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勇人が試合後の円陣で「誰のせいでもなくチームの責任だ」

 Jリーグの公式サイトによると、小島が新潟戦後に「(失点後のシステム変更で)プレスが掛からなくなり、後手を踏んだ」と話したそうです
 「失点後のシステム変更で」とはっきり言ったわけではないようですが、この書き方から考えるにそういったニュアンスの話になったのでしょう。

 確かに失点直前の20分過ぎから30分前までは、ジェフのプレスがようやくかかり始めていたように思います。
 それだけに選手としては、「ここでシステムを変えるのか…」と思う部分もあったのかもしれません。
 それで余計にシステム変更によって、プレスがかからなくなったと感じる部分が強くなったのかなとも思います。


 ただ、それまでにも、4-1-4-1の守備には不安を抱えていたと思います。
 小島も「相手に蹴られた時に間延びした」と話しているように、前線を目がけて長いボールを蹴られ、1ボランチ脇で拾われる展開がいくつかありました。
 これは4-1-4-1ならではの課題でもあったと思います。

 さらにプレスにおいても、カウエが右後方に少し下がると、そこがポッカリと空くことが何度かあった。
 4-1-4-1でのジェフのプレスはSHが相手SBに、インサイドが相手ボランチのマークを捨てて相手CBに飛び出していく形を取っていました。
 しかし、そのボランチが後方に下がってしまえば、相手はボランチとCBの2人、こちらはインサイドの1人となるわけで、数的不利になってしまいます。
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 図のように、新潟の右SBは前に出て行くことが多く、ボランチのカウエが少し下がって右CB新井とパスを繋ぎ、前を向かれてしまう場面がありました。
 これが2トップであれば、新井と大武というパスの出所を抑えてボランチへのパスも遮断しやすかったかもしれませんが、1トップだとCBの2人を追い切れない。
 ようするに、4-1-4-1で戦ったことによって、1トップ脇からビルドアップされてしまったと言えるでしょう。

 さらにインサイドは1ボランチ脇を気にしなければいけないし、DFラインも極端なハイラインではなかっただけに、上下の広範囲を守らなければいけなかった。
 引いた時のジェフは相手に持たせていると言えば聞こえはいいですが、中盤から後方のパスコースを消し切れない。
 そのため、カウエから中央へと縦パスを狙われる場面がありました。


 確かに前からのプレスがハマっている状況であれば、左インサイドの堀米なども高い位置で追うことができ、プレスで先手を取れる時間帯もありました。
 しかし、90分間安定したプレスを構築できていませんから、失点直前のプレスがかかっている時間帯は良かったとしても、プレスがかからない時の守備も考慮しなければいけない。
 それらを考えていくと、4-1-4-1のままだったら良い戦い方が出来たのかというと、そんなこともなかったと思います。

 クレーベは現状のままだとチェイシングで大きく貢献できるタイプではないわけで、チームとしても1トップがクレーベだとがむしゃらなプレスをかけ続けるのは無理があるでしょう。
 また、相手は新井も大武もボールを出せるCBで、プレスを交わせる能力を秘めたチーム。
 その点では、やはり愛媛よりも上手だったと思います。

 さらに新潟は流れを変えたかったのか、初めから30分頃にジェフの体力が落ちてくるとリサーチしていたのか、得点直前にプレスを強めていました。
 そして、そのプレスからボールを奪って先制しています。
 新潟がプレスを強めた直後にボールを失ったことを考えても、そのまま押し込まれる可能性はあったわけで、失点直前のジェフのプレスが継続できていたかどうかはわからないと思います。


 もちろん、かといってその後のシステム変更が良かったとも思いません。
 もしかしたら小島は4-1-4-1を4-4-1-1に変えたこと以上に、システムをすぐに変えてしまうことに、どこか疑問があったのかもしれません。
 ピッチ上の選手たちから言えば試合の流れなども重要でしょうし、システムを頻繁に変えて分断されてしまうことを嫌がる可能性もあり得るでしょう。

 結果的に小島はシステム変更後に後手を踏んだと話していますが、エスナイデル監督は最初のシステムが「うまくいかなかった」と話していることになります。
 試合後には監督と選手が話し合いの場を設けることが多いはずで、その上で臨んだ会見でも認識の違いが出てしまったのかもしれない。
 こうなってくると、選手側が監督に疑問を持ち始めている可能性もあり得るのではないでしょうか。


 実際、新潟戦でもシステム変更のたびに、選手たちは戸惑っているのかなと感じる部分がありましたし、システム変更がうまくいっているようにも見えませんでした。
 そういった不満を感じ取ったからこそ、試合後にピッチ上で円陣を組んで、選手達だけで話し合いを持ったのかもしれません。
 堀米によると、勇人は「誰のせいでもなく、チームの責任だ。一丸となって闘っていこう」 と気合を入れ直したようです。

 ただ、選手達だけで改善できる部分は限られているはずです。
 あの状況で気持ちを入れ直すことは重要だったのかもしれませんが、結果的には逆にあの円陣がチームの厳しい状況をより一層引き立てていたようにも見えました。
 いずれにせよチームの根本的な問題を解決しない限りは、次のステージを望むことはできないと思いますし、まずは守備の改善が必要不可欠なのではないでしょうか。