ジェフはあまり元気のない状態だったように見えました。
1試合通して守備でプレスに行けず、攻撃にも勢いを作り出せなかった。
前節の試合後に尹監督がモチベーションの危惧を示唆していましたが、やはりそこに問題があるのか、それともその発言でさらにモチベーションが下がってしまったのか。
ただ、水戸もジェフのゆっくりとしたペースに、合わせ過ぎてしまった印象も受けました。
ジェフが守備を整えてから慌てて難しいパスを送ることも多く、ミスも目立った試合だったと思います。
試合を決めたのは、後半序盤から水戸が幾度となく決定機を作ったにもかかわらず、決めきれなかったところでしょう。
そこから一瞬足が止まってPKを与えて失点ということで、悪い意味で水戸の若さが出てしまったかなと思います。
これが6試合連続で勝てていない水戸の、悪い流れということでしょうか。
ジェフからすると岩手戦と同じような内容で、あまり勝った気のしない出来だったように思います。
一方的に攻め込まれ続けるものの、相手の決定力に救われて、足が止まった時間帯にゴールを奪うと。
ジェフのシュートは4本のみだったそうで、よく言えば賢く戦えたとも言えるでしょう。
ただ、決定力などは個の能力に依存する部分も大きいわけで、中位や下位チーム相手にはその戦い方でもいいかもしれませんが、上を目指すのであればそれだけでは苦しい。
実際、ここ最近は山形、熊本とジェフより上のチームとの試合は落としているわけで、あまり先を感じない内容ではないかと思います。
粘り勝ちと言ってもボール奪取の位置はかなり低く、ディフェンシブサードで凌いでいるような守備になっていますから、どうしても苦しくなってしまいますね。
今年は上位もパッとせずまだPO進出の可能性は残っているわけですから、この勝利でまた変わってくれるといいですね。
やはり勝ちに行くためには、攻守により前に出ていく時間を延ばさないと、苦しいのではないでしょうか。
現状だと攻守に相手のミスを待つような状態ですから、相手次第のサッカーが続けば昇格は期待薄ではないかではないかと思います。
■ジェフのシュート1本で終わった前半
ジェフは西久保がメンバー外で、米倉がスタメン。GK松原とブワニカがサブから外れ、GK鈴木と小林がメンバー入り。
水戸はまたスタメンが変わって、木下が不在で土肥がトップ下に。
SHに鵜木、ボランチに安永と、今夏レンタル加入した若手が入りました。
左SBも19歳の松田から、タビナスに変わっています。
立ち上がりは落ち着かない展開でしたが、水戸が攻勢を仕掛けていきます。
6分、水戸の攻撃。
右サイドで得たFKを蹴る杉浦は横パスを送り、安永がミドルで狙いますが、ジェフの選手にあたって終わります。
10分、水戸のチャンス。
後方のサイドチェンジから、黒石が中央の黒石へ。
黒石がゴール前へ送ると、最後は混戦状態から安藤が反転してシュートを放ちますが、GK新井がセーブ。
20分、ジェフの攻撃。
田口のボール奪取から、高木が持ち上がってソロモンがミドルシュートを放ちますが、GK山口がキャッチ。
ジェフはこれが前半唯一のシュートになりました。
その後も水戸が攻め続ける展開。
しかし、ジェフも最後のところでは守備で粘りを見せ、水戸のミスも目立つ展開に。
前半ATの水戸のCKも決まらず、0‐0で折り返します。
■水戸が再三決定機を作るもPK獲得で勝利
後半開始と同時に、ジェフは田口に代えて小林を投入。しかし、後半開始直後、水戸の決定機。
左サイドからのCK、中央の安藤がフリーになって合わせますが、ゴールの左を逸れます。
49分にも、水戸の決定機。
右サイドからのパスを受けた前田が、中央で浮き球のスルーパス。
黒石が完全に抜け出して、ファーでタビナスが狙いますが、合わせきれず。
55分、水戸は杉浦を下げて椿を投入。
59分にも、水戸がカウンターでチャンス。
中盤を持ち上がり、前線へのパスを椿が拾って、最後は鵜木が狙いますが、GK新井がセーブ。
61分、水戸は負傷した楠本と安永を下げて、山田と高岸を投入。
65分にも、水戸のチャンス。
中盤左でパスを受けたタビナスが中央へ入っていき、安藤とワンツーで完全に抜け出しますが、GK新井が飛び出して対応。
67分、ジェフは見木を下げて、リカルド・ロペスを投入。
74分、水戸は安藤、鵜木を下げて、唐山、柳町を投入。
70分頃から、水戸に疲れが見え始めます。
76分、ジェフが先制。
高木からの横パスを受けらリカルドがスルーパスを送ると、米倉が右のハーフスペースを走り込み後ろから倒されPK。
これをソロモンが決めて1‐0。
77分、ジェフは秋山、米倉を下げてダニエル・アウベス、福満を投入。
85分にも水戸のチャンス。
タビナスのクロスをファーの黒石がフリーで狙いますが、大きく吹かします。
93分、ジェフは高木を下げてレオンソを投入し、そのまま右シャドーに。
95分にも水戸の決定機。
CKの流れから鈴木が左サイドを抜け出して中央へ送ると、高岸がシュートを放ちますが、GK新井がセーブ。
試合終盤まで水戸が攻め続けますが、スコアは変わらず。
1‐0でジェフの勝利となりました。
■カウンターを作れなかったこととプレス+リトリートが作れなかったこと
ジェフは前節途中から、守備時に高木が少し前に出るポジショニングをすることが増えました。これによって、DFからのパス出しを阻害するつもりだとは思うのですが、逆サイドの見木は引いたまま。
結果的に相手チームは右サイド後方の選手がフリーになって、前を向く回数が増えてくる。
そこから攻め込まれるので、ジェフの左サイドは守備で集中砲火を浴びるような状況になることが多いですね。
特に水戸の右SB黒石は攻撃センスのあるタイプで、幾度なくそこからチャンスを作られてしまいました。
また、ジェフはビルドアップ時も後方でのパス回しが遅く、水戸のプレスに苦労していました。
プレスからボールを失い相手に流れを持っていかれる展開も多く、ビルドアップの質にも課題の感じる試合だったと思います。
今シーズン後半に入ってからは、ボール保持から優位に進める試合も少なくなっている印象です。
さらに、カウンターからもチャンスは作れず。
Twitterでも話しましたが、これはもう尹監督が就任してからの長らくの課題で、ジェフはリトリート守備がベースなのにカウンターを作るのが得意ではないというのが大きな課題ですね。
就任当初にはボールを奪っても上がるなという指示を出していましたし、ともかく失点しないことが大事という発想なのでしょうか。
もともとユン監督体制になって一番の課題は、守備サッカーなのにカウンターを作れないことだと思ってます。
— arata (@aratasuzuki) 2022年10月2日
遅攻も速攻も厳しいし、引いて守っても相手のパスの出先を完全には抑えきれず、ディフェンシブサードでの守備が増えてしまっている。
そうなると、やはりこのチームは引いて守るよりも、昨年後半のように前に出て我武者羅なハイプレスを仕掛けて、守備では中盤でボールを奪い、攻撃は質より量で仕掛けるしかないのではないかとも思います。
特にプレーオフからの昇格を考えると、相手のクオリティ頼りとなるミス待ち状態では厳しいのではないかと。
実際、ここ5試合で言うと、金沢、岩手、水戸とジェフより下位のチームには勝てて、熊本、山形とジェフより上位のチームには負けるという結果が明確に出ています。
ただ、それをやってしまうと、90分間は持たずに息切れすることもあるので、怖くて前へは出れないということでしょうか。
確かにスタミナ切れを起こして、失速した試合も少なくなかったと思います。
そう考えていくと、やはりプレスとリトリートをうまくミックスすることが出来なかったことが、カウンターを作れなかったことに次いで、チーム作りにおける大きな課題だったように思いますね。
とはいえ、水戸戦には勝てたということで、何とかPO進出のチャンスは残っている。
残り試合数も少ないですし、あと少し頑張ればJ1昇格もあり得るということをモチベーションとして、前への姿勢を少しでも回復してほしいところですね。