試合前にも話した通り、似た者同士の対決といった展開で、どちらも守備が緩かった印象です。
ちなみに昨年の総失点数は、ジェフがJ2で21番目に多く山口は19番目に多かったのですが、22番目の熊本、20番目の讃岐はどちらもJ3に降格しています。
この試合も、残留争いを感じるようなクオリティだったと思います。
ジェフは早い時間で1人少なくなったとはいえ、2試合連続の大敗で順位も最下位に落ちました。
その中でも気になるのは、前節にも感じたのですが、選手の気持ちの部分に問題が生じているのではないかということ。
2試合とも後半は守備を放棄して歩くようなプレーが目立っていましたし、選手がこのチームに対して不信感を抱き始めているのでは…という不安を感じなくもありません。
もしそういった問題が大きなものとなり、チーム全体に広がってしまえばチームは崩壊状態となり、監督を解任せざるを得なくなるのかもしれません。
ただ、当然このタイミングでの解任は本来避けたいものであり、後任の監督選定などにも問題を残しかねません。
現在の苦戦は昨年の段階で予想できた範疇だと思いますし、改めてなぜ監督続投に至ったのか、続投の意思決定を行ったことに対して疑問が残りますし、チーム運営にこそ根本的な問題があるのではないかとも感じてしまいます。
■失点後に堀米が一発退場
ジェフはクレーベと小島がベンチに回って、左SHの為田、ボランチの勇人、右SBの田坂が今季スタメン。アランと船山の2トップによる4-4-2に、戻したことになります。
ゲリアがメンバー外になり、真希が今年初めてベンチに入りました。
山口は開幕直前に負傷していた工藤壮人が1トップで移籍後初スタメンとなり、前節0トップ気味にスタートした佐々木匠がインサイド、前節はインサイドだった三幸がアンカーに下がり、小野原がベンチに。
また、右ウイングの田中パウロがベンチスタートで、高木大輔も今季初スタメン。
サブには元ジェフの佐藤健太郎と鳥養が入っています。
2分、山口の決定機。
山口のDFラインからのロングボールが出て、右サイドの高木が反応するとそのまま下平の裏を取ります。
高木がシュートまで持ち込みますが、GK優也がセーブ。
4分、早くも山口が先制。
三幸からのロングキックを左サイドの山下が落とし左SB瀬川が拾うと、ジェフは田坂と増嶋でサンドしますが瀬川を潰し切れず。
フォローに行った勇人も間に合わずセンタリングを上げられると、これがエベルトに当たってオウンゴール。
9分にはジェフがファーストシュート。
熊谷からのパスを受けた船山が、反転して自らシュートを狙います。
しかし、GK山田が正面でキャッチ。
13分、ジェフに退場者が出てしまいます。
右SB前がパスを繋いだ後に、堀米が遅れて足の裏を出してスライディングして一発退場。
ここからは、船山が右SHに移って4-4-1になります。
キックオフ直後は山口が積極的にプレスをかけてきて、ジェフはバタバタしていた印象です。
スコアが動いてからは、山口も受けに回ってジェフが攻め込む時間帯に。
その後もジェフが攻め込みましたが、シュートチャンスを作れずにいると、徐々に試合は落ち着いていってしまいます。
21分には山口のチャンス。
増嶋の縦パスを三幸が奪って、工藤がワンタッチで落とすと、山下が抜け出します。
山下はそのままシュートに持ち込みますが、GK優也が対応。
37分、山口の攻撃。
三幸からの長いスルーパスに山下が走り込みますが、これをGK優也が前に出てクリア。
クリアボールを山口が拾うと、三幸がロングシュートを狙いますが、ゴールの右を逸れます。
前半ATには、ジェフのチャンス。
左サイドでボールを受けた為田が、右足でシンプルにアーリークロス。
このこぼれ球を田坂が拾ってクロスを上げ、アランが頭で合わせますがバーの上。
■後半だけで4点を失い2-5の大敗
後半開始と同時に、ジェフはアランを下げてクレーベを投入。しかし、キックオフ直後に山口のチャンス。
山口が右サイド前方でパスを繋いでいき、佐々木がクロスを上げて吉濱が抜け出しシュートを放ちますが、GK優也がパンチングでクリア。
そして、48分に山口が追加点。
左サイドからのCKを佐々木が蹴るとニアで触った下平が跳ね返しきれず、GK優也がドストンと競り合ってクリアが小さくなります。
これを拾った山下が決めて0-2に。
しかし、50分にはジェフが1点を返します。
左サイド奥で得たFKを船山が蹴ると、ファーに流れて田坂がミドルシュート。
これをGK山田が触りますが、こぼれ球をクレーベがつめて1-2に。
その直後には山口が高い位置でボールを拾い、高木がシュートを放ちますが、ジェフのDFがブロック。
53分には、ジェフのチャンス。
右サイドからのCKを船山が蹴ると、ニアでフリーになった増嶋が頭で合わせますが、枠の外。
58分、山口は高木を下げて田中を投入。
すると、63分、三幸が勇人からボールを奪い、右サイドの田中へ。
ジェフは田中への寄せが甘く、余裕を持って左足に持ち替えた田中がシュートを放ち1-3に。
66分、山口は工藤を下げて高井を起用し、山下が中央に回って高井が左に。
67分、ジェフは勇人に代えて小島を投入。
1人多い山口ですが、この頃から足が止まっていった印象です。
そして、70分にジェフが1点を返します。
為田からのパスを中盤で受けた小島が、ゴール前へ速いボールを供給。
これに飛び出した船山が、ダイレクトで合わせて2-3に。
80分、山口は佐々木を下げて小野原を投入し、三幸とのダブルボランチに変更。
その直後、瀬川がカウンターから左サイドを持ち込んで、前に出ていたGK優也のポジションを見てロングシュート。
これがポストに直撃し、高井がつめて2-4に。
さらに83分にも山口が追加点。
左サイドからのパスワークから、三幸が1タッチで裏へのラストパス。
ジェフのDFラインは下平が残ってしまい、高井が裏を取って2-5に。
85分、ジェフは為田を下げて乾を投入。
88分、ジェフのチャンス。
下平の裏へのパスを受けた乾がクロスを上げると、船山が足元で合わせますがGK山田がセーブ。
しかし、その後のジェフはチャンスを作れず。
意気消沈気味で、2-5で大敗となりました。
■共に相手の強みを消せず守備に穴が
両チームともに寄せが甘く、守備への戻りも遅く、緩い試合となってしまいました。さらに似通って感じたのは、相手のストロングポイントへの対策がほとんど感じられなかったこと。
山口のシステムは4-1-4-1ですが、守備に回ると1トップとウイングが横並びになり4-1-2-3のようになって、中央のパスコースを遮断する。
そこからサイドにボールが渡ったら、ウイングが外に出て行ってプレスをハメようとする形で、これは昨年序盤の山口と同じ守り方でした。
しかし、ジェフはSBからビルドアップを開始する上に、山口のプレスがハマらなかったため、前半はサイドからパスを繋ぐことが出来ていた印象です。
さらに山口は3トップが中央に絞るのに合わせて、DFラインの4枚も中央に寄って守ってくる傾向があり、その結果としてサイドの裏が空きがちに。
そこでジェフは後半から積極的に為田へロングボールを供給することによって、前半よりも攻め込む機会を増やしていった印象です。
加えて山口が後半からDFラインを上げて来てくれたことによって裏にスペースができ、結果的にジェフはサイドを裏へと攻める得意の展開が作れるようになっていきました。
また、山口は1ボランチ脇にも不安があり、前半失点直後はジェフがそこでボールを持つことで押し込む時間も作れていました。
後半に奪ったジェフの2点目も増嶋のロングボールを為田が受けて、小島が山口の1ボランチ脇を取ったところからゴールが生まれたもの。
その後、山口はダブルボランチにして穴を埋めたことになりますが、そこまで1ボランチ脇の課題を放置していたことになります。
一方のジェフは1人少なかったことを差し引いても、三幸を何度もフリーにし過ぎていたと思います。
三幸はこのチームの司令塔であり、中盤後方からでも決定的なパスを出せる選手。
しかし、そこに対してジェフは警戒していた印象がなく、自由にやらせ続けていた印象です。
さらに山口は隙があればどんどん裏を狙ってくるチームで、前に仕掛けられるアタッカーを並べていることが特徴的なチーム。
しかし、DFラインはスピードのない選手が並んでいる上に、この日は前半からラインが凸凹でした。
田坂、下平などが残ってしまうことが多く、ベテランを揃えてのラインコントロールにもかかわらずラインが統一されないというのは、いったいどういうことなのでしょう…。
2-5というスコアになりましたが、攻撃面が良かったというよりも、守備面の問題が目立った試合だったのではないでしょうか。
もちろん両チーム共に攻撃に魅力のある選手は多いですが、どちらも攻撃陣が攻め残り守備をさぼるような状況になることが多く、結果的に攻撃に力を注げているところもあると思います。
そのため、後半の早い段階から殴り合いのような展開になってしまったのではないでしょうか。
相手対策や戦術以外においても、どちらのチームも単純に寄せが甘い、戻りが遅い、ポジショニングの修正が少ないといった問題を抱えている印象で、失点が多くなるのも当然。
さらに簡単な失点が増えれば、順位が上がっていかないのも当然といった印象を受けました。
また、スタミナにも問題があるのか、後半はお互いに足が止まって、さらにスペースが出来がちだったように思います。
もちろん、サッカーは守備だけではないとはいえ、攻撃にせよ守備にせよ、基礎的なルール作りの構築はどんな組織でも必要になってくるはず。
それがなければ、組織内の秩序は崩壊していくでしょう。
個々で判断して対応できる部分は限られますし、徐々に穴は大きくなっていくかもしれない。
ジェフのチーム状況に関しては、昨年以上に攻守に悪化しているようにも思います。
昨年はそれでもシステムや選手を頻繁に変更して目先を変えて、どうにかこうにか乗り切りましたが、はたして今季はどうなるのか。
予断の許さない状況と言えるのではないでしょうか。