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クレーベの2ゴールで7試合ぶりの勝利

 ホーム水戸戦は、クレーベの2発で7試合ぶりの勝利となりました。
 さすがにここまで勝利から遠ざかると嬉しいという気持ちはあまり感じず、ホッとしたという気持ちのほうが強く残りました。
 台風で被災されたジェフサポを、励ます結果にもなったのでしょうか。

 水戸は前回対戦時にも感じましたが、ジェフのサッカーとの相性があまり良くないのかなと思います。
 4-4-2でコンパクトに守りボックス内にボールを入れさせずサイドに追い込む形が水戸の守備と言えると思うのですが、ジェフは監督交代後も攻撃があまり変わらず、ボックスを経由せずサイドを個人技で仕掛ける攻撃が基本と言えるでしょう。
 シンプルなサイドでの1対1が多くなったことで、優位に戦えたのかもしれません。

 一方でジェフの守備は相変わらず不安が多く、幾度となく危ないシーンがあったと思います。
 あと1本パスが通れば決定機という状況が目立ちましたが、水戸はそこでのパスミスが多かった印象です。
 そこは個人能力の差も大きいのではないかと思いますし、クレーベの個人技でのゴールシーンも含めてジェフが力技で勝利した試合だったとのではないでしょうか。 

■ジェフが積極的に仕掛け1-1で折り返し

 勝ち星から遠ざかっているジェフは、GK鈴木を控えに回してGK佐藤優也が久々のスタメン。
 鳥海、小島がメンバー外で増嶋、熊谷がスタメンに復帰し、船山、堀米もベンチに回って工藤がトップ下、茶島が右SHに。
 控えからは見木が外れて矢田が復帰し、特別指定となった流通経済大学DF本村も初めて入りました。

 水戸はU-22日本代表に選出されていたFW小川が復帰。
 木村が外れて、黒川が左SHに回りました。
 前節金沢戦で出場停止だったベテランCB細川に代わって活躍したンドカは、この試合でもスタメン継続となりました。


 3分、ジェフの決定機。
 下平と熊谷が左サイドでパス交換をし、為田が中央を走り込みます。
 その為田がボールを受けて1人かわしてシュートを放ちますが、GK松井がセーブ。

 8分には水戸のチャンス。
 CB宮からのロングパスを、福満がゴール前で受けます。
 完全に抜け出しますが、トラップが大きくなり中央に繋ぐと、勇人がクリア。


 立ち上がりから積極的な縦への展開とサイドチェンジで、攻め込んでいたジェフ。
 しかし、クレーベの対面である宮を起点とした攻撃から、徐々に水戸に攻め込まれる展開が増えていきます。
 水戸は攻守の切り替えも早く運動量も豊富で、連動した攻撃を仕掛けていきました。

 ただ、15分頃からは停滞状態。
 ジェフはサイドから攻撃を狙うも、チャンスとまではいかず。
 水戸も惜しい展開は作るものの、大事なパスを合わせきれないシーンが目立ちました。


 28分には、中盤での水戸のパスミスからジェフの決定機。
 為田が受けて長い距離を持ちあがって1人でシュートまで持ち込みますが、ポスト直撃でゴールならず。
 このボールを拾って下平がアーリークロスを上げると、茶島が頭で狙いますがGK松井がセーブ。

 しかし、30分、水戸が先制。
 水戸が右サイドで細かくつないだところから、福満が増嶋の裏を走ってボールを受けます。
 そのままキープして周囲の上りを待ち、走り込んできた前が受けてシュートを放ち0-1。


 それでも38分、ジェフが同点とします。
 一度はジェフの攻撃を水戸が跳ね返しますが、後方で押し返すと茶島がつないで低い位置にいたクレーベへ。
 クレーベが思い切ってロングシュートを放つと、これが見事に決まって1-1。

 41分にもジェフのチャンス。
 セカンドボールをジェフが拾ったところから、工藤が間で受けて米倉へ。
 米倉があげたクロスはニアの茶島に合わず、ファーの為田がシュートを狙いますが、ネットの外。

 前半ATには水戸の決定機。
 前が工藤をかわしたところから、前線にスルーパス
 米倉と増嶋の動きが重なり、小川が抜け出してシュートを放ちますが、GK優也がファインセーブで止め1-1で折り返します。

■PKで勝ち越した後は防戦一方で逃げ切り勝利

 後半開始早々、水戸のチャンス。
 高い位置で水戸がボールを拾ったところから、小川が競り合って黒川が再び拾います。
 福満がワンタッチで繋いで黒川がシュートを放ちますが、枠を捉えきれず。

 その直後にはジェフの攻撃。
 増嶋からの大きなパスから、米倉、茶島とつないで、米倉が抜け出します。
 米倉からのグラウンダーのクロスに工藤が飛び込みますが、間に合わず。


 後半開始から両チームともに激しい展開が続き、少し落ち着いてきた58分。
 米倉のアーリークロスから、クレーベをンドカが倒したという判定でPK。
 これをクレーベが冷静に決めて2-1に。

 1点ビハインドとなった水戸は61分、黒川を下げて木村を投入。
 その後は水戸が攻め、ジェフが守る展開となり、70分には水戸のチャンス。
 左サイドの志知からのクロスを、福満が合わせますが、ゴールの左。


 両チームとも運動量が落ちていきますが、ジェフは防戦一方に。
 76分、水戸は清水を下げて茂木を投入し、茂木が右SH、福満が中央へ。
 79分にはGK松井のフィードから小川、木村、福満と繋ぎ、茂木がカットインしてシュートを放ちますが、GK優也が対応。

 82分、水戸は白井を下げてレレウを投入、木村がボランチに入って、レレウが左SHに。
 85分、ジェフは茶島に代えてゲリアを投入し、そのまま右SHに入って5バック気味になりました。
 続けて、88分には工藤を下げて船山を投入。


 90分、水戸の攻撃。
 右サイドのクロスがファーに流れて、レレウが前へ繋ぎます。
 得点シーンと同じように前が、フリーでミドルシュートを放ちますが、GK優也の正面。

 91分、ジェフは足を痛めたクレーベを下げて寿人を投入。
 95分には、PA内で福満が倒れますがホイッスルはならず。
 なんとかジェフが2-1で逃げ切りました。

■水戸の丁寧なサッカーと力技で戦ったジェフ

 水戸はやはり丁寧に、サッカーを作っている印象です。
 例えば前線に縦パスを供給する際も、単純にFWが1人で体を張るだけではない。

 楔のパスを狙うときには、必ず清水や黒川、木村などが小川を追い越して、走り込む動きをする。
 これによってジェフの選手たちは、追い越した選手に食いついていくため、小川の周りの選手が薄くなる。
 そこに縦パスが入ってくるので、小川が競り勝てる回数が増えるということになるのだと思います。


 こういった水戸の連動した動きもあって、前方へのグラウンダーのパスがどんどん通る試合展開だったと思います。
 一方でジェフは前線からのプレスもかけられず、中盤での守備バランスも問題があって、前線へのパスコースを消せていなかった。
 そこから間を突かれることも多く、あと1本パスが通れば決定機になる…という展開が多かった印象です。

 そのため、ジェフは86分に茶島を下げてゲリアを投入し、5バック気味に戦うことを選択した。
 これによって中盤が1人薄くなるはずですが、中盤から前の守備がうまくいっていないだけに、1人減っても問題ないと判断したのではないでしょうか。
 SHに守備的な選手を置いて5バック気味に守るという形は、関塚監督末期にもみられた展開でしたね。


 水戸は守備においてもバランスが良いため、そこからパスカットを狙ったり、トラップで流れたボールを刈ったりと、守備の狙いも明確だったと思います。
 ただ、冒頭で話したように、リトリート時は基本的にボックスを作ってサイドへと追いやり、そこから行き場をなくす守備をする。
 しかし、ジェフはサイドを素早く個人技で攻め込む攻撃をしてくるため、サイドに追いやるまえに攻め切ることが多かった印象です。

 あるいは、サイドで追いやっても1対1でジェフが勝って、攻撃を作っていった。
 水戸は攻撃時にもあと1本のパスの精度を欠いていましたが、その時の精度も守備時の1対1も最後は個人技がモノを言うということだと思います。
 そこでジェフに苦戦したところがあったのではないでしょうか。


 一方でジェフの場合は最後の部分では勝てても、そこまでの作りが丁寧ではない。
 だから、結局ゴールシーンもクレーベのスーパーなシュートと、PKによるものでした。
 決して綺麗に奪ったゴールではないと言えるでしょう。

 けれども、綺麗にサッカーを作る水戸を相手に、ラフなサッカーで途中の"経緯"を省略して、力技で戦った試合だったと言えるのかもしれません。
 勝ち越した後の戦い方も決して綺麗な守り方ではなかったですが、中盤から前の守備が出来ていないから後方に人数を増やして守り切るという考え方は、ある意味で潔いともいえるのかもしれません。
 また、細かいところで言えば、若干空回り気味なところもありましたが、工藤が中央で攻守に激しく動き回っていたことで、何とか成り立っていたというところもあったように思います。


 今後はこのように、割り切って戦うことも検討されていくのでしょうか。
 攻撃ではシンプルにサイドに繋いで仕掛けるサッカーを多用し、守備では状況次第で後方を固めて守り切る。
 気温も下がってきましたし、選手たちも動けていたことも収穫ではないかと思います。

 あまりピッチ外の話と試合を絡ませたくはないのですが、千葉は台風の被害も大きかっただけに、このタイミングで勝てたことは結果的に良かったのかもしれません。
 ただ、本来はああいったことがなくとも、良いサッカーをして結果を残したいところであるはず。
 ここからが大事ですね。