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2023年のジェフを振り返る前編 序盤の低迷とシステム面での試行錯誤

 もうオフの動きも始まりつつありますが、今年も今シーズンを振り返るまとめをしていきたいと思います。
 2023年のジェフは19勝10分13敗の6位でJ1昇格は逃しましたが、2017年以来のプレーオフ進出も達成しました。
 近年は二桁順位に留まることが珍しくなく、2019年に至っては17位とJ2でも下位に沈んでいたわけですから、今年の成績は十分な成果と言えるでしょう。
 それを監督としては新人の小林監督の下で成し遂げたわけですから、総合的に言えば前向きな1年だったと言えるのではないでしょうか。

 今シーズンのジェフを振り返ると、今季序盤は厳しかったという話が良く聞かれます。
 実際、開幕戦こそ1‐0で長崎に勝ちましたが、そこから8試合勝ちなしだったわけですから、監督や選手の悩みは相当のものだったのではないかと思います。
 そこから6位まで良く立て直してくれました。


 ただ、ニュアンスの問題ではありますが、あの時低迷したことも含めて今季のジェフなわけですから、特に序盤の戦い方は反省すべき部分も多いはず。
 あそこから巻き返したことは立派ですが、あの時の苦戦がなければより上の順位にいけたはずですし、シーズンの振り返りとなると前半は「低迷」がテーマになると思います。
 逆に出遅れた状況から巻き返していったからこそ、勢いに乗れたところもあったのかもしれませんが、低迷ありきでは上位進出は厳しいわけで、来季は序盤から結果を残すことが重要と言えるのではないでしょうか。

■可変システムとハイプレスでスタートしたジェフ

 これが今季の開幕戦のシステムでした。
 守備時は4-4‐2で守って、攻撃時は右SBが右CBに絞って3バックになり、左SBが前に出てWBのような位置取りをし、左SHがインサイドに入り、右ボランチが右インサイドに上がっていく。
 ただ、守備はマンマーク主体ということもあって、相手の前にかける人数によって5バック気味に守ることもあるという流動的な戦い方をしていました。

 しかし、上記の通り、第2節から勝ち星が遠ざかっていたこともあって、少しずつシステムが変わっていきました。
 特に守備時は5バックだと押し込まれ中盤が薄くなる問題もあり、早々に4バック固定化に変更するなどシステム面での試行錯誤が続きました。
 ただ、プレス時はSHがFWを追い越して相手CBを見る動きはシーズン終盤と同じで、流動的な追い方をしていました。


 システムや選手は頻繁に変わっていきましたが、小林監督1年目の新生ジェフはちばぎんカップから積極的なプレスと切り替えの速さからのカウンター。
 さらに、後方3枚とGKでパスを繋いで相手を引き付け、裏を取るビルドアップでの攻撃狙っていた印象です。
 これらは現在サッカー界の最新トレンドでもあると思いますし、J2でもよく見るスタイルとなっていると思います。

 特に積極的なプレスからボールを引っかけゴールに迫る攻撃には迫力があり、シーズン序盤からチャンスの数は非常に多いチームでした。
 しかし、そこからゴールを奪う決定力などには大きな課題が。
 これが序盤に勝ちきれなかった原因の1つと言えるでしょう。


 加えて、開幕当初は矢口、新明など新人選手たちの起用も多かった。
 若手の奮闘が明るい雰囲気をもたらしてくれた部分は大きいとも思うのですが、戦力的には厳しい状況だったと思います。
 米倉、福満、高木などベテランはサブにも入れず、怪我か病気などがあったのではないかと推測できます。

 これも序盤に結果が残せなかった要因の1つではないかと思いますし、来季に向けての課題でもあると思います。
 離脱期間が長かったのはベテランが多かったためなのか、それともチームのコンディショニングなどに問題があったのでしょうか。

■結果が残せずハイプレスを諦めて遅攻重視に

 開幕時のジェフは左SHから中に入っていく見木も含めて中盤中央でタメを作り、サイドに散らす展開を狙っていたように思います。
 これは現山形にも近いものがありますし、当初の小林監督は元同僚の渡邉監督にも近いパスワークを狙っていたのではないかと思います。
 ただ、見木は高い位置からだと相手の間でうまく受ける動きが出来なかったこともあり、左SHから外れることになります。

 それと同時に2勝目が遠かったジェフは、4月12日の藤枝戦で1‐3と敗戦。
 J2昇格組の藤枝に敗れたというだけでなく、内容的も酷いものでプレスにいく姿勢は見せたものの、運動量も足りず裏を取られて敗れています。
 それまでは勝てなくともプレスからチャンスを作ることは出来ていましたが、この試合ではそれすら出来ず相手に押し込まれる時間も目立つ文字通りの完敗でした。


 そこで翌戦からは見木を前線に回したシンプルな4‐4‐2に変更し、SHが無理にプレスにいく動きも減らして、構えて守る時間を増やしていきます。
 その東京V戦で1‐0と2勝目をあげて、そこから成績を盛り返していきます。
 無理なプレスを控えたこの時期にも、じっくりとしたビルドアップは変わらずそれが武器となっていった印象で、特にFWやSHの位置からうまく間で受ける動きが出来る風間をターゲットとしたビルドアップが、少しずつ進化していったように思います。

 ただ、5月末からの仙台戦、町田戦、水戸戦は再び3連敗
 しかも、水戸戦ではミスもあって、1‐4の大敗を喫してしまいます。
 ジェフのビルドアップに対しても対策が取られつつあった印象だし、この時期には田口や日高など主力選手に怪我人が多かったという問題もあったのでしょう。

 しかし、3連敗後のいわき戦から、ジェフはシーズン終盤の追い上げに向けて、兆しを見せる試合を見せていきます。
 このいわき戦が第21節ということで、ちょうどシーズン折り返し付近の試合でもありました。