中二日でのアウェイ連戦ということで心配はしていましたが、それにしてもコンディションが悪かった印象です。
攻守に一歩目が遅く、そこで相手に負けていた。
ボールを持っても動き出しが遅いので素早く攻めきれないし、守備でもアプローチが遅れて後手に回っていた。
ジェフにとっては、厳しい試合となってしまいました。
■前半途中から運動量が落ちる
夏場の連戦ということもあってか、両チーム共にメンバーに変化を加えてきました。
ジェフは阿部、勇人、山本、井出、多々良がスタメンに復帰し、長澤がボランチに入り山本が右SHに。
丹羽加入もあって出場機会を失っていた多々良は、7月3日の愛媛戦以来の出場となります。
その丹羽と出場停止のアランダがメンバーから外れ、町田、菅嶋、比嘉がベンチスタートに。
熊本は前節水戸戦で、久々のスタメン出場を果たした巻がメンバー外に。
平繁、嶋田が復帰し、ボランチには上原に代わってキム・テヨンが。
片山がメンバーから外れ、左SBに黒木が回り、右SBに藏川が入りました。
7分、熊本の攻撃。
中盤からのスルーパスに反応し、左サイドを抜け出した平繁がクロス。
足元で受けた清武がシュートを放ちますが、合わせきれずシュートは力なくラインを割ります。
9分にはジェフの攻撃。
中盤でボールを奪った長澤が、左サイドの井出にパス。
井出はそのまま勝負を仕掛け右足でシュートを放ちますが、相手DFに当たってゴールならず。
17分にもジェフの攻撃。
長澤が中盤で、相手の間を突いてドリブル。
そのまま中央で持ち込んでシュートを放ちますが、GK佐藤昭大がセーブ。
熊本は普段通り3ラインでコンパクトに戦い、熊本のプレスに対して苦しんだジェフは最終ラインも下がりがちでした。
しかし、ジェフも徐々に相手の間を取ったパスワークができるようになり、リズムを作っていきます。
試合は22分から、1分間の給水タイムが入ります。
それ以降は暑さの影響か動きが少ない展開になりましたが、31分に熊本のゴールが生まれます。
キムからの縦パスを嶋田がワンタッチで落とし、清武がスルーパスを出して平繁がゴール。
熊本らしい縦への鋭さが出た展開でした。
キムが中盤後方で縦パスを出したところからの展開で、ジェフはキムの前のパスコースを消せなかった。
FW2人が前に立っていたのですが、その間を抜かれた形でした。
プレスに行けないにせよ中央では縦のコースを消すことが大事で、そこからやられてしまったということになると思います。
35分にも熊本のチャンス。
熊本が左サイドで得た長い距離のFKを、放り込まずにつなぎ嶋田がクロス。
こぼれたところをキムが拾ってシュートを放ちますが、枠の外に終わります。
ジェフは前半途中から、早くも運動量が落ちていた印象でした。
それでも39分にはジェフの攻撃。
左サイド高い位置で井出がボールを奪い、前方の船山に縦パス。
井出が走り込みますが、船山が反転してシュートを放つも枠の外。
45分には熊本の攻撃。
中盤でボールを奪ったところから、中盤で岡本、清武とつないで、高柳がCB前からミドルシュート。
しかし、枠を捉えきれず、0-1で折り返します。
■後半にも2点奪われ0-3で敗戦
後半開始と同時に、ジェフは勇人に代えて町田を投入します。
町田が前線に入り、吉田が右SHに回って山本がボランチに移りました。
反撃を目指すジェフでしたが、54分に熊本が追加点。
中盤での奪い合いから熊本が抜け出し、中盤からの縦パスを清武がヒールパスで繋ぐと岡本が完全に抜け出してゴール。
2点ビハインドになったジェフが選手交代。
56分、吉田に代えてエウトンを投入し、船山が右SHに入りエウトンと町田の2トップになりました。
56分にはジェフの攻撃。
多々良がクロスを上げると、町田が足元で受けてシュート。
しかし、GKの正面に終わります。
追加点後はジェフがボールを持つ時間が増えますが、64分には熊本のカウンター。
船山がボールを失ったところから、嶋田が左サイドを駆け上がっていきそのままシュート。
しかし、何とかGK佐藤が弾き出します。
その直後、熊本は嶋田に代えて中山を投入。
70分にも熊本のカウンター。
中山、高柳と左から右に繋いでいき、中央で清武が反転するもののGK佐藤がキャッチ。
その直後にはジェフの攻撃。
阿部のクロスが相手DFにあたり、町田が繋いで最後はエウトンがオーバーヘッドで狙いますが枠の外。
72分、熊本は平繁に代え八久保を投入。
73分、ジェフは井出に代えて北爪を投入。
その直後にはエウトンが後方からのボールを落として、北爪がシュートを放ちますが枠を捉えきれず。
74分、熊本が3点目のゴール。
右サイドでキム、清武と繋がれ、縦パス。
岡本が裏を取って切り返し、角度のないところからのシュートを決めました。
岡本のシュートも素晴らしかったですが、中盤でのパスワークを自由にやらせ過ぎていたと思います。
特に下がって受けた清武に対して、山本の反応が遅く前を向かれてしまった。
そこからチャンスを作られてしまいました。
76分にはジェフのチャンス。
阿部のセンタリングがファーに流れて、多々良がフリーで受けます。
しかし、シュートではなくエウトンへの折り返しを選択し、ゴールを決めることは出来ず。
78分にもジェフのチャンス。
右からのCKを山本が蹴ると、ニアで近藤が完全にフリーでシュートを放ちます。
しかし、惜しくもサイドネットの外。
83分、熊本のカウンター。
左サイド奥でボールを奪いロングボールを蹴ると、阿部がヘディングを空振り。
八久保がシュートを放ちますが、何とか阿部が戻ってブロック。
その直後には、ジェフのカウンター。
町田が船山とワンツーで抜け出すと、相手DFと2対2の状況に。
しかし、エウトンへのパスがずれてしまい、町田に戻して北爪がシュートを放つものの相手DFがブロック。
86分、熊本は清武を下げ齋藤を投入。
89分、ジェフのチャンス。
多々良のクロスは中央であわなかったものの、こぼれ球を山本がヘディングで中央へ。
相手が下がりながら対処しようとしたところ船山が奪ってシュートを放ちますが、相手GKがセーブ。
92分にもジェフの攻撃。
右サイドからのCKを阿部が蹴ると、中央で跳ね返されましたが、こぼれたところを船山がシュート。
しかし、GK佐藤が横っ飛びでセーブ。
続いて94分にも、阿部のクロスを長澤がフリーでヘディングシュート。
しかしこれも決めきれず、0-3で敗戦となりました。
■まだまだ足りない部分も
冒頭でも話したように、真夏のアウェイ連戦ということもあってか、体力的にかなり厳しい試合だったように思います。
前節北九州戦で1人少ない状況で、長時間を戦い抜いた影響もあったのでしょうか。
もちろん連戦という条件は熊本も同じで、その結果として両チームともにチャンスの多い試合となったのでないかと思います。
ただし、大事なところでの粘りは、熊本の方が上回っていた。
守備では球際に激しくいき、攻撃ではしっかり動きだし丁寧にパスを出す。
そのあたりの細かな部分が、差となって表れたように思います。
守備における細部に関しても、違いを感じました。
大枠で分けるとすれば共にコンパクトな4-4-2を目指しているのではないかと思われる両チームですが、熊本の方がチーム全体での統率ができていた。
前に行くときは最終ラインも上げ、リトリートする時はFWが中央へのパスコースを絞って11人でしっかりと守る。
ジェフは前半からラインが低くなりがちでしたし、1失点目もFWの間を通された縦パスからやられてしまった。
3失点目もズルズルと全体が下がり、山本が下がって受けた清武へのアプローチが遅れたところから失点。
守備をしっかりとするチームなのであれば、このあたりの細かな修正をしっかりとしていかなければいけないと思います。
やはり「全体のラインを上げられるか」が、今後の大きなテーマとなるのではないでしょうか。
「サイドの守備」においてはこの日も大きな波状はなく改善しているように思いますが、全体が後ろに重くなってしまう問題はまだ解決しきれていないように思います。
「前からの守備」に関しても、プレスをかけられないにしても穴を作らないポジショニングと言うものが必要になってくるように思います。
また、攻撃においても受け手の動きが少ないためか、パス回しが遅かった。
そこから焦って前へというパターンが目立っていたので、丁寧に繋いでいくことが必要だと思います。
長谷部監督になってサイドの奥からセンタリングを上げられる回数は増えましたが、その時に中央の人数が少ないことも課題ですね。
長谷部監督は攻撃時の距離感を大事にしているようですが、熊本の方が2トップや2列目の距離感が良いバランスを築けていたと思います。
今年の熊本は開幕時から、前方数名の縦への鋭い仕掛けがウリで、思い切りのいい飛び出しを生かすという意識がチームとしてできているように思います。
このあたりはチームとしての熟成の差も感じるところで、清武や平繁だけでなく、嶋田や岡本も良い選手だと思います。
結果的に攻守において、細部のクオリティの差を感じてしまった試合だったように思います。
ただ、北九州戦前半は1つのヒントになると思うので、やはり前から行く姿勢というのが大事なのではないでしょうか。
もちろんコンディションが戻れば直る部分もあるでしょうが、まだまだ足りない部分もある。
熊本はジェフの良いお手本になった部分もあると思うので、足りない部分を残り試合で埋められるかどうかではないでしょうか。
新チームとしての初勝利直後に0-3という結果はショックですが、監督が変わってからこれまでの流れ通りチームとして細部にこだわるということを、継続してやっていくことが大事なのではないかと私は思います。