両チームともに基本的には守備的なチームで、攻撃に課題がある状態ということで、結果的に苦手な攻撃面が問われる展開となり、低調な試合内容となってしまいましたね。
無失点だったわけですから、守備は頑張ったともいえるのでしょうが、どちらかといえば大宮の消極的な攻撃が目立った展開だったと思います。
確かにジェフは前回5失点をしているだけに、守備から入るのはわからなくもありません。
ただ、その守備も完璧ではなく後半からは中盤中央が空いて縦パスを通されてしまいましたし、ボールを奪った後のカウンターはほぼ作れなかった。
リスクマネジメントを第一に考えたのかもしれませんが、それを考慮したとしても攻撃面で物足りなさを感じましたね。
結局、両チームともに勢いも感じず、J2回に苦しむチーム同士で良く見る残念な試合となってしまったように思います。
それでも勝点1を拾えたということで、何とか次で挽回してほしいところといったところでしょうか。
■お互いに低調な攻撃で動きのない前半に
水戸に1-5で敗れたジェフは、見木が控えに回り熊谷が9月5日以来のスタメン。クレーベ、本村がメンバー外で、山下、ゲリアが先発復帰。
ベンチから田坂が外れて、下平、高橋が入りました。
前節CB河面と途中出場の高田が負傷交代した大宮は、CB河本がスタメン。
左WB渡部がベンチで、酒井宣福が今季2試合目の先発出場。
この日もイバがスタメンで、ベンチには元ジェフ戸島や富山に加え、ハスキッチも入りました。
立ち上りは大宮ペース。
5分には中盤でのスローインから、黒川が田口の後ろを取ってスルーパス。
嶋田が受けて仕掛けますが、鳥海とGK新井でカバー。
しかし、そこからは両チーム、攻撃面がうまくいかず停滞状態。
ジェフはロングボールとサイド攻撃による単調な攻撃が多く、うまくボールをつなげません。
大宮も後方でのパス回しが遅く、前への動き出しも少なく、どちらも低調な展開に。
27分には、相手のミスからジェフの攻撃。
西村のパスミスを田口が拾って船山につなぎ、再びパスを受けた田口がアーリークロス。
船山が頭で合わせますが、GK笠原の正面。
これで流れが変わるかと期待しましたが、変化はなく42分には大宮の攻撃。
嶋田が熊谷をいなして、左サイド前方へパス。
黒川が受けてイバにパスをつなぐと、トラップで浮いたボールをイバが狙いますが、安田と鳥海でブロック。
そのまま0-0で折り返します。
■後半から大宮の動きが改善されるも0-0
後半開始直後、大宮の攻撃。左サイドのスローインから、三門、小島、黒川とつないでミドルシュート。
しかし、枠をとらえきれず。
その直後にはジェフのチャンス。
左サイドからの矢田のクロスが相手にあたって方向が変わり、船山の目の前に。
船山がシュートを放ちますが、GK笠原がセーブ。
49分には大宮の攻撃。
右サイドからのパスを受けた左CB西村がくさびのパスを送ると、三門が間で受けて酒井につなぎます。
酒井の鋭いクロスにイバ、黒川が飛び込みますが、合わせきれず。
後半から徐々に大宮が縦パスを入れられるようになっていき、攻め込んでいく機会が増えていきますが、最後のところであわずチャンスまでは至りません。
51分、大宮は酒井が痛めて渡部を投入。
67分、大宮は嶋田を下げて小野を起用し、そのままシャドーに入りました。
74分にも大宮の攻撃。
小島の大きな展開から、翁長がゲリアをかわしてクロス。
イッペイ・シノズカがファーで折り返しますが、ゲリアがクリア。
攻め込まれる時間帯が増えたジェフは、77分、矢田、為田を下げてアランと堀米を投入。
83分には熊谷がまたも負傷交代で、見木を投入。
大宮も河本が負傷交代し黒川、イバも下げて、富山、翁長、戸島を投入し、翁長が左WBに入り渡部がCBに入りました。
後半AT、ジェフは船山を下げて高橋を投入。
その直後、大宮の決定機。
大宮が得た右サイド奥のFK、戸島がせって小島が放ったシュートはジェフの選手にあたりますが、三門が拾って左の戸島に展開。
戸島が鋭いボールを供給すると、富山が合わせますが、枠をとらえきれず0-0で終了となりました。
■お互いに今後に不安を感じる試合に
ジェフは久々の3バックとの対戦ということで、プレスに行く時は2トップに加えて為田などが前に出ていきました。大宮からすればその分サイドが空くわけで、実際に右WBイッペイ・シノズカから何度が可能性のある仕掛けは見せていたと思います。
しかし、大宮はそのSHが出た裏をあまり有効には使えず、時間だけが消化していった印象でした。
特に前半はCBでパスをつなぐことの多かった大宮ですが、パススピードも遅く、CBが開くこともないので、各駅停車状態のビルドアップでした。
それでは変則的な4-3-3気味になったジェフの守備陣形を揺さぶることはできず、ポジションの修正が楽にできてしまう。
さらに大宮は、前への動き出しも少なく、イバが孤立することも多い。
イバ自身も以前ほどの球際での粘りは感じず、存在感ももう1つだったと思います。
ただ、得点面に課題があるからこそ、イバの一発に頼りたいということなのかもしれません。
後半からは若干運動量が増えて、パスも回せるようになってきました。
楔のパスも入るようになり、良い形での攻撃も増えては行きましたが、やはりそこまでの勢いは感じず。
割と深刻な状況なのかなとも思います。
しかし、攻撃面に課題があるのはジェフも同じこと。
この試合に限らず大宮のような楔のパスもほとんどないし、サイドでの窮屈な攻撃やロングボール一辺倒になってしまう。
水戸のように守備に課題があって前に出てくるチームならばともかく、大宮は後方に高さもあるしサイドにもスピードのある選手がいるだけに、ほぼ攻撃が作れませんでしたね。
DAZNによるとシュート数は大宮11本で、ジェフは4本。
この試合だけならまだしも、ジェフは群馬戦でもシュート3本に抑えられていますし、こちらも厳しい状況だと思います。
守備はまだしも、攻撃面においては改善の兆しすら見えないですね。
守備においても、前半は良かったものの、後半からは楔のパスを何本も通されてしまいました。
解説の三浦泰年も話していた通り、中盤から前のプレスは行けても、ボックスの中に対する守備がやはり弱いですね。
そこが改善出来ていかないと、堅守の構築は厳しいように思います。
大宮は高木監督2年目でここまで迷いの感じるサッカーをしていると、来年どうするのかなとも思ってしまいます。
ただ、尹監督のジェフも1年目だからと言って、課題がそのままでいいとはいかないでしょう。
お互いに今後が気になる試合となってしまったように思います。