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第38節 ジェフ 0-1 熊本 山形戦に続きスコア以上の完敗

 J2昇格1年目ながら、アグレッシブなサッカーを展開し、昇格を狙える位置にいる熊本。
 ただ、若い選手が多く昇格へのプレッシャーも出てきたのか、台風の影響でなか4日の難しさもあったのか、硬さも感じる序盤でした。
 動きも重かった印象でしたし、簡単なパスミスも目立っていたと思います。

 それに対してジェフは、全体のラインを深く守って対応。
 5バックでしっかり引いて守るので失点は免れますが、ボールを奪っても攻撃に力を発揮できない。
 尹監督体制になってからのチームを象徴するかのような、前半だったのではないかと思います。


 後半に入ってからは前に出る回数も増えましたが、総じて攻撃は大外からのクロスとミドルシュートが目立ついつもの流れとなりました。
 アバウトな攻撃が多いので、攻撃に厚みが加わらないし、再現度が低くなりますね。
 結果的に偶発的なシュートシーンが多いように感じてしまいます。

 一方で熊本は攻撃の狙いが明確で、ゴールシーンも細かなパスワークからバイタルエリアで受けて、ラストパスを出すという展開。
 ジェフは山形戦に続いて、バイタルエリアを取られて失点したことになります。
 やはり現代サッカーにおいてはボランチのパスカット狙いだけでは厳しいと思いますし、5×4で引き籠るだけの守備では限界があるのではないでしょうか。

 0‐1で敗れたものの、力の差やチームとしての完成度の差を大きく感じた試合だったと思います。
 実際に熊本のゴールも1つ取り消されていますし、熊本の選手たちには終始迷いがなかった。
 完敗だったと言っていいのではないでしょうか。

■熊本に堅さを感じるも徐々に動きの出てきた前半

 ジェフはチャンが出場停止で、高橋壱晟がスタメンに入り左CBに。
 控えからは小林が外れて、福満が復帰しました。

 ターレスなどが負傷している熊本は、上村がベンチで坂本がスタメン復帰。
 竹本が左WBに戻り、平川がトップ下で坂本が左ウイング。
 GKは佐藤優也がスタメンです。
 

 立ち上りから熊本のボール支配時間が長く、ジェフが守る展開が続きます。
 熊本は後方でじっくりパスを回しつつ、裏を狙ったり逆サイドを使ったりといった攻撃を仕掛けていきますが、若干硬い印象。
 ジェフも中盤後方でボールを拾いますが、守備で押し込まれて前へ持ち込めない状況に。

 20分、熊本のチャンス。
 左サイドで細かくパスを繋いで、坂本からのパスを受けた平川が新井一耀をかわして、そのままゴール前へ侵入。
 シュートを選択しますが、GK新井の正面。


 31分には熊本のチャンス。
 右サイド前方でボールを奪った河原が、素早く前線へクロス。
 高橋利樹が飛び込みますが、GK新井が何とか対応。

 37分にはジェフのチャンス。
 西久保がグラウンダーの鋭いクロス。
 こぼれ球が高木に入って、河原をかわしつつミドルシュートを放ちますが、GK佐藤がセーブ。


 その直後にも、ジェフの攻撃。
 左サイドで見木が長い距離を持ち上がって、中央へマイナス気味のパス。
 田口がミドルで狙いますが、GK佐藤の正面。

 39分、熊本のチャンス。
 高い位置で、河原が田口からボール奪取。
 4対3の数的優位になりますが、河原がミドルシュートを選択するとゴールの左。


 46分にも熊本のチャンス。
 菅田からの前線へのパス。
 高橋利樹が反応して裏を抜けてシュートを放ちますが、角度がなくGK新井がセーブ。

 前半終盤は動きが増えていきましたが、スコアは動かず。
 0‐0で折り返しとなります。

バイタルエリアを取られたところから失点

 47分、熊本の攻撃。
 菅田からのロングパス。
 高橋利樹が高橋壱晟の裏を取ってクロスを上げますが、中央であわず。

 51分、ジェフのチャンス。
 相手のパスミスから見木が持ち上がって、秋山が鋭いグラウンダーのクロス。
 これがニアの見木に入って、最後は高橋壱晟が狙いますが大きく外れます。


 54分、熊本の決定機。
 高橋壱晟の緩い横パスを奪われたところから、平川が持ち上がって、坂本がシュート。
 これをGK新井がセーブし、杉山がこぼれ球を狙いますが、高橋壱晟が何とかカバー。

 58分、ついに熊本が先制点。
 中盤中央でパスを回され続けて、黒木が竹本にパス。
 竹本がバイタルエリアで受けると、追い越す動きを見せた黒木が受けてシュートを放ち0‐1。


 その後も熊本が攻め続け、67分にも熊本のチャンス。
 西久保がボールを奪われたところからパスを繋がれて、竹本のクロス。
 高橋利樹が走り込んでシュートを放ちますが、ポスト直撃でオフサイドの判定。

 70分にも熊本の攻撃。
 セットプレーの流れから再び熊本が拾って、イヨハがクロス。
 菅田が頭で合わせますが、GK新井がセーブ。

 72分、ジェフは西久保、熊谷、高木を下げブワニカ、米倉、レオンソを起用し、ソロモンが左シャドー、ブワニカが右シャドー、見木がボランチに下がりました。
 その直後、ジェフのチャンス。
 右サイドのブワニカがアーリークロスを上げると、ソロモンが頭で狙いますがゴールの左。

 79分、熊本は平川を下げて田辺を投入し、
 80分、ジェフの攻撃。
 田口が相手選手と絡んで、ソロモンへの楔のパスのようなボールになり、米倉がクロスを上げてブワニカがニアで合わせますが、GK佐藤がセーブ。


 82分、ジェフはソロモンを下げてリカルド・ロペスを投入。
 87分、熊本の決定機。
 右サイドのCKを河原が蹴ってニアで菅田が競り勝ち、イヨハが押し込んでゴールかと思いきや、オフサイドの判定。

 93分、熊本は坂本、竹本を下げて、土信田と粟飯原を投入。
 94分、ジェフは投入直後のプレーで頭を痛めていたブワニカを下げて、ダニエル・アウベスを投入。
 ダニエルが左CBに入り、高橋と見木がインサイドに入る3‐1‐4‐2に。

 試合終盤もジェフのボールはうまく繋がらず。
 後半途中からはアウェイの相手に走り負け、0‐1で敗戦となりました。

■攻守において古さを感じるスタイルに

 熊本は本当にいいチームを作りましたね。
 試合前にも話しましたが、J3に降格した熊本は大木監督が就任。
 そこから大木監督好みと思われる大卒の有望な新人を多数補強し、しっかりと育て上げて現在のスタイルのベースを築き上げたことになります。

yukkuriikou.hatenablog.com

 この日も活躍した高橋、河原、菅田、竹本、杉山、坂本などが、その選手にあたります。
 1つの理想的な形とも言えるでしょうし、個人的な好みで言えばスタイルもその手法も羨ましい限りですね。
 強かった頃のジェフも思い出すかのようなクラブ運営、チーム作りだと思います。


 熊本は立ち上がりから、流動的なパスワークを展開。
 高橋利樹が裏を狙ったり、同サイドでWBやウイング、アンカーなどが絡んで相手を引き付け、逆サイドへと展開するビルドアップを見せてきました。
 選手の距離感、パスのテンポが良く、前線などへの長いボールに関しても、アバウトなものではなく、チームの共通理解として迷いなくやれていた印象ですね。

 サイドチェンジの際にはWBが内寄りの位置で受けることで、中央を伺うパスワークを狙うことが出来る。
 どうしてもサイドチェンジを狙うと外へ外へという攻撃になりがちですし、チームによっては仕方なくサイドへ逃げているケースも少なくない。
 ジェフもそういったことがある印象ですが、熊本の場合はしっかりと同サイドで引き付けてから、中央も伺える位置でのサイドチェンジを狙ってきていました。


 左右WBにボランチやトップ下でプレーできる選手を起用しているのも、熊本の大きな特徴です。
 守備時はWBですが、攻撃時は左右ボランチにも近い位置取りをする。
 そして、この日のゴールも前節までトップ下だった左WB竹本が、バイタルエリアを取ったところから黒木が決めています。

 こうした中盤もWBも出来るような選手を補強し育て上げたことによって、今の流動的なパスサッカーが構築できているのでしょう。
 予算の限られた中で、自分たちのサッカーを明確に決めて、それに合わせた選手補強や育成をする。
 それが身になっているのが、現在の熊本だと思います。


 一方のジェフはこの日も動けてはいたものの、攻守に苦しい試合展開だったと思います。
 守備でもリトリート時にはプレスに行かないから、どうしてもズルズルと下がってしまう。
 ボランチのボール奪取能力で何とか凌いできましたが、さすがにそこだけでは厳しく前節に続いてバイタルエリアを取られてやられてしまった。

 攻撃も何度もカウンターのチャンスはあったものの、アタッキングサードあたりで選手が悩み始めてしまう。
 そこからクロスかミドルシュートを狙うということで、ペナルティエリアを確実にとるという術が今のジェフにはないですね。
 アタッキングサードにおいては、即興での攻撃しかないような状態だと思います。

 厳しく言えば、攻守において古いスタイルになっているのかなといった印象です。
 攻撃はパワーで何とか押し切り、守備も引いて守るのが基本。
 ただ、それだけでは最新のパスサッカーには通用せず、ここ2試合完敗が続いてしまったということでしょうか。