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このチャンス、生かすも殺すもジェフ次第?

 J2を3部の1位近く消化しての一番の感想は、レベルの差でした。
 傍から見ていても感じてはいたのですが、改めてこうやってジェフを通して試合を見ていくと、思った以上に「レベルが低いな」と感じる部分があったります。
(厳しい言い方ですがリーグのことを考えても、もっとこのあたりははっきりさせておいた方がいいのではないかと個人的には思います。)
 もちろん今年のジェフは大量に補強を行い、昨年よりも強くなっているとは思うのですが、その点を差し引いても…といった印象です。
(江尻監督が序盤起用していた山口に変えて中後にしたのも、J2ではそれだけ優位に戦えると見て判断したのかな、とも思います。)


 特に「ここではミスしてはいけない」という部分でのポカ。
 守備時に得点に直節繋がるようなミスが多く、攻撃面でも落ち着いてプレーすれば確実にチャンスになるシーンで、それが出来ていない感があります。
 よくJ1に昇格したクラブの監督が「J2に比べてJ1はミスが少ない」と表現することがありますが、それもそういった意味なのではないでしょうか。
 ミドルエリアでのミスというより、主にゴールに絡む致命的なミスが多い印象です。
 それとスタミナ、運動量などの問題。
 90分間走りきれず、前半だけで試合が終わってしまう試合展開もありました。
 だから、ジェフとしては相手のミスを待ち続ければそれだけでOK…なんてことも。
 試合毎の安定感の問題もあり、出来不出来の波が激しい印象もあります。


 総じて戦術面では頑張っていても、戦力の問題で実現できていないことが多いといった感じなのかなと思います。
(無論、戦術というものは、戦力を考えながら作っていくべきものだとは思いますが。)
 「最近のJ2は戦力差がそのまま順位に表れるようになってしまった」という意見を聞いたことがありますが、まさにそんな感じなのかなぁと。


 これは選手・クラブだけの問題ではなく、リーグ側の運営の責任もあるはずです。
 チーム数が多くなったことで、戦力はもちろん、経営的にも資金が分散される傾向になってしまったのではないかと。
 その影響もあって、近年はJ1に有力選手が引き抜かれるパターンも増えてしまったのかなと思います。
(これに関してはリーグ全体で見ると決して悪いことばかりではないとは思いますが。)
 もちろんJリーグの拡大路線にはメリットもあるとは思うのですが、J2の現状を見るとデメリットの方も大きいのかなと思います。
 J2が22チームまで増えた後には、一度落ち着いてリーグを熟成させていく必要もあるのかなぁ…とも。



 ジェフに目を向けると、追い風の多いシーズンになっているのではないかと思います。
 まずJ2のベンチ入りメンバー枠が増えたこと。
 オフに戦力が増加し、選手層で勝るジェフにとっては非常に大きな手助けになっていると思います。
 加えてJ2の試合数減少。
 福岡戦後に江尻監督は「タイトな日程で選手の足が止まってしまった」といっていますが、昨年までの試合数であればこれくらいで音を上げていてはいけなかったはずです。


 それと他チームの問題。
 本来ならばライバルになりうるはずの降格クラブのうち、大分は経営難で選手を放出しざるをえない状況に。
 加えて昨年5位と好成績だった鳥栖も監督の退任などによって複数の主力選手が流出するなど、ライバルチームに問題が発生したケースが多いオフだったのではないかと思います。


 単純に考えても、今期ジェフの予算は昨年並を保つという話ですから、そうなればおおよそJ2平均の3倍の予算ということになります。
 それに加えてジェフの伝統やサポーターの数・熱気、スタジアムや練習場の充実などを考えれば、そもそもJ2にいていい規模のクラブではないとも言えるのかもしれません。




 …そんな状況で、ジェフは今期どういった方向を目指していくべきなのか。
 単純にJ1復帰を目指すだけでは、足りないのではないかと思うようになってきました。
 このレベルのサッカーで結果だけを得て満足してしまうのは、ジェフの将来を考えるとどうなのかと…。
 もっと内容も重視していかなければいけないんじゃないかと感じるようになってきたのです。


 そこで参考になるのが、広島の成功ではないかと思います。
 08年J2に落ちてしまった広島ですが、J2での広島はJ1昇格だけでなくJ1で通用するチームを作ることを目標に掲げていたと記憶しています。
 初めは降格させてしまい反対の声も多かったペトロヴィッチ監督の続投と、主力選手の維持に対するある種の言い訳的なものなのかな?と思っていました。
 しかし、実際にピッチ上でも3バックのストッパーがSBのように駆け上がるとてもアグレッシブなサッカーを行い、J2の中で非常に理想の高いモノを目指していた印象でした。
 槙野、森脇、高萩、柏木、佐藤昭、青山(青山の場合前年度から出場機会を増やしていましたが)など、20代前半の選手も積極的に起用し、選手育成の面でも現在の広島の基盤を作ったといってもいいのではないでしょうか。
 広島は07年、得点力のあるベテランFWウェズレイを起用していましたが、ペトロヴィッチ監督の目指すサッカーにはフィットしていなかったように見えました。
 J2に降格して選手起用も含めて理想を貫いたチーム作りを目指した結果、よりレベルの高いチームに成長したのではないかと思います。



 それと比較して…というのはあれですが、今のジェフはどうなのか。
 江尻監督は就任当初「パスサッカー」という言葉を良く使っていた印象ですが、それも最近は聞かれなくなってしまったのかなと思います。
 実際にパスをつなぐサッカーというよりは、個人での打開力の高い選手を起用し、そこに頼った攻撃になってしまっていることが多いような印象を受けます。
(今期の開幕戦前後は例えばサイドで三角形を作りそこからアーリークロス、または縦への突破といったサイドの隙をつく展開、あるいはそこでタメを作って中央や逆サイドへの広い展開という攻撃も狙いとして感じていたのですが、最近は見られなくなってしまいましたね…。)
 あくまでも私の感想ですが、どちらかと言えば理想よりも現実、内容よりも目先の結果に傾いた展開になってしまっているのかなと。
 無論、パスサッカーと言っても最後は個人での仕掛けが重要になるわけですけど、今はその最後の部分までの流れがうまくいっておらず、強引な攻撃をしざるをえない状況になっているのではないか…と感じています。



 もちろん理想を重視したところで、今期はACLにも出場した広島ほどの成功が出来るのかどうか。
 そのあたりは状況も違うし、一概にそのまま比べることは難しいとは思います。
 しかし、今のレベルに慣れてしまうのはクラブの将来を考えると単純に危険だと思いますし、結果ばかりではなくサッカーの内容や将来のことに関しても考えながら評価すべきなのかなぁと思います。
 理想に関しては様々な観方あるとは思いますから、まずは内容に関して。
 J1に昇格してもまた降格争いに加わるようでは意味がないわけですから、それだけの力を付けて来期以降に望みたいところではないかと思います。
 内容が伴ってくれば、結果もおのずとついてくるはずだと思いますしね。
 そもそも本来の内容というものは、結果のために必要な物なのだと思いますし。


 もしかしたら広島もJ2で内容を追求したサッカーをしなければ今の状況はなかったかもしれないわけで、そう考えるとジェフにとっては今がチャンスとも言えるのかもしれません。
 それを活かすも殺すも、自分達次第と言えるのではないでしょうか…。