5戦勝ちなしのジェフ J3降格のピンチで変われるか

 明日に迫った新潟戦の話をする前に、メルカリに買収された鹿島に関して、その経緯などを書かれた報知の記事が気になったので取り上げたいと思います。

鉄の不況から2012年、住友金属新日鉄経営統合することを決めた。これにより、鹿島アントラーズの親会社は、新日鉄住金に変わる。
(中略)
プロスポーツクラブの子会社を初めて抱えることになった新日鉄側の幹部をスタジアムに招き、試合を見せた。そこに熱心なサポーターがいて、勝利を目指す選手たちの姿を見せたかった。東日本大震災の翌年に行われた2012年ルヴァン杯で優勝を果たした試合も、新日鉄側の人間を招いた。優勝したことを喜んでくれたが、住金時代のような当事者の熱を感じることはなかったという。徐々に新日鉄側の人間が来場する機会は減り、いつのまにか試合に顔を出すのは、住金出身ばかりになった。

 住友金属の工場員に対して希望を見出すためJリーグ加盟を果たし、ジーコ招聘も実現してクラブとして成功を遂げた鹿島ですが、住友金属経営統合から流れが変わっていたと。
 親会社の規模が大きくなったため、予算も簡単には動かせなくなり、親会社に迷惑をかけないことも考えるようになってきた。
 さらに記事内には書かれていませんが、今年初めに新日鐵住金から日本製鉄に名称が変更されたことも影響したのでしょうか。

 詳細はともかくとして、親会社の変化によって鹿島のクラブ運営が難しくなっていったこともあって、メルカリへ売却したのではないかという記事のようです。
 新日鉄側にも言い分はあるかもしれませんし、鹿島は親会社が経営統合された2012年以後も結果を残しているクラブですので、すべての内容を鵜呑みにするのも良くないのかもしれません。
 ただ、今回の買収劇も安価ですんなりと決まった印象もありますし、記事のような内情があったとしてもおかしくないのかなと感じました。


 ジェフも古河とJR東日本が、共同出資して生まれたクラブ。
 当初は日本サッカーリーグの名門であった古河が主導権を握っていましたが、2008年途中からJR出身の社長が就任し主導権が移りました。
 当時のクラブはお金もなくオシム監督の退団騒動なども含めて、古河主導の運営に関して不満の声が続出していましたが、成績だけを見るとJRに移ってから大きく傾いたことになります。

 確かにJRは関連会社も含めて金払いがいい印象がありますし、主導権が入れ替わって貧乏クラブからは脱したことになります。
 しかし、一方でJR主導になってからは、どこか見た目ばかりが優先されている印象もあり、血の通った運営ができていないように感じなくもありません。
 ブランドとしてのサッカークラブの運営には熱を持っているのかもしれませんが、サッカーというスポーツへの熱は弱いのかなとも感じます。

 古河も散々叩かれてはいましたが、サッカーに関するノウハウにおいては強みもあったのではないでしょうか。
 ジェフが鹿島とまったく同じような状況に陥っているとまでは思いませんが、長崎など他クラブを見ても親会社によってクラブの状況が大きく変わることは珍しくないですし、やはり根本的なジェフの問題はそのあたりにあるのかなという気もします。
 かといって、今さら古河に戻れば解決するのかというとそう単純でもないように思いますし、非常に根深く難しい問題ですね。


 さて、町田にも引き分けて、5試合勝ち星なしとなったジェフ。
 7勝10分13敗の勝点31となり16位に1つ順位を上げましたが、17位福岡、18位町田、19位琉球も勝点31で並ぶ接戦となっています。
 さらに20位鹿児島も勝点30ですので、1試合で大きく順位を下げる可能性があります。

 また21位栃木は勝点24、22位岐阜も勝点23とまだまだ粘っていますので、残留争いの行方は読めない流れとなっています。
 これだけ下位チームが頑張っているということは、一方で中位のチームがだらしないともいえるのかもしれません。
 その筆頭の1つがジェフですが、明日対戦する新潟も苦戦している印象です。


 今季の新潟は片渕監督の続投で始まりましたが、第9節で片渕監督を解任し吉永監督が就任。
 なお、新潟の監督解任は4シーズン連続となるそうです。
 しかし、第9節で9位だった成績から大きく浮上することはなく、現在も13位となっています。

 そもそも日本人同士の監督交代となったわけで、サッカーに関しても多少の変化はあるものの、根本を大きく変えるほどの変化は期待できなかったように思います。
 しかも、吉永監督も決して実績のある指導者ではないですから、早期に途中交代をして監督に据えるほどの人事だったのかという疑問が残ります。
 吉永監督は新潟シンガポールで指揮を執っていますので、元新潟シンガポールの代表でもあり今季新潟の社長に就任した是永氏の懇意で行われた交代だったということでしょうか。


 吉永監督になっての変化は、外国人選手の個人技を活かす攻撃に変わったことでしょうか。
 以前からパスを散らして縦へという展開を狙っていたチームではありましたが、現在は最後の部分でFWレオナルドやSHレオナルド、トップ下シルビーニョなどの打開力で仕掛けるチームになっている印象です。
 しかし、その分得点力は増したようにも思いますが、一方で攻撃的な選手が増えた分失点も増えている状況です。

 また、ジェフ戦では、ボランチの大黒柱カウエが出場停止。
 吉永監督になって出番がなくなった加藤大が福岡に移籍してしまいましたので、ボランチ候補が非常に少ない状況になっているように思います。
 ベテラン小川が有力候補となるのでしょうが、どこまで走れるのかに注目ですね。


 新潟もここ4試合勝ち星なしと、苦しい状況が続いています。
 ただ、前節は首位の柏に1-1の引き分けで、6月22日のジェフ戦から続いていた柏の連勝を11で止めたことになります。
 また、攻撃陣の仕掛けは強力だと思いますので、そこをどう対処するのかが大事な試合となってくるのではないでしょうか。

 それを考えると、まずは守備が気になりますが、ジェフも守備はうまくいっていません。
 前節町田戦ではついに熊谷を外して勇人を起用しましたが、相手ボランチをジェフのボランチが捉えきれずに、目の前で自由にやらせてしまっていた印象でした。
 前線やサイドの守備にも不安が残りますが、ボランチ付近の守備にも課題を感じる状況だと思います。
 

 それだけにタイプ的には走れてバランスが取れて守備面で期待できる勇人を、スタメンで起用したということだったのだと思います。
 しかし、勇人もベテランということもあってか、今年は動きが重い試合が多い印象です。
 けれども、勇人以外に守備面で気の利くボランチがいないということで、他の選択肢の少ないことが大きな問題となっているように思います。

 これは2列目も同じで、仕掛けには特徴があっても守備のできる選手が少ない。
 町田戦での失点もロメロ・フランクと対面した為田が手を上げてアピールしたところ、一瞬対応が遅れてシュートを放たれてしまいました。
 何かと審判にアピールする癖がチーム全体に蔓延していることも問題ですが、個々の守備対応にも大きな課題を感じます。

 攻撃面ではクレーベの高さを活かすために、クロスからの展開をより強化していくことが現実的な発想となるでしょうか。
 パスワークで崩すような展開は期待できなそうですし、シンプルに放り込んだ方が期待できるようにも感じます。
 しかし、ただクロスを放り込むだけではなく、クレーベ以外の選手もゴール前に飛び込んだり、クロスの上げ方にも工夫が必要ではないかと思います。


 これだけJ2で長らく苦しんでもスポンサー料は減っていないわけですが、それが逆に"昇格しなくてもOK"という状況を作り出してしまっているように思わなくもありません。
 J2にどっぷり浸かっても予算も個々の年俸も変わらないし、スタジアムや練習場などの環境も良いままだし、サポーターやスポンサーも大きく減ることがない。
 それが結果的に、クラブ全体の甘えを生んでしまっているところもあるのではないでしょうか。

 ただし、J3降格となれば、さすがに状況も変わるかもしれません。
 個人的には大きく崩れなければ降格はないだろうとは思いますが、それでもこのピンチを大げさに煽ることでもしなければ、この生温い環境は変わらないかもしれませんね。
 そういった意味では現状の成績をチャンスと捉えることもできると思いますし、J3降格のピンチをうまく活かしてクラブを変えることが出来るのかにも注目ではないでしょうか。