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14位で折り返しのジェフ 琉球戦で問われるプレスの質

 連戦中のJ2ですが、9月23日(水)に第21節が終了。
 これでシーズンの折り返しということになります。
 新型コロナウィルスの影響により異例の過密日程で進んでいるため、中断明けからあっという間のシーズン前半終了ですね。

 J2全体を見ていくと、ここまで北九州、徳島、長崎の3チームがリードしてきました。
 ただ、その中でも首位を走っていた長崎は、ここ6試合勝ち星なしと足踏み状態。
 その長崎を勝点3で追うのが、新型コロナウィルスからキャプテン前が復帰して一気に順位を上げてきた福岡、そこからさらに勝点3差で京都、甲府が続きます。

 その上位6チームに加えて、戦力豊富な磐田、新潟が後を追う展開。
 今後も長崎のように一気に調子を落とすクラブもあり得るでしょうし、まだまだ流動的な部分は残されています。
 しかし、2位までの昇格を狙えるチームは、あらかた固まってきたといえるのかもしれません。


 そんな中、ジェフは現在14位で2位徳島との勝点差は17と、今年も昇格はかなり厳しい状況です。
 先日も話したように、近年のJ2はピラミッドが明確になりつつある印象で、今年のジェフも中の下のポジションから抜け出せない展開となっているように思います。

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 その他のデータを見ていくと、ジェフのここまでの総得点数27は10番目に多い成績、総失点数26と14番目タイに少ない数字と、どちらもあまりうまくいっていない状況です。
 尹監督の特性を考えれば、攻撃面に関してはある程度目を瞑るべきなのかもしれません。
 しかし、守備面も思ったより整備されないなというのが正直な感想です。


 ここ数戦は守備的なメンバー構成にしたことによって、結果的に守備が改善された部分もあるとは思います。 
 しかし、愛媛戦でも間を取られるシーンは目立ち、岡山戦でも後半はラインが下がってしまいました。
 山口も相手のボランチやGKなどが低い位置からビルドアップを開始すると、プレスをかいくぐられて攻撃を作られてしまう問題が見受けられたと思います。

 もちろん選手にも課題はあるとは思いますが、戦術面においても攻守に細かなところが作り切れない傾向にある印象を受けます。
 尹監督が過去に成功したチームは土台がしっかりしていた印象で、その上で尹監督が発破をかけてうまくいったパターンだったように思いますが、今のジェフに必要なのはその土台を作れる監督ではないでしょうか。
 今年は異例の日程でもありますし、来年までは尹監督でいくのではないかとは思いますが、その時にうまくいっているかどうか、チームが傾ていないかどうかは現状では何とも言えない状況ではないかと思います。


 さて、ジェフのシーズン後半戦第1戦は、アウェイで琉球と対戦です。
 琉球は現在6勝5分10敗で、勝点23の18位。
 ただ、14位のジェフも8勝2分11敗の勝点26ですから、この試合の結果で勝点が並ぶ可能性もあります。

 下位に低迷する琉球ですが、ここ4試合は3勝1敗と好成績を収めています。
 ジェフもここ4戦は2勝2敗ですので、好調なチーム同士の対戦ということに。
 ここ最近の成績を受けて、どちらが波に乗れるのか、注目の1戦ではないでしょうか。


 ここ数戦の琉球には特徴があって、町田には2‐4で敗れ、大宮には5‐1で勝利、京都には0‐1で敗れていますが内容は一方的な京都ペースで、水戸戦は3‐2で勝利、そして前節松本戦では6‐1で大勝しています。
 スコアが激しく動いた試合が多いだけでなく、試合内容も白黒はっきりとつくことが多い印象です。
 好調ではありますが、波が大きいということでしょうか。

 琉球は攻撃的なチームなだけに、攻守において前への姿勢が見せられるかどうか。
 琉球の選手が前を向ける状況を多く作れれば、今は勢いもあるだけに琉球ペースになりやすい。
 しかし、琉球は受けに回ってしまうと、守備時の寄せも甘い傾向にあるし、サイズの問題もあって大きく苦戦する試合が多いように思います。


 それだけにジェフとしては、プレスに行って簡単に前に向かせないようにしたい。
 しかし、チーム状況の問題も大きいでしょうが、松本もプレスに行ったものの琉球にかわされて6失点もしてしまった。
 ただ単純にプレスに行けばいいというだけではなく、琉球のパスワークを止められるだけの精度と速度と強度を持ったプレッシングが必要になってくると思います。 

 琉球も守備面においては課題が大きいチームで、総失点37は山口と並んで最下位の成績。
 山口とは違って前への姿勢を変えていないチームですし、ジェフが良い守備をできれば得点のチャンスは広がっていくのではないでしょうか。
 尹監督が就任して守備的なサッカーを目指しているジェフは、前からのプレスの整備が目下の重要課題ではないかと思いますし、それを掻い潜ろうとしてくる琉球戦はプレスの質が問われる大事な試合となるのかもしれません。

サイド攻撃のクオリティ問題を感じ山口に1‐2の敗戦

 元々は積極的にプレスをかける山口と引いて守るジェフだったはずですが、山口は前節から無理なプレスを掛けなくなった。
 そして、ジェフもここ数戦はメンバーを変えて前にもいくようになって、結果的に同じようなガテン系のチームになりましたね。
 だからこそ、攻守において少しずつのクオリティの差が、見えた試合だったようにも思います。

 山口はボールこそ保持される時間が長かったと思いますが、ジェフよりも1人1人の守備に粘り強さを感じた。
 また、攻撃に入った時の狙いもはっきりしていたと思います。
 もちろん山口もここまで最下位のチームで、課題も多く特にミドルサードからアタッキングサードへのボール運びには雑さも目立ちましたが、勝つべくして勝った試合だったのではないでしょうか。

 ジェフも主に攻撃面の課題が目立った印象で、特にサイド攻撃にクオリティ問題を感じました。
 解説の名良橋も話していた通り、山口はある程度ジェフの左サイドには攻撃させてOKという分析だったのではないでしょうか。
 ジェフはパワーを前面に押し出したアバウトな攻撃でここまでやってきて、今回もそれで1点は取れましたが、アバウトな攻撃では相手がゴール前を固められると苦しいし、点を取りたいという時に奪いきれない。
 その問題が、この試合で出てしまったのではないかと思います。

■一進一退でスコアは動かず折り返し

 2連勝中のジェフはチャンと小島がメンバー外で、岡野と見木がスタメン。
 サブには増嶋と高橋が入りました。

 山口は前節ボランチだったヘナンが出場停止で、代わりに慶応大から特別指定で所属している橋本が左SBに。
 前節は左SBだった田中パウロがウイングに上がり、トップ下の池上がボランチに、ウイングの高井と小松の2トップになりました。
 ベンチには山口U-18から2種登録され、今年7月に16歳11か月でJ2最年少ゴールを決めた河野などが入っています。


 4分、ジェフの攻撃。
 矢田が高い位置で奪ったところから、左サイドへ。
 為田がカットインしてシュートを放ちますが、GK吉満の正面。

 6分には山口のチャンス。
 CB眞鍋からの縦パス、浮田が落として高が受けるとスルーパス
 小松が抜け出してシュートを放ちゴールネットを揺らしますが、オフサイドの判定。


 12分にも山口の攻撃。
 後方に下がった高からロングパス。
 高井が持ち上がってミドルシュートを放ちますが、GK新井の正面。

 14分にも山口の攻撃。
 山口が中盤の右で得たFK。
 池上が蹴ると、ニアで眞鍋が合わせますが枠の外。


 立ち上がり以降は山口のペースかと思いましたが、前半中盤からは一進一退。
 30分にはジェフのカウンター。
 中盤で矢田が持ち上がり高をかわして、左サイドの為田がパスを受けると、そのままシュートを放ちますが、GK吉満の正面。

 40分、セットプレーからジェフのチャンス。
 左サイドからのCKを田口が蹴るとゴール前で山下が合わせますが、ゴールの右をそれます。
 前半終盤はジェフが押し込んでいきますが、山口の守備陣も粘りを見せ0-0で折り返します。

■攻め込むも奪いきれず逆に失点し1‐2で敗戦

 HTでジェフは、川又を下げてクレーベを投入。
 後半序盤、ジェフはボールを保持する展開が続きますが、山口の守備を崩せずチャンスは作れません。

 59分もジェフの攻撃。
 岡野からの浮き球のスルーパス
 クレーベが飛び出してシュートを放ちますが、田中がブロック。


 するとその直後、山口の先制ゴール。
 高からのロングパスに、浮田が粘って田中パウロへ。
 田中パウロがダイレクトでクロスを上げると、ファーで高井が安田に競り勝ってゴール。

 61分、山口は田中パウロを下げて森を投入。
 ビハインドのジェフは64分、ジェフは矢田を下げて堀米を投入。
 しかし、先制した山口のペースが続きます。 


 65分、山口が完全にジェフを崩して追加点。
 左サイドで高井と森がパス交換をしていると、上がってきた橋本にバックパス。
 橋本のスルーパスを受けた高井が中央に侵入していくと、最後は小松がシュートを決めて0‐2。

 79分、ジェフは山下、安田を下げて、船山、田坂を投入されそのまま同ポジションに入りました。
 80分にも山口のカウンター。
 橋本が田口の後ろでボールを持つと、そのまま持ち上がり岡野をかわしてシュートを放ちますが、枠をとらえきれず。


 81分、山口は高井を下げて村田を投入し、村田が右SHに入り、浮田がFWに回りました。
 86分、ジェフは岡野を下げて増嶋を起用。
 89分、山口は怪我明けの菊地と武岡を投入し、池上と橋本を下げ、菊地がCB、武岡がボランチで眞鍋が左SBに回りました。

 91分、ジェフが1点を返します。
 右サイドからのロングスローがファーに流れると、船山が足元でシュート。
 これが決まりますが、1‐2でジェフの敗戦となりました。 

■サイドのサポート不足と為田問題

 冒頭で話した通り、山口はジェフの左サイドは攻めさせても良いという判断だったのではないでしょうか。
 その分、中央を厚く守ることによって、ジェフの攻撃を跳ね返すと。
 ジェフは後方を固められて跳ね返される展開は久々だったと思いますし、そこで攻撃面のクオリティ問題が出てしまったように思います。


 ジェフのサイド攻撃がうまくいかなかった要因はいくつか考えられますが、1つはサイドへのサポートが少ないという問題。
 SHがボールを持っても、サポートに来るのはSB1人。
 これによってサイドで2人にはなりますが、守備側も基本的にサイドは2枚ですから、数的同数でありコンビネーションで崩せない。

 象徴的だったのが、山口の2点目でしょう。
 このシーンでは高井、森、橋下と左サイドで3人が絡んだことで、ジェフのサイドを確実に崩してゴールを奪った。
 対するジェフはサイド攻撃が多いにも関わらず大外からのクロスばかりで、こういったパターンがほとんど作れません。


 これをベンチで見ていたのか、途中投入の船山はサイドのサポートに行く機会もありましたが、それだけ船山もサイド攻撃がうまくいっていないと判断したのではないでしょうか。
 確かにジェフの前線は明白な2トップですからサポートには行きにくいかもしれませんし、その分高さで勝負という狙いもあるのでしょう。
 しかし、この日はその中央を抑え込まれていましたし、こうなるとやはりパワープレー気味の攻撃だけでなく、コンビネーションで崩せる術が必要なのではないかと思ってしまいますね。

 また、単純に中央で攻撃が作れないからこそ、サイドにボールを追い出されて苦戦したともいえるのかもしれません。
 山口は前線がしっかりと守備をするし、ボランチの高やCBのヘニキや眞鍋の守備力も高い。
 そのため、ジェフは結果的に中央を避けてサイドばかりに展開し、単調な攻撃になってしまったように思います。


 さらに左サイドにボールが入った後の攻撃の質も、問題になったように思います。
 この日は幾度となく為田が仕掛けたものの、ゴールが生まれなかった。
 何度かブログでは話しているように、為田は仕掛けの質こそ高いものの、クロスやシュートの質には課題が残る。

 為田も好調な時やカウンターでゴール前にスペースがある時などは、良いボールを上げられることがありますが、基本的にはスペシャルなキッカーではないと思います。
 今回のようにゴール前で相手がクロスを待って跳ね返そうとしている時には、クロスの質が求められ厳しい状況になることが多い。
 この課題が今年も出てしまったように感じます。


 しかも、現在は右に矢田と本村を起用している。
 矢田は左利きで中央に行けなければ逆サイドへのパスが増えるし、本村も基本的には守備の人で縦への仕掛けなどは少ない。
 そういった状況で相手に中央を封じられると、どうしてもチーム全体として最終的には左サイドで終わることが多い。

 ようするに、いわゆる"ビルドアップの出口"が為田になるケースが多かったわけですが、その為田は最後の質に課題があるということで問題が生じた試合だったようにも思います。
 山口は前節東京V戦でもパスの出所である藤田を封じて2‐1で勝利していますし、ジェフの分析もがっつりとした上で対策を取ってきたということでしょうか。
 ジェフはその術中にはまってしまったということかもしれません。

 ジェフとしてはようやくメンバーを固定化したわけですが、メンバーを固定化したからこそ、相手は対策を取りやすい状況となったのかもしれません。
 しかし、その対策を乗り越えてこそ、本当に強いチームが作れるというもの。
 守備は改善の兆しが少しずつ見え始めてきましたが、今度は攻撃面でアバウトな展開だけでなく、確実な展開を作れるようになっていきたいですね。