柏戦後、江尻監督がハーフタイムに行った鳥海の交代に関して、長々と語っています。
長いので要約すると、後半に向けて1人1人がボールを持つ時間を短くして、サイドにボールを広げつつ、楔のパスを狙いたかった。
または、相手の背後を突くようなボールでセカンドボールを拾う展開でも、「十分に柏のブロックを崩せる」と思っていたとのこと。
直接的な話のつながりはわかりにくいですが、そこが大きなポイントとして鳥海を変えたということでしょうか。
ちなみに、前回就任時の江尻監督は強気なコメントで、他のサッカーファンから話題になっていた印象でした。
「柏を崩せる」という発言も到底そうは思えませんでしたが、その延長でしょうか。
しかし、一方で江尻監督はチームと鳥海の成長を考えれば、もう少しピッチに立たせたかった。
これから核になる選手を、どう成長させるのかも重要とも話しています。
「ミスをしたから代える」ではなく、競争させることが重要とのことです。
ただ、そこまで話しているわけですが、実際には鳥海を変えていることになります。
江尻監督は前回監督時にも若手を我慢して使えていない印象がありましたし、今年も何かあったらベテランの方を残して若手を交代してしまう印象があります。
2010年の倉田もシーズン終盤には出番が少なくなっていたし、米倉などもチャンスをもらえていなかった印象です。
もちろん、それでも試合に勝つことを優先する場合は、若手を外しても仕方のない部分もあると思います。
基本的には、鳥海のコメントの通りではあるのでしょう。
鳥海晃司「勝負なので、自分の調子が悪ければ代わるべきだし、監督にそういう選択を与えさせないプレーをしなければいけなかった。」
ただ、問題なのは、鳥海を変えても江尻監督の言うような、左右にふって楔をパスを入れるプレーはまったくできていなかったし、セカンドボールを拾う展開も見られなかったことではないでしょうか。
それが出来ていないにもかかわらず、選手を入れ替え「チームや選手の成長のためには残したかったが…」と説明するのは、言い訳のように聞こえてしまいます。
むしろ鳥海の方が大人なコメントをして、江尻監督をフォローしているようにも感じてしまいますね。
確かに工藤をボランチに下げて、ボランチを縦関係にしてどんどんチェイスに行かせることによって、前への意識は高まりました。
後半序盤は柏にも若干疲れが見えたし、後半途中からは両チームともに間延びしたことによって、高い位置まで持ち込めるシーンも増えたと思います。
しかし、その分、後ろは空いてしまいボランチの裏を取られて攻撃を作られた場面もあるだけに、プラスマイナスはゼロの捨て身の攻撃に近いものがあったと思います。
堀米は「後半の15分をしのげば流れが来ると思っていた」と話していますが、それも見立てが甘いと思います。
そんなレベル差の試合ではなかったと思うし、あの3点目がなくても劣勢であることには変わりなかったでしょう。
もちろん前向きであることも大事だとは思うのですが、今はしっかりと現実を受け止めて課題に直面することが大事ではないでしょうか。
21分には鳥海からの縦パスがずれたところから失点しており、それが江尻監督の言う「ミス」なのでしょうか。
この2点目が大きな失点だったことは事実なのでしょうが、あのシーンで鳥海はクレーベがポストプレーの動きをするとみて、縦に送ったのでしょう。
しかし、クレーベが足を止めたためボールロストに繋がりハーフカウンターを受けてしまったわけで、あそこはクレーベにパスを受ける動きをしてほしい場面でもありました。
さらに、その後の江坂に対して、熊谷の寄せが甘かったことのほうが問題ではないかとも思います。
もっといえば、米倉にも一歩前に出てほしかった。
その一歩が出ないところが、今のジェフの大きな課題とも言えると思いますし、そこは経験豊富な選手たちがやらなければいけない役割ではないでしょうか。
個人的にはあの状況でボランチを変えたいのであれば、熊谷の方を下げるべきではないかとも思いました。
江坂に対する寄せもそうですが、この試合に限らず熊谷が歩いて守備をする場面が目立っています。
確かに局面には強いし本来は縦へのパスも出せる選手ではありますが、現状だとコンディションが悪いのか精神的な問題でも抱えているのか、ボランチとしてやるべきことをやれていない印象です。
もちろん鳥海にもボランチとしては課題があって、ボールを持った時に大きな展開を作れず自分に近い選手へ繋いでしまう傾向がある。
要するに、視野の広さが大きな問題となっているように思います。
決して技術力がないわけではないのでしょうが、そこを乗り越えなければ、ボランチとしての成功は難しいようにも思います。
しかし、大学、プロとCBとしてプレーしてきた選手。
いきなり視野の広さを求められても難しいでしょうし、そもそもボランチ起用となったのも本人の成長よりも、チームの課題を埋めるためのものでしょう。
であるのであれば、いきなりボランチとしてすべてを期待しようというのは酷な話だと思います。
だからこそ、周りがしっかりとサポートして若手がプレーしやすい環境を作らなければいけないはずですが、現状ではそうはなっていないという印象です。
周りの選手も鳥海のミスは自分で拭えといった印象すら感じましたし、監督も若手を我慢して見ることが出来ない。
チーム状況が悪いから余裕がないというのも大きいのかもしれませんが、これでは育つ選手も育たないでしょうし、将来に向けても何らかの打開策が求められる状況なのではないかと思います。