鈴鹿が終わった後のアメリカGPに、悲報が流れました。
レッドブルの総帥であり創始者でもあるディートリヒ・マテシッツ氏が、78歳で亡くなったとのことです。
レッドブルの前身はタイでスタートしているのですが、当時タイでは日本のリポビタンDが人気でした。
それを真似したのがレッドブルということで、いま若い日本人に人気のエナジードリンクも源流は意外にもリポビタンDだったことになります。
マテシッツはタイでそのドリンクを知り、チャリアオ・ユーウィッタヤーと共同でレッドブル社を設立しました。
しかし、マテシッツが手腕を見せたのは、創業してから後のことでしょう。
マーケティングに力を注ぎ、F1、サッカーなどメジャースポーツだけでなく、エクストリームスポーツやeスポーツ、音楽など、若者が好むコンテンツに投資をして規模を拡大していきました。
SNSなども積極的に使用し、スタイリッシュな動画を作成しファンを増やす流れは、F1界のみならず他分野の意識も大きく変えたように思います。
かっこいいものを、かっこよく見せる。
そこに成功したのがレッドブルというイメージですが、ただ単純に広報に力を入れただけではなく、F1ではレッドブルF1チームを持つ10年近く前から他チームをスポンサードし、若手育成にも力を注いでいました。
レッドブル本社にあるレッドブル・アスリート・パフォーマンス・センターは角田などだけでなく、日本のeスポーツチームDetonatorなども今夏使用しています。
レッドブルザルツブルグ時代の宮本恒靖も本社の立派な施設に驚いただけなく、若いアスリートが参加していたことに感銘を受けていたことがあります。
派手な宣伝だけではなく、各業界の足元を支える活動も同時に行っていったことが、各分野の支持を得て人気に繋がったのだろうと思います。
スポーツ・エンタメ業界に、大きな風を吹き込んだ方だったのではないでしょうか。
改めてお悔やみ申し上げます。
冒頭が長くなってしまいましたが、アメリカGP予選ではポールポジションがサインツで、ルクレールが続くフェラーリの1‐2となりました。
しかし、決勝ではフェルスタッペンのレースペースが良く、スタートから快走。
ピットストップのミスで一時は後退しますが、ルクレール、ハミルトンとライバルをコース上で追い抜き、見事な優勝を飾りました。
2位にはハミルトンがつけており、来年以降のメルセデスの逆襲にも期待が高まる状況となってきました。
一方のフェラーリは3位にルクレールが付けましたが、アメリカでも予選では速かったものの、決勝では苦しむ展開に。
ミスの多いフェラーリですが、シーズン終盤はマシンのパフォーマンスももう1つといった印象です。
角田は予選で15位と苦しみ、ギアボックス交換のペナルティで19番手スタートに。
しかし、スタートから、一気に順位を上げて14位に。
その後もレースペースが良く、ポイント圏内を猛追します。
ところがレース中盤にハードタイヤに代えて苦しむガスリーに引っかかり、タイムをロスしてしまいます。
チームオーダーを出せば数秒は稼げたのではないかと思うのですが、チームとしてはまだ角田を信頼しきれていないということでしょうか。
角田へガスリーに仕掛けないよう指示も出していたようで、もったいない展開となってしまいました。
それでもレース終盤に巻き返すと10位でフィニッシュ。
レースを通じて力強いパフォーマンスを発揮していたと思いますし、素晴らしい週末になったのではないでしょうか。
シーズン後半は予選のタイムも上がっていましたが、なかなか結果に結びつかなかったので、ようやくのポイントゲットといった印象ですね。
もう1人、引退を表明しているアストンマーチンのベッテルも、素晴らしいレースを見せてくれました。
レース終盤にはマグヌッセンと激しいバトルをして追い抜き、8番手でチェッカーを受けています。
鈴鹿に続いて、昔の輝きを見せてくれていますね。
このレースで、レッドブルのコンストラクターズタイトルも確定。
ベッテル、フェルスタッペン、角田とレッドブルアカデミー出身のドライバーが活躍したレースでもありましたね。
バトルも多くレースも白熱しましたし、マテシッツ氏の追悼レースとして素晴らしいものになったのではないかと思います。