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エスナイデル監督「システムと選手の選択を間違えた」

 1-4で新潟に敗れてしまったホーム開幕戦。
 試合後、エスナイデル監督は「システムの選択、選手の選択で私は間違えた」と分析しています

 新潟戦では頻繁にシステム変更を行ったジェフ。
 その変化を振り返ると、まずスタートではクレーベの1トップ、右ウイングに船山、左ウイングにアラン、インサイドに小島と堀米を置いた4-1-4-1でスタート。
 しかし、先にゴールを奪われると、その直後には船山をトップ下気味に移して、堀米を右サイドにまわした4-4-1-1になりました。


 続いて、後半開始直後にはクレーベとアランを2トップに置き、堀米を左サイド、船山を右サイドにまわした4-4-2に変更。
 その後、SHの左右を入れ替える時間もありましたが、79分に工藤を投入すると工藤をトップ下気味に置き、中盤を熊谷、堀米、小島で構成する変則的な4-3-3になりました。
 さらに1-3になってからは増嶋を前線に上げてクレーベと2トップ気味になり、アランと工藤のトップ下、小島と堀米がダブルボランチ、熊谷がCBに移った4-2-2-2になりました。

 1試合で実に5つものシステムを使い分けたことになるわけで、珍しい試合だったとも言えるのかもしれません。
 それが状況や選手を活かすための変化ならば、一概に悪いとも言えないでしょう。
 しかし、実際にはシステムを変更しても状況は好転せず、結果的には時間が経過するたびに失点は増えていってしまったわけですから、むしろ悪化していったとすら言えるのかもしれません。


 新潟が一貫してシステムを継続し、ジェフのシステム変化にも全く動じずに安定して戦っていたのを見ると、チームとしての熟成度の差を感じますね。
 高木に代えて柳を投入し、柳をCB、新井をボランチにしたのも、ジェフの高さ対策と工藤対策だったようで、この交代も見事に成功した印象です。
 さらに新井は結果的にボランチに移ってから、3点目のアシストと4点目のシュートも決めており、ゴールという結果にも繋がったことになります。

 ちなみに新井は開幕前のキャンプに練習生として参加し、2月に入ってから正式加入が決まった選手です。
 大卒ルーキーとは思えない冷静で的確なパス出しだけでなく、173cmとは思えない体の強さも発揮しています。
 個人的には53分にクレーベに競り勝ち、その直後のこぼれ球をダイレクトで右サイドに繋いだプレーに感嘆しました。

 片やジェフのCBは増嶋とエベルトという、現状で考えうる最も無難なコンビとなっています。
 しかし、新潟戦では2人とも相手のスピードについていけず、後追いになることが非常に多かった。
 守備はCBだけの問題ではないとはいえ、かなり苦戦したポジションだったと思いますし、コンサバな選手選択が失敗に繋がったとも言えるのかもしれません。


 システムに話を戻すと、確かに4-1-4-1には不安もあったと思います。
 熊谷はレオナルドを警戒しており、相手の縦パスが出ればCBと挟んでレオナルドを潰しにいくという事前の対策があったのかもしれません。
 しかし、相手は4-4-2の2トップであり、熊谷はレオナルドだけでなく田中のコースもケアしなければいけない。
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 その結果、どちらつかずになって、縦パスを潰し切れない場面が作られていました。
 そして、縦パスを前線が1ボランチ脇に落としたところから、FW同士のコンビネーションで縦へと仕掛ける。
 あるいは中盤が拾って前へ形を、新潟が狙っていたように思います。


 その問題もあって、失点したところで4-4-1-1に変更したのかもしれません。
 あるいはそこまでシュートチャンスもほとんど作れていなかっただけに、攻撃面を考慮して変更したのでしょうか。
 エスナイデル監督の場合は、守備よりも攻撃的な意図でシステムなどを変更することが多いように思います。

 しかし、守備においても攻撃においても、システムにはそれぞれメリットもデメリットもあると思います。
 4-1-4-1なら攻撃的な選手を多く置けるかもしれませんが、その分誰かが守備や繋ぎに回らなければいけないし、1ボランチ脇の問題もある。
 4-4-2ならコンパクトに戦いやすくボックスで守りやすいかもしれませんが、その分ラインを1つ突破されれば一気にピンチに陥る。


 システムはあくまでもツールでしかないわけですから、エスナイデル監督は「システムと選手の選択を間違えた」と言っていますが、本当の問題はそのシステムを使いこなすためのノウハウや基礎部分の構築が欠けていることではないかと思います。
 ただ、もしかしたらエスナイデル監督自身も、本当はどこかでそのことをわかっているのかもしれない。
 しかし、そこを認めてしまっては監督自身の手腕を否定することにも繋がりかねないだけに、システムや選手の選択が問題であるということにしておいて、頻繁にシステムと選手変更を行っている可能性もあるのかもしれません…。

 もしそうなのであればエスナイデル監督にも可哀想な面もあるとも言えるのかもしれませんし、クラブとして問題を抱えてしまった原因はそういった監督を継続してしまった意思決定にあると言えるのではないでしょうか。
 人間には向き不向きというものもあるわけですし、環境も含めてそこに適さないのであれば任を解く決断をすることも必要ですし、結果的にはそれが監督への優しさに繋がることだってあるかもしれない。
 今シーズンは既に始まってしまったわけでもう少し様子を見るべきだとは思いますが、こういった話はフロント上層部にも言えるはずで、正しい意思決定が出来ないのであれば変化というものも必要になってくるのかもしれませんね…。