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前半は今期のベストゲーム

 シーズン序盤戦を経過し、チーム間の力関係が少しずつわかり始めたところで、JリーグはGW連戦へ。
 この連戦でどれだけ結果を出せるかが、シーズン前半を占う上で非常に重要なポイントになってくるのではないでしょうか。


 ジェフはGW連戦の初戦で岐阜と対決。
 前節はアウェイで岡山に敗れていますから、負けられない試合となりました。
■前半からサイドチェンジを有効に使うジェフ
 今までの対戦相手とは違い、岐阜はDFラインから丁寧にパスをつなぐサッカーをしてきました。
 プレスへの意識も高く、試合開始当初ジェフは相手の出方に戸惑う展開だったかなと思います。
 15分には中後がボールを奪われたところから、ミリガンが裏をとられあわや失点という展開も。


 しかし、徐々に相手のサッカーに慣れていくと、ジェフは得意のプレッシングから自分達のリズムを作っていきます。
 ショートパスもつなげるようになり、相手を押し込む展開に。



 特に今まであまり作れなかったサイドチェンジの形が、有効に作れていたと思います。
 中でも右サイドのアレックスの動きが非常によく、相手の4×4の守備ブロックの隙をついてボールを受ける動きや、左SBの渡邊を良く見たロングパスが際立っていました。
(アレックスはこれに後半2,3度あった決定機を決めてくれれば完璧だったんですけどね。)
 渡邊のオーバーラップ動き出しのタイミングと動き出すコースも良く、渡邊のオフザボールの動きとアレックスのボールを受けた後のプレーがプラスされれば完璧なSBになるんだけどな…なんて思ってしまったりして(笑)
 ボールを受けた後の質に関しては、試合を経験しながら成長していってほしいですね。



 そして、前半20分。
 中盤での相手のミスを見逃さなかった倉田がボールを奪いドリブルで突破し、逆サイドから侵入してきたアレックスがゴール。
 1トップがデコイになって、片方のウイングが相手に仕掛け、もう一方のウイングがターゲットになる攻撃パターン。
 これが江尻監督が本来やりたかった得点パターンなのではないのかな?と思います。
 前半、ネットは相手にスペースを消されて、まったく良さの出せない状況だったわけですが(この展開ならフリーランニングでスペースを作れる巻の方がいいのかもしれませんけどね)、その分ウイングの2人が決定的なプレーをする…ということですね。
■今期初出場、初スタメンとなった中後
 開幕戦からこれまでの対戦相手は試合序盤にロングボ―ル主体のサッカーをしてくることが多く、ジェフのラインが押し下げられてショートパスをつなげない格好になることが増えていました。
 しかし、この試合では岐阜がしっかりとパスをつなぐサッカーをしてきてくれたおかげで、ジェフにとって戦いやすい試合展開になっていきました。



 そして、先に得点を奪えたこともあって、前半途中から相手のプレスが緩くなっていきます。
 するとそれまで機能していなかったアンカー中後が徐々に持ち味を見せられるようになっていきました。
 この試合で山口に変わり今季初出場、初スタメンとなった中後。


 起用理由として、「ビルドアップの改善」があったんだと思います。
 けれど、試合序盤は相手の守備もあって、中後がなかなか前を向けません。
 結局、工藤がDFラインの前まで下がってきて、多くのエリアに顔を出しビルドアップを促す、といういつもの展開に。


 しかし、中後の前が空くようになってきてから、相変わらずのほれぼれするようなサイドへのロングパスや、美しい前方への縦パスを見せてくれるようになってきました。
 局面での守備に関しては緩さを感じてしまうところもありましたけど、CKでは惜しいチャンスを演出し、前半にサイドチェンジの形が作れていた要因の1つとして中後の存在も大きかったのではないかと思います。
■後半途中から失速の理由
 後半4分、ネットが遠めの距離からロベカルのような小走り助走でブレ球のFKを放ちゴーり。
 ボールを触っていたGKとしては、止めたいところだったでしょうが、ジェフとしては貴重な2得点目が入ります。
 それまで良いプレーが出来ず苛立っていたネットでしたが、このプレーで徐々に乗ってきた感じですね。
 相手CBエリアの守備がきつかったこともあって、中盤に下がりボールを受けて、前を向くプレーが増えてきます。
 ただ、その分前半は自由にプレーしていた倉田やアレックスのプレーエリアが狭くなってしまったので、どちらがいいのか悩みどころかもしれませんね。


 それと、このあたりから、相手の選手の足が止まってきてカウンターを狙う展開になって行きました。
 これもネットが目立ち始めた大きな理由の1つでしょう。
 DFラインも下がり中盤に広大なスペースができ、「これはいつものスタミナ切れパターンかな?」と思うようになってきました。



 しかし、決定機は作るものの、なかなか決めきればいでいると、逆に後半25分あたりからは、ジェフの中盤の選手の運動量が一気にダウン。
 ボールがジェフの前線に渡っても押し上げることが全くできず、中盤でパスを繋がれると相手に押し込まれる状況が増えていってしまいます。


 スタミナと守備面がウリの山口ではなく中後を起用したことで、(昨年も良く見られましたが)1ボランチの守備ポジションが下がってしまう問題が出てきてしまいました。
 その1ボランチの空けたエリアをフォローするために工藤と勇人も下がってしまい、相手のボランチがフリーに。
 結果的に3ボランチどころか、3アンカーのような形になってしまっていました。


 中後の課題も出てしまった試合展開でしたが、しかし、それと共になぜそこまで1ボランチにこだわるのか。
 タイプ的に中後が現在の1ボランチシステムには合いにくいということは試合前からわかっていたはずですし、勇人か工藤のどちらから中後をフォローするためにボランチのエリアに下がって、もう1人は相手ボランチを見るためにトップ下の位置で張ればいいだけなんじゃないかと私は思うのですが…。
 監督からの「絶対に1ボランチを守らなければらない」という指示でもあるのでしょうか。
 いや、選手がそうしないのであれば、ベンチから指示があってもいいようにも思ったのですが。



 もう1つジェフが試合終盤に苦しんだのは、気温の高さもあったのかもしれませんね。
 もしそうなのであればこれからより蒸し暑くなっていく夏にかけて、気温という要因が大きな不安要素になる可能性もあるのかもしれません。
 激しいプレスと攻守の切り替えの早さをウリにしているジェフにとっては、今後の戦い方を問われる展開だったとも言えるのではないでしょうか。



 試合終盤。
 試合のことを考えれば、山口投入が正解だったと思うのですが、同じく疲労の見えた渡邊に変えて坂本を投入。
 これは坂本へのご褒美と言う意味もあったのかもしれませんが、もしかしたら中盤の3人にこの苦しい状況下でのさらなる進歩や成長を期待していたのかもしれませんね。


 結局試合は2-0のまま終了。
 最後はジェフにとって厳しい展開でしたが相手にも疲労の問題があり、得点を奪うだけの勢いは作れなかったのかもしれません。
■この試合で見せた大きな可能性
 サッカーを「自分達のやりたいサッカーが出来たかどうか」で評価するとすれば、今期一番の出来だったのではないでしょうか。
 特に前半は、個人的に見ていてとても楽しいサッカーでした。


 ありえないようなイージーミスも多かったし、決定機を外すシーンも何度もありました。
 試合終盤にガクッと運動量が落ち、追加点も奪えず終い。


 試合トータルで考えれば、決していい出来とは言えなかったのかもしれません。
 正直、J1のチームや強いチームが相手だったら、ミスを突かれてやられていたところでしょう。
 ですから、当然これに満足してはいけないはずです。


 けれども、前半にようやく自分達のサッカーができた時間帯があったということは、今後のジェフにとって1つの指標になりうるものだったのかもしれません。



 特にサイドチェンジの形がしっかりと作れていたこと。
 右サイドでためをつくって、左サイドで勝負を仕掛ける。
 こういった大きな展開で相手を崩せるようになってくれば、前節のようにしっかりと守備ブロックを形成してくる相手であっても、“相手を崩す術”が作れてくるのではないでしょうか。
 これにより中央にも空きが出来て中後や茶野からビシッと縦パスが通るようになっていたし、当然サイドの薄いエリアもつくことが出来ていました。
 まだまだアレックス以外の選手がボールを持ってもサイドチェンジの意識が足らず狭いエリアにボールを運んでしまうこともありましたし、DFラインでのパス回しが遅い場面も目立ちました。
 チーム全体として相手を揺さぶる意識はもう少しなのかもしれませんが、このあたりは普段の練習から少しずつやっていくしかないことだと思います。



 ただ、重要なのはそういった攻撃をどんな状況でも、どんな相手でも、誰が出場しても、チームとして安定して作れるようになることでしょう。
 前半いい攻撃パターンが作れたのも、相手が勇敢にショートパスをつないでくるサッカーをしてきたところが大きかったはずです。
 後半途中からは運動量が落ちて、攻撃の形すら作れない酷い状況でした。


 ジェフとしては、相手がロングボールを蹴ってきてもパスをつなぐが出来るようになること。
 そして、90分間安定して自分達のサッカーをやれるようになること。
 対戦相手に関わらずという意味と、一試合を通してしっかりと戦うという意味と。
 2つの意味での安定したサッカーが求められるんだと思います。



 これから連戦と気温の上昇で、選手達にとって苦しい時期に突入します。
 そうなるとまたリアクションサッカーに逆戻りするかもしれない。
 けれど、ここが“自分達のスタイル”を作り出す上で、踏ん張りどころではないかと思います。
 この試合で見せた大きな可能性を活かすも殺すも、これからのジェフ次第。
 志を高く持ちながら、チーム作りに励んでほしいと思います。