ホーム開幕戦は1-1の引き分け。
思ったよりもゴール前でのプレーの少ない、堅い試合になった印象です。
ジェフは町田戦ほどスペースを使った攻撃は出来ないだろうと思っていましたが、山形も前からのプレスをかけきれなかった。
結果的に両チームともに決定的なチャンスは少ない試合となり、引き分けも妥当な結果ではないかと思います。
■ジェフが前に圧力をかけるも均衡状態
ジェフはラリベイが初スタメンを果たし、清武が控えスタートに。
ベンチからは前節途中出場した羽生と山本真希が外れて、熊谷と菅嶋が入りました。
山形は前節と同じ11人で、ベンチからは荒堀、中山仁斗が外れ、高木利弥、汰木が入っています。
キックオフ直後、ジェフのチャンス。
左サイドからのCKからのショートコーナーを受けたサリーナスが、1人かわしてセンタリング。
西野が頭で合わせますが、惜しくもバーの上。
立ち上がりはジェフがアグレッシブに押し込んでいきますが、徐々に山形も落ち着いていきます。
山形は徹底してジェフの左サイド外を、狙ってきた印象です。
3トップの右に入った瀬川がサリーナスを引きつける形になり、大外で右WB鈴木が裏を狙う形。
そこに中盤の選手などもサポートにいくことで、サイドでトライアングルを作りパスを繋いでいきます。
しかし、ラストパスが合わなかったり、中央に人数がいなかったりと、チャンスまでは作りきれず。
前半は右サイドでの攻撃ばかりになって、他に攻撃パターンが少ない印象もありました。
21分、ジェフの攻撃。
中盤の町田から縦パスを受けたラリベイが、相手をなぎ倒してクロス。
しかし、中央の船山はシュートまで持ち込めず。
27分、ジェフの攻撃。
相手が左サイド後方でルーズボールを処理している間に、北爪がプレスをかけてボールを奪取。
そこからボールを受けた船山がシュートを放ちますがDFに当たり、そこにつめていた高橋もゴールならず。
ジェフは攻守に前へ積極的な姿勢を見せていました。
ボールを奪って素早くカウンターという形で、山形陣内に攻め込みます。
しかし、山形の守備陣も集中力を切らさず、決定機は少なかった印象です。
それでも32分にはジェフのチャンス。
左サイドで船山からボールを受けた高橋が粘ってクロスを上げ、町田がゴールを狙いますがミスキック。
そのこぼれ球をラリベイがボレーでシュートを放ちますが、GK児玉がファインセーブ。
この頃から山形は、前からのプレスを諦めた印象でした。
それまではプレスにいってもはめきれず、中盤にスペースが出来ていたところがあったと思います。
しかし、30分過ぎからあまり無理をせずに、5-4-1でスペースを消してカウンターという形に変更したように思います。
それによって試合は落ち着いていき、ジェフもゴール前まで攻め込めない状況となっていきます。
うまくスペースを消されていた印象で、30分過ぎからはどちらかと言えば山形ペースだったとも言えるかもしれません。
そのまま前半を折り返します。
■後半に点を取り合い1-1の引き分け
後半開始早々、山形のチャンス。
右サイドの瀬沼から、中央の阪野に浮き球のパス。
阪野が胸トラップからボレーシュートを放ちますが、ゴール左隅をそれます。
そして、53分に山形の先制ゴール。
右サイドで瀬沼が、西野を抜き去ってマイナスのクロス。
中央で南が受けて左サイドに繋いで、最後は阪野が流し込んでゴール。
西野が抜かれたところからやられてしまいましたが、その前からチーム全体として足が止まり動きが重くなっていた印象でした。
西野が抜かれた後の戻りも甘く、ゴール前でも南と阪野がフリーになっていた。
高いラインで戦うのであれば裏を取られないようにするだけではなく、取られた後の守備も集中してやっていかなければいけないでしょうね。
失点直後、ジェフは高橋を下げて熊谷を投入。
1点を失ったジェフですが、60分に高い位置でボールを奪い、アランダが船山に繋いでラリベイへ。
ラリベイがキープしたところで本田が倒してPKを得て、このPKを船山が決めて1-1となります。
本田としては無理をするところではなかったと思いますし、不用意だったと思います。
62分、山形は瀬川に代えて高木を投入。
67分、山形の攻撃。
右サイドからのCKを風間が蹴るとニアで菅沼のヘディングシュートを放ちますが、大きく枠を逸れます。
この頃から両チームともに疲れが見え、スペースが出来てきました。
しかし、どちらもそれを活かす攻撃は出来ず、チャンスが作れない時間帯に。
74分には山形が南に代えて汰木、ジェフは船山を代えて清武を投入。
その直後、ジェフのチャンス。
カウンターから左サイドを駆け上がったラリベイが、1人をかわしてシュート。
鋭いシュートでしたが、GK児玉がセーブ。
78分には山形のチャンス。
山形がカウンターで阪野に楔のパスを出して近藤が食いついたところを、2列目から汰木が飛び出して入れ替わり、完全に裏を取ります。
汰木は長い距離を持ち込んでGK優也と一対一になりますが、GK優也が飛び出して何とか対応。
その直後にも山形のチャンス。
阪野が下がって受けようとする動きに近藤が食いついてしまい、ラインが崩れたところを汰木が裏に走ります。
フリーで左サイドを駆け上がった汰木がクロスを出しますが、西野が何とかブロック。
ジェフの守備陣は、スピードのある汰木を相手に苦戦していました。
単純にCB陣が捕まえきれなかったのもあるのでしょうが、全体的に疲れが見えて1ボランチ脇が空き始め、そのスペースをCB潰しにいった結果、その裏を取られていたとも言えると思います。
町田戦でも後半終盤は同じように、1ボランチ脇を取られて苦戦していた印象です。
しかし、汰木もフィニッシュには甘さがあり、ゴールとまではいきませんでした。
86分、ジェフは町田に代えて勇人。
山形も阪野に代えて、永藤を投入します。
試合終盤もジェフは前への姿勢を見せますが、追加点は奪えず1-1で痛み分けとなりました。
■より緻密な攻撃を作れるか
山形は前節京都戦ほどの激しいプレスを、かけられなかった印象でした。
雪国がホームのチームということで未だに市原市でキャンプを行っていたようですし、体力的に厳しいところがあったのでしょうか。
前節よりも動きが重かった印象です。
また、ジェフの3-1-4-2をどう嵌め込むのかも、はっきりしないところがあった。
前節京都では1トップからチェイスが嵌まると、3トップ全員が相手3バックにチェックに行く、激しいプレスを見せていました。
3トップが前に出ても京都は山形と同じ3-4-3だったので、中盤も同数だったため問題はなかった。
しかし、ジェフは3-1-4-2で中盤は、アンカーとインサイド2人の3枚。
山形の中盤はダブルボランチの2枚なので、3トップがプレスにいくと中盤が数的不利になってしまう。
そこのギャップを埋める形が明確に出来ず、前半途中まで苦労していた印象です。
そこで30分過ぎからは、前へのプレスよりもスペースを消す形に変更してきたのではないでしょうか。
5-4-1のゾーンで守る意識を強めていった印象で、カウンター対策も兼ねていたのかもしれません。
それでも中盤の数的不利は変わらないため町田が空きがちではありましたが、前半ほどのギャップは生まれなかったと思います。
逆に言えばジェフはもっとそこを、うまく使いたかったところなのではないでしょうか。
攻撃面での山形は試合途中まで、徹底して右サイドから攻めてきた印象です。
サリーナスを後方に押し込む意図などもあったのかもしれませんが、西野のスピードをつこうという意図もあったのかもしれません。
西野は柏戦でも伊東のスピードにやられおり、山形戦でもそこから失点していますので、今後狙われる可能性も十分あるのでしょう。
山形は町田のようにあえてオフサイドエリアにFWが立つ形や、裏への斜めのボールも狙ってきました。
また、ジェフDFが頭で対応しなければいけない裏へのボールを出し、そこにプレスをかける形もやってきたように思います。
ジェフDFとしては背走しながらヘディングで処理をするという難しい状況に立たされるわけで、そこのこぼれ球を狙っていたのではないでしょうか。
対するジェフは、冒頭で話した通り町田戦ほどスペースをうまく使って、ダイナミックな動きで攻めきるという展開は少なかったと思います。
ただ、山形よりも前に人数をかけてのプレスが、成功する場面が多かった印象です。
やはり相手が3バックの方が、プレスをかけやすそうですね。
そして、カウンターから素早く攻め込むことは、意識として見えていたように思います。
守備から攻撃の切り替えも速く、多くの選手が攻撃参加していた印象です。
しかし、そこから決定機を作る点においては、まだまだ課題が多かった。
前に人数はかかっているけれども、3人目、4人目が絡むようなプレーは少なかったと思います。
前に多くの人数がいるところに、ロングボールを供給して圧力で勝負するという場面も多かった。
勢いは感じたものの、攻撃の緻密さで言うともう1つだったように思います。
町田戦でも前への勢いは感じたもののチャンスは思ったより作れず、決定機の数で言えば相手とあまり変わりませんでした。
それに関しては山形戦でも同様の印象を受けたわけで、前への勢いだけでは得点は厳しいと思います。
前への動きに対してうまくサポートが入ったり、3人目、4人目が絡むような形を作れるかどうかが今後の大きなテーマとなってくるのかもしれません。
もちろん、前への勢いがあることは大事なこと。
しかし、サッカーに限らずあるものを継続していくためには、ある程度の"成果"は必須だと思います。
決して直接的な成績だけではなく「手応え」などでもいいとは思うのですが、最終的には「具体的にどのように勝つのか」の道しるべが見えてこないとチームに迷いが生じ、継続するのも難しくなってくると思います。
そのためにもやはり攻撃において、より具体的な形を作っていく必要性があるのではないかと思います。
あとは体力的にこの前への勢いを、どこまで続けられるかですね。
この試合も後半ばて気味でしたし、そこはどうしても気になる要素だと思います。
2015年時のハイプレス期と同じ轍を踏まないために、あの時との明確な違いや工夫を見せられるかどうかが、非常に大事な注目ポイントなのではないでしょうか。