混戦模様のJ1昇格争いも残すところは後二枠。
ジェフ対湘南の昇格争い同士の試合は1-1の引き分けに終わりました。
これによって湘南は自動昇格圏内から一歩後退。
ジェフはプレーオフ圏外ギリギリの6位になりました。
本当に1試合1試合の結果で、運命が決まるシーズン終盤戦になりましたね。
■ミドルシュートから失点
ジェフはスタメンに山口智が復帰。
ベンチにも藤田が帰ってきました。
この二人の復帰もあって勢いに乗りたいところですが、一方で田中が戦線を離脱した模様で。
田中はスピードもあって、ゴール前にも飛び出せて、クロスも上げられる選手で、好不調の波もあまりないタイプだと思うので、攻撃の中心というわけではないかもしれませんけど、長期の不在となると影響は大きいかもしれません。
この時期ですから怪我人も抱えるのは仕方のないところではありますけど、大事な終盤戦なだけに状態が気になるところです。
湘南は前回対戦した時と同様、前からガツガツと来るチームで。
選手1人1人が良く動くだけでなく、しっかりとチーム全体で連携したプレッシングをかけてきて、ジェフのビルドアップを思うようにさせませんでした。
その分、後ろは空きやすくジェフは縦に早いロングボールなどが増えていくわけですが、どうしても速い攻撃ばかりになりがちになってしまいます。
スピードに乗ったままのプレーでは、精度の問題もそうですし、攻撃の変化や選択肢も減って、難しいプレーになってしまう傾向にあります。
なかなかジェフは攻撃のタメ、"時間"を作れず、単調な攻撃になっていってしまいってしまいました。
攻めることができていないわけではないのだけれど、攻めさせられているような印象で。
サイドや相手DFの裏を狙う攻撃が多く、チャンスも作れていないわけではなかったですけど、ある程度の攻撃の選択肢を切られた上での限定されたプレーといった感じで。
全体的な流れとしては、相手ペースだったように思います。
もちろんその限られた選択肢の中で、相手の守備を上回る攻撃ができれば、それでいいと思うのですが…。
前半28分。
湘南の右サイドからのクロスを一度は竹内が跳ね返すも、中盤の永木が拾いそのままミドルシュートを決められて失点してしまいます。
何度も言っていますけど、やはりここがジェフの守備の弱点ですよね…。
ボランチがCBの近くまでサポートにいく分、中盤の前が空きやすい。
そのためリバウンドを先に拾われたり、そこから展開されることが多い…ということですね。
この傾向はこの試合の後半の守備にも、見られた課題だと思います。
■試合終盤にジェフがゴールを決めて同点に
組織的でガツガツとした守備をしてきた湘南ですが、徐々に動きも落ち、ほころびがでてきました。
前半の終盤はジェフが失点したことによる焦りもありましたが、ハーフタイムを挟んで気持ち的に落ち着き、中盤で間を取れることが増えていきます。
その中盤からのボールを引き出す荒田が裏を狙いながら攻めていきますが、如何せん相手の3バックに対して1トップの荒田1人がターゲットになることが多く、多勢に無勢の状況で。
相手のバックの人数が多いだけでなく、なかなか谷澤、米倉あたりがうまくゴール前に入ってこれずに、得点が奪えません。
この辺りが兵働をトップ下に置いた時の難しさ…ですね。
完全なカウンター展開ならFWが少なくてもいいのでしょうけど、湘南は3バックですし、選手たちが良く走り守備への戻りも早かったですしね。
後半立ち上りは湘南の運動量も落ちジェフペースでしたが、ジェフが得点を奪えないとその後は均衡状態に。
後半23分、佐藤健太郎を下げて藤田を起用。
ターゲットを増やし、ポスト役を投入して荒田を前に向かせようということだったとは思うのですが、その時点ですでにジェフの勢いは落ちていました。
しかし、試合残り10分頃からもう一度、勢いを取り戻したジェフ。
湘南のほうも、更に足が止まってきた印象でした。
後半39分にオーロイを投入した直後の後半40分。
簡単にオーロイに放り込んで、オーロイが落としたところを藤田がポストで受けて、ごちゃごちゃしたところを、最後は勇人が決めてゴール。
勇人は人数の足りない前線に対して、後半から積極的に飛び込んでいた印象で、それが最後に実った形となります。
その後も動きが止まって後方で人数を固めるしかなくなった湘南に対し、シンプルに放り込んでチャンスを作るジェフという展開に。
湘南は足が止まって機動力も落ちていた状況で、しかもロングボールの出しどころへのプレスも行けなくなっていました、オーロイの機動力のなさは相殺されていましたし、パワープレーにはぴったりの状況だったと思います。
その後も、何度かチャンスがありましたが、そのまま1-1で終了となりました。
■悪い流れを止められるように
前半立ち上がりの湘南は良い守備をしていましたね。
3トップで追い回してジェフの最終ラインが持つボールをサイドに追いやり、ウイングバックがジェフのSBとウイングの間に入って、インターセプトやパスカットを狙うか、SBのオーバーラップのコースを消す。
そして、同サイドの相手ウイングにはきっちりストッパーがつく…と。
だから、両ストッパーに鎌田、大野といった機動力もある選手を起用しているんでしょうか。
逆サイドのウイングに関しては、ウイングバックが下がるなどして対応していたりと、ガツガツと行くだけでなく非常に組織的に守っている印象でした。
ただ、前回6月に対戦した時もそうでしたけど、前線3人のプレスも大事ですし、サイドも運動量が求められますのでスタミナの面がどうしても課題になってしまいますね。
そこをどうペース配分するのか、もっと言えば、足が止まった後にどう対応するのかが重要なんでしょう。
今回の試合終盤の失点もオーロイ、藤田の頑張りや勇人の勇気ある飛び出しの成果でもあったとは思いますが、一番は湘南の運動量が落ちたところがポイントだったような気もします。
前回の対戦同様、良くも悪くも湘南ペースというか。
前にも言いましたけど、オシム監督時代のジェフと対戦していた相手というのは、これに近い気持ちだったのかなぁなんて思ったりします。
逆に言うと、相手次第の結果だっただけに、ジェフに関しては分析しにくい試合でもあるのかなぁとも思ってしまいますが。
ジェフとしてはこれで順位を下げてしまったわけですし、もちろん勝ちたかった試合だと思います。
自動昇格を考えてもプレーオフなどを考えても「これで良かった」とはいいがたいですし、非常に悔しい試合でもありました。
ただし、ここ数戦の試合を見るとジェフは、相手の内容の乏しかった草津戦以外長らく試合に勝てていないわけですし、試合展開も後半ロスタイムに失点を繰り返すなど、ピリッとしない展開が続いていました。
今回の試合では逆に後半終盤に追いついての同点だったわけですし、悪い流れを止めたという意味で前向きに考えていきたいところではないかと思います。
ここで負けていれば、ずるずると落ちるだけ…というような状況だったとも思いますしね。
試合終盤に動きの落ちてしまうジェフが、最後に盛り返しての同点弾。
しかも、今期なかなか流れに乗りきれていなかったように見えるキャプテン勇人のゴール。
ここ数年、勇人はシーズン終盤に調子を上げてくる印象もありますし、そういった意味でも、気持ちを盛り上げるという意味でも、この勇人のゴールがチームに勢いを与えてくれればと思います。