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江尻監督「攻撃のうまい組み合わせを考えなければ」

前半から裏を取られる場面があり、守備に不安を感じたが、どう修正を図っているのか。
「今日に限っては少し攻撃的なマネジメントをとった。そこ(攻守)のバランスがチームとして成熟していないのは率直な感想だ。人的なマネジメントを含めながら、攻撃もしないといけないので、うまく組み合わせを考えなければならない。」(Jリーグ

 横浜FC戦後の江尻監督のコメントです。
 ジェフの公式サイトでは「やってきたのは守備のところ」という発言も掲載されています。
 しかし、「バランスが成熟していない」とも話しているように、攻撃寄りにしたら守備に穴ができてしまう…では大きな問題が残っていることになります。

 以前にも少し話しましたが、江尻監督が就任してからのジェフは守備に力を注いでいる分失点は減っていますが、得点も稼げていない印象があります。
 それでは厳しい…ということがここ3試合でもはっきりしつつありますし、攻撃面を改善すること。
 そして、守るにしても、守備の負担を減らす方法を探ることが大事なのではないでしょうか。


 江尻監督は、「うまい組み合わせを考えなければいけない」とも話しています。
 話の流れからして、主に前線の組み合わせでしょうか。
 横浜FC戦での2トップも、機能しきれなかった印象があります。

 しかし、「組み合わせを考えなければ」と話してはいますが、実際にはある程度軸は固まっているのではないでしょうか。
 江尻監督が就任して6試合になりますが、最近4試合で寿人は3試合にスタメン出場。
 金沢戦こそスタメンではありませんでしたが、連戦の最終日だったということで、大ベテランをスタメンから外した可能性も考えられるでしょう。


 さらに寿人が外れたその金沢戦では、クレーベがスタメン出場。
 クレーベは2トップにした横浜FC戦でも寿人とスタメン出場していますので、FWの2番手ということなのではないでしょうか。
 アランは福岡戦でしかスタメン出場しておらず、3番手ということなのかもしれません。

 しかし、個人的には福岡戦でのプレーなどを見た段階では、アランがレギュラー最有力なのではないかと思っていました。
 確かにアランはあまり器用ではなく、1トップということになると、すべてをこなしきれないところもあると思います。
 それでもシャドーの2枚が近くでサポートすればアランの前への強さも生きるのではないかと思いましたし、ポストプレーや守備などやることさえ限定してあげれば持ち味であるフィジカル面を発揮できるタイプではないかという印象があります。


 しかし、クレーベはより柔軟にポストプレーなどもできて、寿人も経験豊富で引き出しが多い。
 結果的に総合力で判断しているというか、現状がどうなのか以上により発展性を持たせるということで、この序列になっているのでしょうか。
 攻撃の形が確立されていないからこそ、様々なことができるこの組み合わせになっているということなのかもしれません。

 あるいは、単純に寿人を活かすということを大前提として考えて、ポストプレーが得意なクレーベと組ませたという可能性も考えられると思います。
 2列目の序列も寿人にパスを出す役割ということで、パサータイプの工藤が確固たる主軸になっているのかもしれません。
 寿人と工藤はほぼ固定化されていますし、現状のままいけば二人が攻撃の軸ということになるのでしょう。


 寿人、クレーベ、工藤を並べると、足元の技術で戦うパスサッカーからの裏抜け展開を狙うチームなのかなと考えられるように思います。
 しかし、実際にはここ4試合トータルでもスルーパスからの裏抜けはほとんど作れていないし、パスワークも構築できてるとは言い難い。
 果たして、その方向性が現実的に狙えるサッカーなのかという疑問もあると思います。

 本気でパスサッカーを目指すのであれば、より細部にこだわって1つ1つ積み重ねていくしかないでしょう。
 細かなボールを受ける動きや判断スピードなどをもっと上げていく必要があると思いますし、どこで繋いでどう展開するのかといった全体的なビジョンも必要だと思います。
 それでもそれを目指すのであれば、腹をくくってやっていくことが大事なのではないでしょうか。


 ただ、江尻監督の場合は前回就任時にもコメントなどではパスサッカーを実施するような話をしていたにもかかわらず、その後はふらふらとしていた印象があります。
 今回もパスサッカーを集中的に実施するのであればそれでも良いとは思うのですが、実際には攻撃で何がしたいのか明確になっていないと思います。
 それだけに今回もメンバーだけを見てパスサッカーを目指すのだろうと言い切るのは難しいのですが、一方で寿人を重視する以上はそちら方向へ進まざるを得ないのではないか…とも思い、外から見ているとどういった判断なのか悩むところがあります。

 大事なのは現時点で「何が出来ているのか」以上に、「何がしたいのか」が見えないところ。
 もちろん出来ていないから見えないという部分もあるとは思うのですが、現状だとチャレンジしているようにすら見えないだけに、このまま攻撃の方向性が確立されないのではないかという不安があるということになります。
 さらにこれは前回の江尻監督にも近いものを感じただけに、個人的にどこか引っかかる部分があります。


 やはりあれから長い年月が経ったとはいえ、監督というのは職人業でしょうから、努力や経験だけで成長するのは限界があり、もって生まれた能力やセンスが大事なのではないかと思います。
 だから、エスナイデル監督の時も「来年になればよくなるかもしれない」、「3年目には変わるだろう」といった言葉には全く期待が持てなかったし、実際に何も変わらなかったと思います。
 あるいはその人の能力がそのまま成果として現れ、結果を求められる職業だからこそ、「いい人だから応援する」、「キャラクターとして良いから好き」では成立しない世界だとも思います。

 江尻監督としては前回にも感じた殻を破れるかどうかが、今回の大きなテーマということになるのではないでしょうか。
 知識や経験はあるとして、それをどう現場で発揮して、どう戦えるチームを成立せるのか。
 寿人の裏抜け、クレーベのポスト、工藤のパス、為田の仕掛けなどなど、それぞれに良さはあるとは思うのですが、チームとしてそれを活かせるサッカーが出来なければ何ら意味はない。

 だから、「組み合わせ」も大事だとは思うのですが、その前に「どんな攻撃を作りたのか」を明確にすることの方が先なのではないかと思います。
 その上で「組み合わせ」を考えるべきだと思いますし、監督や選手など能力を総合的に判断した上で、理想と現実の折り合いをつけていかなければいけない。
 そこができるかどうかが江尻監督の大きな壁だと思うし、若手日本人監督もよくここに当たって、苦戦してしまうところがあるのではないかと思います。
 江尻監督もすでに若手指導者とは言い難いですが、監督としての経験は浅いだけに、そこを乗り越えられるかどうかが問われるのではないでしょうか。