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磐田の流動的なSHとボランチの動き

 昨日お伝えした通り、Jリーグがさらなる開催の延期を決定しました。
 ここ数週間、当ブログでは4月上旬再開か4月中旬再開の2パターンを考えてエントリーを書いてきましたが、さすがに5月までとなるとネタが切れそうで、どこかでお休みするかもしれません。

 ちなみに、DAZNはJ2の開幕戦のアーカイブを3月24日(火)まで延期していたのですが、アーカイブの期限が切れるタイミングで4月上旬まで再延期されていました。
 アーカイブ延長はありがたいことではあるのでしょうが、私はアーカイブが24日までだと必死に視聴して文章も書いてきたので、もう少しでも早く言ってくれれば…とつい思ってしまいました。
 ともかく、ブログを書く側も新型コロナウイルスにかなり振り回されて、さすがに疲れてきました。


 さて、今日は磐田対山形戦についての続きをお伝えします。
 山形戦での磐田は選手たちの基礎能力の高さをベースにしつつ、選手とボールの動かし方にもうまさを感じました。
 特にSHとボランチの流動的な動きによって、中盤で前を向く形を作るのが特徴なのかなと思います。
 そこに小川航基、ルキアンとポストプレーヤー2人も絡むことによって、攻撃を作っていった印象でした。

 例えば、29分の場面。

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 磐田が左サイドからクロスを上げたものの跳ね返され、それを左後方で拾い直したSH大森が左前方のSB宮崎とパス交換をしたところからスタート。
 左サイドでパスを繋いでいるうちに、波線で表示したようにボランチの上原が左前方にフラフラと動いていきます。
 これによって、相手の中盤選手を釣り出す形となりました。

 これが青い四角で表示したスペースで、ここにもう一方のボランチ山本が侵入していき、ボールを受けます。
 そして、山本は少し持ち上がって、縦の小川航基に楔のパス。
 小川航基は中央のルキアンに落とし、そこから逆サイドのSH松本なども絡んで攻撃を仕掛けていきました。


 ゴールには至りませんでしたが、非常に面白い攻撃でした。
 磐田はその前後でも同じように、SHとSBが開くことで相手を外に引き付け、相手のハーフスペースを空ける動きをしていた。
 そこにボランチが飛び出すことによって、攻撃を狙っていたように見えました。

 かと思うと、この攻撃の前のシーンでは、左SH大森がハーフスペースの前方で起点となって相手を中央に引き付け、外のスペースを空けた。
 そこから宮崎がオーバーラップを仕掛けて、フリーでクロスを上げています。
 このクロスもゴールには結びつかなかったものの、そういった左サイド外からの攻撃があったからこそ、SHとSBが外に出た時にはハーフスペースが空いたのかもしれません。


 この辺りの流動的な動きが印象的で、SHが中に入って前方で起点となったり、SHとSBが大外に出てボランチがインナーラップを仕掛けたり、ボランチがDFラインまで下がって3バックになりSBを押し出したりと、いろいろな攻撃の形を見せてくれました。
 5レーンといえば5レーンの攻撃にもなるのでしょうが、かっちりとパターン化しているようには見えないし、明確に5レーンだけを狙っているようには思えない。
 意識して5レーンを使っているのではなく、あくまでも攻撃の中で結果的に5レーンも使っているのではないかと感じます。

 それが本来正しい在り方で、あくまでも戦術はトレンドにせよ、古いものにせよ、勝つために使用するもの。
 戦術のためにチームを成り立たせるのでは本末転倒であって、勝つために戦術を用いるのが本来あるべき姿なのでしょう。
 最近のネット上では、戦術ありきの論調が多すぎるようにも思わなくもありません。


 4-4-2における攻撃時のSHの重要性は、2008年に名古屋で監督を始めたころのストイコビッチ監督も話していたことがありますし、もっと古くから言われていることだと思います。
 SHが中に入ればSBのスペースは空くけれど外は薄くなるし、逆にSHが外に張ってばかりでも中に厚みが生まれない。
 そういった中と外のバランスを開幕戦での磐田はうまくやれていたと思うし、そこにボランチなども絡んでより流動的な攻撃が作れていたのだと思います。

 さらに小川航基、ルキアンと2人もポストプレーヤーがいることによってターゲットへのマークが分散し、山形の守備は対応が難しい状況になっていた。
 2人は共に相手DFを背負っても踏ん張れるので、高い位置で起点になれるし、落とす動きも正確。
 さらにどちらも動けるFWなので、ポストプレーヤー2人を並べても機動力の面で問題が起こりにくかったことも重要だと思います。

 ジェフも今年の開幕戦では、クレーベと川又と大型FWの2トップでスタートしました。
 ただ、そこに放り込むだけでは攻撃は難しいでしょうし、ポストプレーヤーといっても磐田の2人とは大きく特徴が異なる。
 2人をどう活かし、どうサポートしていくのか気になるところだったのですが、この長期中断がもどかしいところですね。

3度目のJリーグ開催延期と五輪・パラの延期

 昨日のJリーグ実行委員会にて、新型コロナウイルスの影響により、さらなるJリーグ延期が発表となりました。
 これで今年のJリーグの延期は、3回目ということになります。

yukkuriikou.hatenablog.com
yukkuriikou.hatenablog.com


 ここまでの経緯を振り返ると、Jリーグはまず2月25日(火)に、3月15日(日)までの公式戦開催延期を発表。
 さらに3月12日(木)に、3月18日(水)から3月29日(日)までの再延期を発表しています。

 そして、今週に入り4月からの再開を検討するため、3月23日(月)にプロ野球との「新型コロナウイルス対策連絡会議」を実施。
 そこで専門家から「早期開催は難しい」と意見が出たため、目標としていた4月3日(金)からの再開は厳しい状況となりました。
 そのため、Jリーグでは4月18日(土)から再開か、5月2日(土)から再開かを、3月25日(水)での実行委員会で検討するという話になっていました。

www.jleague.jp

  その実行委員会で出た結論が、4月3日(金)以降の試合の延期。
  そして、J3は4月25日(土)、J2は5月2日(土)、J1は5月9日(土)からの再開を目指すとのこと。

www.jleague.jp

  ただし、再開後2カ月程度は、観客の前後左右の席をあけること、来場者は収容率の50%程度とすること、アウェーサポーターの観戦自粛などを、対策として考えているようです。
 前後左右は空けるとして斜めの席はどうなのか、待ち列で密集する問題はどう対応するのか、すでに多くのシーズンシートを販売しているクラブはどう席を分散するのかなど、難しい問題が残りそうです。
 会見の内容に関しては、NHKニュースがシンプルにまとめています。

www3.nhk.or.jp

 一方ですでに大きく報道されている通り、東京オリンピックパラリンピックの1年程度の延期も、Jリーグ延期決定前日の3月24日(火)に承諾されました。
 これによってJリーグの日程や会場に余裕ができて、延期しやすくなったのではと思っていたのですが、村井チェアマンは否定しています。
 もっとも、五輪の延期によって、Jリーグも延期しやすくなったとは言い難いのかもしれませんが。

www3.nhk.or.jp


 個人的にはTwitterでもつぶやきましたが、サッカーなどメジャースポーツで成功している選手、裕福な国の選手などは1年間延期しても、大きな問題なく対応できるのではないかと思います。
 しかし、貧しい国やマイナー競技、パラリンピックの選手などは、1年も延期すれば大きな問題が起きかねないのではないでしょうか。
 自腹を切って活動している選手もいるかもしれませんし、活動予算の問題が起こりかねず、スポンサーや助成金などとの兼ね合いもあるかもしれない。

 4年に1度の大会ですからそこが大きな目標だった選手たちにとっては、モチベーションなどにも影響を与えかねないでしょうし、特にパラリンピック選手は体調の問題も懸念されます。
 予定通り開催できていればメダルを狙えた選手も、結果を残せなくなるどころか、出場できなくなるケースもあるかもしれません。 
 個人的に精神障害者スポーツに関わっていることもありますが、報道する側もスポーツファンの皆さんもそういった選手たちの実情にも目を向けてほしいところです。


 もちろん、状況を考えれば開催延期は仕方のないことだと思います。
 日本は爆発的な感染を何とか抑えている状況と言えるのでしょうが、欧州の状況は悲惨なようですし、次の被害はアメリカかとも言われているようです。
 オリンピック・パラリンピックとなれば、世界中から多くの人々が集結してくるわけで、日本だけ感染を抑えても開催することはできないはずです。

 なので、延期の判断にクレームをつけるつもりではなく、素直にこういった状況になってしまったことを、とても悲しく思ってしまいます。
 その一方で単純に延期や中止を喜び、それが選手のためであるという意見を目にしてしまうと、若干の違和感を覚えます。
 オリンピック・パラリンピックはメジャースポーツだけではなく、マイナースポーツや貧しい国の選手達でも主役になれることこそが醍醐味ではないかと思いますし、それを考えた上での発言なのかどうか。

 ただ、新型コロナウイルスによって地球規模の問題が発生してしまった以上は、どこかで妥協しなければいけないのも事実。
 オリンピック・パラリンピックは国内でも反対意見が多かったですが、これを機に大きな難題を乗り越え無事開催にこぎつけることによって、国内が一致団結できるといいなぁとも思います。
 そのためには、当然これからが大事なところですし、関係者や選手の皆さんは挫けずに頑張ってほしいと思います。