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寿人の引退、工藤、大野の契約満了、クレーベの横浜FC移籍

 今年も引退、契約満了の選手が続いており、寂しい季節ですね。
 これだけベテランが多いと、どうしてもこういった退団が増えてしまうし、チームに選手も定着もしない。
 それがここ数年のジェフの大きな課題でもあると思いますが、はたしてこのベテランに頼るスパイラルから脱出することができるのでしょうか。

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 何度か話していますが、寿人との思い出というと、ユース時代まで遡ります。
 1990年代後半のジェフは予算も厳しくJ1で苦戦していましたが、一方でユースチームは結果を残していた。
 そのため、当時のジェフサポはユース黄金世代に大いなる希望を抱き、私も「今我慢すれば若い選手たちが出てくるからな」とジェフサポ仲間と励まし合っていました。


 早期に飛び級でプロデビューを果たした阿部は別格でしたが、阿部以外で特に注目されていたのが寿人や山岸など前線の選手たちでした。
 トップチームでなかなか日本人FWが出てこない問題もあって、寿人などの注目度は高かった記憶があります。
 しかし、寿人はプロ入り3年目と早い段階でC大阪にレンタル移籍すると、そのままジェフには帰らず仙台でブレイクし、広島へ移籍してしまいます。

 その間、ジェフは欧州路線をはじめ、オシム監督で一気に黄金世代が開花します。
 そのため、寿人の移籍もそこまで大事にはなりませんでしたが、それでも残念な思いも強い選手でした。
 移籍の決断は仕方のないものだと思いますが、ジェフから旅立ったライバルといった印象が強いですね。

 
 その後、ジェフに18年ぶりに復帰はしたものの、クラブとしてどう使いたいのかはわからない状況でした。
 当時のエスナイデル監督体制は1トップで長身FWを起用していたし、あのままエスナイデル監督が指揮を執っていたら今以上に出番はなかったかもしれません。
 さらに尹監督体制になってからも、ロングボールが多く寿人を活かすようなサッカーではなかった。

 寿人は特殊なプレースタイルというか、クラシックな裏抜けのストライカーですから、どんなサッカーにも合うといったタイプではないでしょう。
 オシム監督も日本代表で寿人をSHで起用していたくらいですし、ジェフに復帰してからもハマらない展開では消えてしまうことが多かった。
 そう考えるとジェフに残っていても活躍出来ていたかはわからないし、若い頃に転々として自分がチームに合わせるのではなく、自分が合うチームを探したのは大正解だったのかもしれません。


 スルーパスやクロスへの反応が非常に速い上に、相手との駆け引きから裏に飛び出すタイミングが素晴らしく、ワンタッチで合わせる技術も高質。
 そういった寿人のプレーはよく若い選手のお手本とも言われますが、あれは寿人の持っている天性の才能であり、簡単には真似できないものではないかと思います。
 寿人も名古屋時代には既に運動量が落ちて、長時間の出場では守備なども期待できなくなっていました。

 それでも一瞬の裏抜けだけは、ジェフに移籍してからも鋭いキレを見せていた。
 そこに関しては最後まで錆付かなかったわけで、持って生まれた才能なのではないでしょうか。
 もちろんその技術を取得した背景には、並々ならぬ努力もあったのでしょうが、他に真似できる選手がいるかというとそうはいないように思います。


 若い頃から非常に真面目なだけでなく、芯を強く持った選手だったと思います。
 だからこそ、早期に移籍したのでしょうし、長くぶれずにプレーしてJリーグ総得点数2位と輝かしい結果を残せたのではないでしょうか。
 寿人こそ今のジェフに必要な人材ではないかと思いますし、クラブに残ってほしい気持ちもありますが、このタイミングで発表がないということは難しいのでしょうか。

 寿人の場合は、引退後も引く手あまたなのかもしれませんね。
 本人の広島への愛着も強いのではないかと思いますし、広島に戻るのでしょうか。
 ジェフとは縁がなかったという印象も強い選手でしたが、お疲れさまでした。 

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 発表順とは異なりますが、寿人との繋がりで取り上げ順を変えていきます。
 工藤は先日公開されたばかりのインタビューで、以下の通り現役続行を示唆していましたので、引退はないのだろうと思っていました。

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新型コロナウイルスで辞めた」ってならないようにまだまだ頑張ります。

 工藤を振り返ると、ジェフユース黄金世代において末っ子のような立場でした。
 オシム監督時代にトップ昇格したため、当初は選手のレベルも高く途中出場が多かったですが、インタビュー内でもあるようにアマル監督が就任してから出番を増やしていきました。
 しかし、その後はクラブのごたごたもあってチームも低迷、J2にも降格して工藤も退団と、振り返ると辛い時期を歩んできた選手と言えるのかもしれません。


 2018年夏に復帰すると攻守に運動量豊富な動きで貢献し、周りを活かしたパスワーク、相手の間で受けるプレーなどで、チームを活性化して見せました。
 昨年もシーズン途中までは出番が少なかったものの、シーズン終盤はレギュラーとしてプレー。
 クレーベと共に前線の主軸となり、24試合に出場しています。

 今年は6試合出場にとどまりましたが、クレーベと2トップを組んだ11月11日の松本戦では可能性を見せてくれました。
 クレーベが走らない分、工藤が動き回って攻守にボールに絡み、クレーベの落としを拾うことで、攻撃のリズムも作り出していきました。
 これを見るとやはりクレーベの運動量は足りず、相方には走れる選手が必要なのでしょう。


 クレーベの成績を見ても、結果的にクレーベをうまく活かしたのは工藤と併用した江尻監督の方だったということになるし、そういった点で尹監督はまだ信頼しきれないところがあるようにも思います。
 走れない選手を起用するのも構わないとは思うのですが、それをサポートする策を講じなかった。
 もちろん工藤はサイズの問題もあり尹監督の好みのは合わなかったのかもしれませんが、それにしてもクレーベ問題に対して無策だったように思います。

 工藤に関しては、インタビューで以下のような話もしています。

高卒でチームに入って、監督がイビチャ・オシムさんで良かったと今も率直に思いますね。自分のプレースタイルも変わりましたし。
それまでの自分は、どちらかというと、ボールを受けてから考えていたという感じでした。昔でいう「王様」じゃないですけど、「まずボールを自分に集めてくれ」というタイプでしたね。
それが、自分がボールを受けるというプレーだけじゃなくて、次の人のためにスペースを空けることだったり、チームのためにやらなきゃいけないことをいろいろ教えてもらったんです。

 周りの選手のためにスペースを作り、チームのために動く。
 この辺りも今のジェフの選手たちに、欠けている課題ではないかなと思います。
 だからこそ、ベテランになっても工藤の存在感が光ったのでしょう。

 36歳という年齢がネックになる可能性はあるでしょうが、まだ良いチームに巡り合えば十分戦力となる選手ではないでしょうか。
 長くジェフでプレーしてくれた選手ですし非常に寂しいですが、工藤はどこに行っても飄々とやってくれそうですから、あまり心配はないですね。
 まずは良いチームが見つかることを期待しています。

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 クレーベの横浜FC移籍に関しては、報道に出た段階でお話しした通り。

yukkuriikou.hatenablog.com

 工藤の話の流れでも書きましたが、尹監督は守備のできないクレーベに特別扱いしなかった印象です。
 シーズン終盤こそさすがにSHが前に出てプレスをかけていきましたが、それもクレーベへのサポートというよりは戦術的な修正だったようにも思います。

 そして、そのSHも絡んだプレスを機能させるためにも、やはり2トップのプレスが必要だった。
 最終節もそうだったようにクレーベと船山がプレスに行ける時間帯は良いものの、クレーベがプレスに行けるのは一時的な時間帯だけで、それ以外の長い時間は苦戦してしまう。
 そこが堅守のサッカーを作り出す上で、致命的な課題だったと思います。 


 それだけに来年は例え得点力などには目を瞑ったとしても、ターゲットになれて守備ができる外国人FWか。
 あるいはターゲットになれて個人技でカウンターを作り上げ、結果的に守備を助けられる外国人FWが必要ではないかと思っていました。
 幸いにも川又と山下が残ればCFは最低限の計算ができるでしょうし、外国人FWを入れ替えてギャンブルできる状況は整っているはずです。

 クレーベはシーズン終盤に調子が上がってきたとはいえ、守備で貢献できないFWが7ゴールという結果は寂しいもの。
 外国人枠や予算の問題もあるでしょうし、放出は自然な流れではないかと思います。
 コメントからも感じるようにピッチ外では真摯な人柄だったと思いますし、J1でもなんとか結果が残せるといいですね。

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 最後に栃木にレンタル移籍していた大野の契約満了が、発表となってしまいました。
 栃木でも満了となっています。

www.tochigisc.jp

 城西国際大から2016年、ジェフに加入した大野ですが、加入後はなかなか出番がありませんでした。
 しかし、2018年にチームの苦戦もあって起用されると、ビッグセーブなどを見せるなど活躍。
 今後に可能性を見せてくれました。

 けれども、2019年は再び出場機会なしで終わり、今年は栃木にレンタル移籍。
 栃木でもベンチ入りする試合などはありましたが、出場機会はなし。
 そのまま、両チームで契約満了となっています。


 決定的だったのは7月末に正GK塩田が負傷した後、横浜FMから22歳のオビがレンタル移籍してきたこと。
 オビが加入するまでの期間はベンチ入り出来ていたのですが、その後は再びメンバーから外れ、オビが試合に出場していきました。
 なお、そのオビは新型コロナウイルスによる特別ルールで、たった3か月で横浜FM復帰を果たしています。

 それだけ大野は、あまり評価が高くなかったということになるでしょう。
 ただ、GKは出場機会も限定されており成長の難しいポジションでもあるし、2018年にはフィジカル能力の高さも見せてくれました。
 まだまだ何があるかわからない状況ですし、次が見つかるといいですね。

 ちなみに、栃木には溝渕もレンタル移籍していますが、溝渕はシーズンを通して見事に活躍していました。
 同時期に発表がないということは、完全移籍が検討されているのか、次の移籍先を模索しているのでしょうか。
 なお、今季は乾、杉山、古川など他にもレンタル選手が多いので、彼らの今後も気になるところです。

増嶋、田坂の現役引退と本田の契約満了

 シーズン最終節を前に、引退や契約満了選手の発表がありました。
 今年はシーズンオフも短くなるでしょうし、これから一気に多くの発表が来る可能性もありますが、個人的な時間の問題もあるので少しずつ取り上げていきたいと思います。


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 まず、12月10日(木)、増嶋の契約満了が明らかになりました。
 しかし、12月20日(日)、最終節の試合直前に現役引退となりました。

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 ジェフで3年間プレーした増嶋ですが、長くプレーしてきたこともあって、選手生活全体で振り返るとジェフ以外でのイメージの方が強いのではないかと思います。
 個人的にはJ1優勝も果たした柏時代、大きな期待を浴びた市船時代の印象が強く残っています。
 特に市船時代は、2002年日韓W杯開催前後ということもあって、宮本の後継者とも言われていました。

 今でこそ吉田麻也、冨安など海外でも通用するような長身CBが出てきていますが、当時の日本サッカーはCBの高さ問題が頻繁に取り上げられ、JFAも対策に乗り出していました。
 その選手たちが、市船中澤聡太であり、増嶋であり、渡辺広大でした。
 特にキャプテンシーもあり足元の技術もある増嶋は大いに注目されていましたが、非常に期待が高かった分プロ入りしてからは伸び悩んだ印象も強く、歯がゆく思うファンも少なくなかったのではないでしょうか。


 それでも長い時が経ちジェフに入ってからは、円熟味も感じて課題だった安定感も増し、高さや強さも見せてくれたと思います。
 ただ、山口智ストヤノフなどもそうでしたが、こういったタイプのベテランはスピードに課題があると自ら分かった上で自分の間合いでプレーする傾向があるため、どうしてもラインが深くなりがちになります。
 それもあって、3年間安定してレギュラーでプレーするというところまでは至らなかったのではないかと思います。

 特に尹監督は本来チャンや鳥海のようなタイプで、CBを組みたかったのではないかといった印象を受けます。
 2人はそれなりにスピードもあってカバーリングも得意な選手ですから、そういったCBを並べてラインをキープしたかったのではないでしょうか。
 今季終盤には新型コロナウイルスの影響もあって右SBで出場しますが、徳島戦では相手のドリブルにもかなり苦戦しパスミスも目立っていたので、あの試合の内容もあって引退を決めたところもあるのでしょうか。

 もともとプロ入り後の増嶋はFC東京でまとまった出番がなく、京都で右SBとしてようやくブレークした経緯もありますので、最後に右SBで出場したというのも不思議な縁を感じますね。
 ただ、やはり本来はCBの選手でしょうから、最後に右SBとして評価されるのは可哀想な部分もあったと思います。
 最後までスター性を感じさせる姿勢は見事でしたし、増嶋も出来ればもう5年早くジェフに加入していれば、また印象も大きく違ったのだろうなと思います。
 柏でのプレーも長くライバルといったイメージも強い選手でしたが、お疲れさまでした。

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 田坂というと、2008年に大学卒業直後から、川崎で活躍した選手というイメージです。
 2012年夏には海外移籍も経験。
 ブンデス2部のボーフムでもまとまった出場機会を得て、活躍しました。

 当時は当時はテクニックもあり、前に飛び出せる攻撃的なアタッカーという印象でした。
 ただ、今考えれば単純なアタッカーというよりも、川崎らしくパスも繋げる万能な選手だったのかもしれませんね。
 それがドイツでの経験もあってより幅が広がり、後方でもプレーできるようになっていったということでしょうか。


 ジェフではSBでのプレーも多かったですが、それも本来の適正ポジションというよりは、何でもできる器用でクレバーな選手だからこそ、成立させていたところがあったのかもしれません。
 決してフィジカルが強いわけでもないし、スピードやスタミナ面で長けていたわけでもないとは思うのですが、うまさや経験でカバーしていたところがあるのではないでしょうか。
 ジェフの場合はSBの補強に苦労していたこともあって、結果的にSBでのプレーが増えたところもあったと思います。

 この器用さや賢さが、今のジェフには欠けている部分でもあるのでしょう。
 それぞれ一発での突破力や鋭いクロス、高さだとかフィジカルなどで強さがある選手は多いですが、一芸に長けた選手が多く、課題も残る選手が少なくない。
 そのため総合力ではもう1つで、チームとしてうまくまとまりきれないところもあると思います。


 その点において、田坂は貴重な存在だったと思います。
 ただし、ジェフでの田坂が最も可能性を感じだったポジションは、ボランチだったようにも思います。
 決して派手なサイドチェンジやスルーパスがあったわけではないのですが、田坂がボランチに入るとスムーズにボールが動くようになって、攻撃が活性化していく。

 縦にパスを入れる時の判断も素早く、2手先、3手先も考えつつ、自身はシンプルに繋ぐことで周りを活かすことができる。
 この点においては熊谷や小島、その他の若い選手たちも学ぶべき部分があったのではないでしょうか。
 もう少しボランチでのプレーを見たいところでもありました。


 総合的なサッカーセンスの高さを感じる選手ではありましたが、ジェフでは怪我に悩まされ続けました。
 昨年加入して1年目は8試合出場、今季も10試合出場にとどまっています。
 これがベテラン選手を補強した際の悩みで、どうしても怪我やスタミナなどの問題に悩むことが多いですね。

 田坂の場合は、引退後に川崎に戻る可能性もあるのでしょうか。
 ジェフとは短い付き合いでしたが、お疲れさまでした。

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 香川西高から2018年にジェフに加入した本田ですが、プロ入り前から大きな怪我に悩まされていました。
 加入後も怪我に苦しみ、若い選手にとってては大変な状況だったろうと思います。
 ただ、厳しい見方をすると、クラブ側からすれば怪我に強い・弱いも含めて、選手を評価をする部分もあるでしょう。

 残念なのは公式戦に出場できなかったことももちろんですが、レンタルでもチャンスを与えてあげられなかったことなのかもしれません。
 しかし、それも怪我が多い選手ということになれば、レンタル先を見つけにくいところがあったのかもしれない。
 その怪我も偶発的な怪我や小さな怪我だけならよいのでしょうが、本田の場合は大きな怪我が何度も続いてしまったところが辛いところですね。


 J2に降格してからなかなか若手の育っていないジェフですが、特に若いアタッカーは現在非常に少ない状況。
 他のJ2チームは新人アタッカーでも活躍していることが多いですし、本田も練習試合などではキレのあるドリブルを見せていたそうですから期待する声も多かった印象です。
 それだけに非常に残念ですが、来年でプロ入り4年目ということでこういった決断になってしまったのでしょうね。

 今後どういった人生を歩むのかはわかりませんが、まだ若いですしまだまだいろいろな可能性が残されているはず。
 まずは怪我のないように。
 そして、この悔しい経験を糧に、頑張っていってほしいですね。