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相手SHを捨てた4-4-2での群馬のサイド攻撃対策に苦しんだジェフ

 先日ホームフクアリで対戦した群馬。
 1-0でジェフの勝利となりましたが、かなり苦労した試合だったと思います。
 その要因の1つに、相手のジェフ対策というのがあったのではないでしょうか。

 群馬は現在武藤覚監督が、指揮を執っています。
 筑波大在学中から高校での指導を開始すると、その後U-15・U-16日本代表のテクニカルスタッフに就任。
 横浜FMのコーチを経て、日本代表のテクニカルスタッフとして、南アフリカW杯にも帯同します。


 南アフリカW杯の日本代表といえば、岡田監督が指揮を執っていたということで、横浜FMでのルートもあって加入したのでしょう。
 その後は再びユース年代の日本代表に分析スタッフとして関わるとロンドン五輪にも参加し、ここで関塚監督とコンビを組んだことで、2014年にはジェフのコーチに就任。
 その1年前には杭州緑城にもコーチとして加わっていますが、これも当時監督だった岡田監督繋がりということになります。

 基本的に分析スタッフのスペシャリストということで、岡田監督や関塚監督にも評価されていたのでしょう。
 J2もこの時期になると相手チームへの分析は当然となってきますが、群馬も攻守にジェフ対策をしっかりとしてきた印象でした。
 それによって、ジェフがリズムを掴み切れない試合だったのではないかと思います。


 群馬は武藤監督が就任してから3バックで戦ってきましたが、この日は4バックに変更。
 群馬の公式サイトによると、「前に勢いのあるジェフ相手に、パスの出どころにプレッシャーを掛けたい意図」があったとのこと。
 この4バック対策が、今のジェフへの基本となっている印象です。

 ただ、そういったシステムの変更だけではなく、群馬はジェフのSHをフリーで走らせることがほぼなかった。
 試合後にも話した通り、調子が良い時のジェフはSHが相手のスペースを取って裏を走り、相手の守備が整う前にクロスを上げて小森などがゴールを狙う。
 しかし、群馬戦ではそういった展開はほぼ作れなかったと思います。

yukkuriikou.hatenablog.com

 かといって、群馬はジェフのSHのところで、ボールを奪い切ってしまおうという意思も感じなかった。
 そこがミソだったのではないかと思います。

 SHにボールが入ったとしても、対応するのはSBのみで、そこへCBやSH、ボランチなどがサポートに来ることは少なかった。
 むしろSHには1対1のドリブルを仕掛けさせておいて、その時間でゴール前を埋める。
 これによって、スペースを取るのが得意な小森などの攻撃を凌ごうとしていたのではないでしょうか。


 その際に、群馬の逆サイドのSHが後方まで下がって、スペースを埋める仕事をしていたことも約束事となっていた印象です。
 左SH山中が下がって守る動きが目立ちましたが、これはジェフの攻撃が左サイドに偏っていたためで、右サイドからジェフが仕掛けた時には右SH樺山も下がって対応していました。
 この逆サイドのSHが、DFラインに入るような形で、等間隔に横に並んで、横のスペースを埋めていました。

 さらに左右への守備のサポートへ行かないダブルボランチも下がることで、こぼれだけにも対応する。
 これによって、ゴール前を4×2で守って、ジェフのサイド攻撃を跳ね返していった印象です。
 ジェフのFW陣は高さがないため、ゴール前のスペースさえ埋めてしまえば怖さが半減するという発想だったのではないでしょうか。


 無理矢理図にすると、こんな感じで。

 この図は20分に、松田からのロングボールを受けた田中が、股抜き抜きで右SB川上を抜いて、ラストパスを送ったシーン。
 これ以外でも田中の1対1でのドリブル突破は何度も成功していましたが、そこからチャンスが生まれることは限られていました。
 結局、相手SB1人を抜いても群馬の守備組織は中央で崩れずに残っているので、そこで跳ね返されてしまうことが多かった。


 この20分の場面でも印象的だったのが、右CB小柳が田中と川上の1対1を見て、逆にバックステップを踏んで中央へ戻っていったこと。
 守備の常識で考えるとサイドでの1対1状態になれば、近くの選手はカバーに行って抜かれた後の対応に入るはずですが、むしろ逆の動きをしています。
 このことからも、ある程度サイドでの1対1はやられても良いからゴール前のスペースを消して、小森にシュートを打たせない対応をしていたのではないかと思います。

 対するジェフの攻撃に関しては、やはり少し幅が狭いのかなとも思います。
 群馬も引く時は引いていましたが、前に出る時間帯もありました。
 ただ、群馬は通常時から4-4-2で中央を絞り気味に守り、中のパスコースを消す守備組織になっていたため、ジェフは中央からの攻撃を作れず、ゆっくりとSHへ展開する攻撃ばかりになって苦戦したところがあったのではないでしょうか。

 最終的には、今回も混戦の中で小森が決めてくれたゴールを守り切って1-0で勝利。
 後半はスタミナ切れも起こし守備面でも苦労しましたし、課題も目立つ試合だったように思います。