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『権威』とは「服従するもの」ではなく「させるもの」

 なんだか、どこかの会長さんが怒ってらっしゃるようで、天皇杯の出場権剥奪という話しも出ておられるようです。
 残念だけど…まぁいいか。
 いや、それじゃよくないんだろうけど、正直に言ってしまえば天皇杯ってその程度だと思うんだ。


大分は鳥栖戦に、優勝したナビスコ杯決勝(1日)から10人、千葉は直近のJリーグ大宮戦(10月26日)から先発メンバーを7人入れ替えた。Jリーグの公式戦ではベストメンバーで臨む「最強チーム規定」があるが、天皇杯は適用外。ただ「ルールに書いていないのは当たり前だから」と犬飼会長はピシャリ。6日夜に大分・溝畑社長から謝罪の電話を受けたが、怒りは収まらなかった。
「日本で一番、権威のある大会にそのような態度で臨むならば、来年から出場しなくてもいいということでしょう。今後対応を考える」と厳しい態度でクラブの姿勢を問う考え方を明かした。(報知
 じゃあ、権威って何よ?と思う。
 何よっていうか、権威というのは「それに従うもの」ではなく「従わせるもの」でしょう。


 一応、辞書で調べてみると…。


けん‐い【権威】
1 他の者を服従させる威力。「行政の―が失墜する」「親の―を示す」
2 ある分野において、知識や技術がぬきんでてすぐれていると一般に認められていること。また、その人。オーソリティー。「心臓外科の―」
 ようするに、今の天皇杯に「他の者を服従させられるような魅力」があるのかっていうのなら、「ノー」でしょ。
 だって、実際に「天皇杯は千葉と大分を服従させられなかった」ということになるんだから。
 どこかの会長さんによると、だけどね。


 …で、じゃあなんでそうなってしまったのかってことになる。
 


 遠まわしに話してしまったけど、権威があるかないかを決めるのは主催者側ではなく周りの権威に影響を受ける側なのだということ。
 だから、天皇杯の権威の話しを会長が言いたいのであれば、その場合の問題は「服従しないチーム側ではなく、服従させることができなかった(=権威がなかった)天皇杯の方なのではないか?」ということになって然るべきなわけ。



 だって、「天皇杯の権威」なんて、実際にはほとんどないでしょ。
 『権威』なんて難しい言葉なんか使うことで話しをわかりにくくさせられてしまっているけど、例えばとして簡単な『魅力』なんて言葉に変えれば非常に話しはわかりやすくなる。


「日本で一番、魅力のある大会にそのような態度で臨むならば、来年から出場しなくてもいいということでしょう」
 こう聞くと、「それでいいんじゃない?」ってことになっちゃう(笑)
 だって、前提条件が「天皇杯は魅力(権威)のある大会」で、「その大会に臨む態度が悪い」って言う話しなんだけど、その前提条件に嘘が含まれているんだから、つじつまが当然あわない。
(もちろん権威と魅力はイコールではないけれど。)
 これがリーグ戦とかナビスコカップとかだと、「それは寂しいなぁ」「困るなぁ」ってことになると思うけど。
 …少なくとも私の中では。



 いや、会長が怒るのもわかりますよ。
 天皇杯日本サッカー協会主催の大会。
 その天皇杯よりもリーグ戦を重視したクラブに、日本サッカー協会の長が怒る。
 そういう目線で見れば、至極真っ当な話で。




 けれど、その前に大きな問題があるでしょ。
 ようするに天皇杯を“権威のある大会”にすることができていない主催者側に問題があるのにもかかわらずかわらず、それを棚に上げて“権威があるんだからしっかり臨め”っていうのはどう考えても無理があるでしょ。


 中継もなく盛り上がらない。
 大会のフォーマットは古い。
 大会の終了がシーズンの終了になってしまう。
 大会の開始時期がリーグ戦の終盤の大事な時期…。
 


 挙句の果てに大分にとっては、ナビスコ優勝直後の試合。
 この経験はジェフにもあったわけだけれど、気が抜けてしまって当然。
 そんな試合に「100%を出し切れ!」という方が無理な話しで。


 ジェフだって、リーグ戦残り4試合で入れ替え戦圏内という状況。
 捨てていい試合なんてない勝ち抜き戦レベルでリーグ戦を臨まなければならない。
 そんななかで、天皇杯の試合が入ってこられてしまっては正直に言って困るわけで。


 特にナビスコ杯の盛り上がりを見た後だと、より天皇杯の魅力、権威というのが薄れているように感じてしまいます。
 リーグ戦だって混戦で地味に盛り上がってる。
 その中で天皇杯ってどうなの?ってなるのは、当たり前なんじゃないかと。 




 ついでにだけど、なんで「監督というよりクラブのトップの判断」といえるんだろう?
 「溝畑社長は、シャムスカ監督の選手起用を止められなかったとして非を認めた」らしいのだけど、メンバーなんて直前に監督が決められるもの。
 まさか犬飼さんは浦和の時に、スタメンにも口を出していたんですかね?
 そんなわけないでしょうに。
(ということで、三木社長には謝ってほしくないなぁ。大分の社長が悪いって言うわけじゃないけど。)

 


 ジェフだって大分だって本来は公式な三大会のうちの1つなのだから、出来ることなら天皇杯にも全力を出したいはずです。
 にもかかわらず、いったいなぜ100%の力をそこに注ぎ込むことが出来ない状況なのか。
 会長さんにはそれをもう一度、現実に立って考えていただきたいと思います。





 …ってか、犬飼さんはそのあたりのクラブ目線が持てる人というのがウリで会長になったんじゃないの?
 何がウリだったのか、さっぱりわからなくなってきましたね。
 最終的に古河路線からの脱却だけがウリということに、ならなければいいのだけれど…。