複雑な気持ちもありますね。
岡野は2016年にジェフU-18から昇格すると、関塚監督解任でバトンを受けた長谷部監督体制になってから、レギュラーポジションを獲得し7試合に出場。
しかし、エスナイデル監督が就任した2017年はシーズン中盤こそ一時的に試合に出ていたものの、シーズン後半からは途中出場のみで出場時間を伸ばせませんでした。
今年もここまで、4試合の出場に留まっています。
岡野はサイズがあってフィジカルコンタクトに強くスピードもある選手だと思いますが、あまり器用ではないというか、使うよりも使われる選手なのではないかと思います。
そのため、長谷部監督の時のように近藤がバランスを取ながらカバーリングをして、岡野は思い切って前に出て相手を潰しにいく役目に徹した方が良さが出せるのではないでしょうか。
今考えても、長谷部監督の若手の使い方は上手かったと思います。
エスナイデル監督になってからは、基本的にハイラインでCBはバランスを取ながら相手も潰さなければいけない難しいポジションになっていると思います。
ハイラインだけならともかくバイタルエリアも空きがちなので、CBとしては前も後ろも消さなければいけない状況となっている印象です。
特に岡野は背走して相手をクリーンに潰すというプレーが、あまり得意ではないのかなといった印象も受け、バタバタする試合も多くなっていると思います。
さらに最近まで練習試合を組まなかったため、控え選手にとっては試合勘など含めて非常に難しい状況になっていたと思います。
欧州でもビッグクラブでは、コンディショニングを重視して控え組に練習試合を組まないこともあるようです。
実際にジェフでもその効果もあってか、怪我人は少なくなった部分があるのかもしれません。
しかし、そういった欧州のビッグクラブはBチームを持っていることが多く若手はそこで経験がつめるのでしょうし、控え組も含めて実績のある選手が多いのではないでしょうか。
Bチームを持たないジェフのようなチームで練習試合を組まないとなると、若手育成の場を失ってしまうデメリットが大きいのではないかと思います。
そもそもとして、控え組の若手選手を育成するという発想が薄いのかもしれません。
一方でレンタル移籍先の大分はCBの層は薄い印象もあり、一時はMF丸谷がCBでプレーしていました。
さらに先日、CB刀根が全治8か月の大怪我をしてしまったため、CBの補強が急務だったのかもしれません。
そう考えると岡野にとっては大きなチャンスなのかもしれませんが、まずは元ジェフ竹内と控えポジションを争うことになるのでしょうか。
現在の大分はパスサッカーを志向しており、左右CBが開いてビルドアップのポイントになる動きも特徴的です。
岡野はどちらかと言えばハードマーカーといった印象ですが、足元の技術もある選手だと思います。
ただ、その技術をうまく使いこなすところまではいっていないのかもしれませんし、その部分を大分で取得できれば出場機会も近づいてくるのかもしれません。
大分は現在J1自動昇格を狙える位置にいます。
しかし、ここ数試合は成績が下降気味となっているだけに踏ん張りどころだと思いますし、そのタイミングで加入した岡野にかかるところは大きいのかもしれません。
岡野としては試合に出場した上で、大分のJ1昇格に貢献するというのが理想だと思います。
しかし、そうなると冒頭で話したように、ジェフとしては複雑な状況にもなってきます。
今年のJ2は飛び抜けたチームがいないため、まだジェフも昇格を狙えなくはないとはいえ、現実的に考えれば決して楽な状況ではない。
岡野が大分で頑張って理想通りいけば、J1昇格にして試合に出場できた大分と、J2で苦しみ試合に出れなかったジェフを天秤にかけることになるかもしれません…。
個人的には将来的にクレバーなタイプの鳥海とハードマーカータイプの岡野がCBコンビを組んで、ジェフU-18出身の2人がチームを引っ張って行ってくれれば…と思っていました。
ただし、一方で現時点での岡野自身の状況を考えれば、レンタル移籍で経験を積むことは重要だと思います。
また他クラブにレンタル移籍して、出場機会を得られる可能性があるだけの能力を持った選手でもあると思います。
それだけに複雑な気持ちもありますが、やはり根本的な問題ということで考えると、トップチームで若手を育てきれない問題というのがあるのではないでしょうか。
J2上位でもオナイウ、戸島、北爪など元ジェフの選手たちが頑張っていますが、皆ブレイクしたのは移籍をしてからのこと。
なかなか自前で選手を育てきれていない印象を受けます。
もちろん選手を買うことでチームが強くなっていくのならばそれでもいいのでしょうが、実際問題として成績はむしろ下降傾向にあります。
それだけに改めてチームのビジョンというものが重要だと思いますし、中長期的な視野と言うものが足りていないようにも感じてしまいます。
いずれにせよ、岡野に関しては決まった以上は大分で頑張って、大分の昇格に貢献してほしいところではないでしょうか。