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警戒していたロメロ・フランクをフリーにして失点

ロメロ フランクに対して、熊谷 アンドリューをマンマーク気味につけていた狙いを。
江尻 篤彦監督「町田の縦への攻撃の中で、彼のボール奪取と2列目からの飛び出しはポイントだと思っていたので、意識的にアンドリューが見る形をとった。(佐藤)勇人と連係をとって、うまくやっていた部分もあったが、最後にやられた形はボールサイドに人が寄ってしまった。彼をどう抑えるかは大きなポイントではあった。」

 このコメントによると、ロメロ・フランクを警戒したにもかかわらず、フリーにしてゴールを決められてしまったことになります。

 「熊谷が見る形をとった」とは話していますが、「勇人と連携をとって」とも説明していますので、完全なフルコートでのマンマークではなかったように思います。
 ロメロ・フランクは前に出てきてトップ下気味の位置でプレーするので、結果的に熊谷が見ることが多くなっていたのかなと思っていました。
 熊谷が主体的に守りつつ、状況次第で他の人が対応するという形だったのではないでしょうか。


 2失点目のシーンでは左サイドでパスを繋がれたところから船山が奥山にかわされ、マイナス気味のパスを中央に供給されて、フリーのロメロ・フランクがゴールを決めています。
 ロメロ・フランクの見事なシュートではありましたが、中央PA直前の位置でフリーな選手にボールを持たれては、やられても仕方がないと思うべきでしょう。
 ジェフとしては警戒すべき選手を、ぽっかりと開けてしまったことにもなります。

 サイドでの守備が甘いことも気にはなりますが、サイドの奥を攻め込まれて一列後ろにパスを繋がれると、そこがフリーになってしまうという問題が目立っています。
 前半ATに左サイドからマイナスのクロスを上げられた場面でも、DFの前で中島がフリーでシュートを放っていますし、柏戦でも右サイドを攻め込まれた後に、1つ後ろの中盤がフリーになってそこからチャンスを作られた場面がありました。
 守備の人数は足りているにもかかわらず、相手選手を捕まえきれずにやられてしまうことが多いですね。


 町田戦での2失点目は、このような状況だったと思います。

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 この位置で相手選手にフリーで持たれては、シュートでなくてもやられていただろうと思います。
 相手のシュートも褒められるべきだとは思いますが、ジェフの守備の問題も大きかったと言えるでしょう。

 熊谷が完全にマンマークロメロ・フランクに付くという約束だったのであれば、サイドにサポートに行った熊谷の判断ミスともいえるかもしれません。
 しかし、上記の通り他選手とも連携してロメロ・フランクを見ていた印象ですし、黒円で示した通りサイドは4対4の状況でした。
 数的同数ということになりますし、サイドへの人数の掛け方には大きな問題はなかったのではないかと思います。


 江尻監督は「ボールサイドに人が寄ってしまった」と説明していますが、問題なのは白円で示した中央の守備ではないでしょうか。
 ゴール前での人数だけ言えば、4対3でジェフの方が人数が多かった。
 にもかかわらず、ロメロ・フランクをフリーにしてしまったことになります。

 1つにはポジションバランスの問題が、考えられるのではないでしょうか。
 ゴールに至るまでの流れも振り返ると、ジョン・チュングンなどがサイドに積極的に流れるため、乾が外に対応しにいった。
 一方で増嶋、鳥海、ゲリアはファーに土居、岡田、ロメロ・フランクなどが待ち構えていたため、それに釣られてファーで固まってしまいました。


 これによって、乾と増嶋の間に大きなスペースができてしまった。
 そのため勇人が橋渡し的なポジション取りをして、その間をカバーすることになった。
 また、熊谷も右SH戸高についていって左後方に流れたため、結果的に両ボランチボランチエリアにいない状況になってしまいました。

 これがゴールの10秒ほど前での動きですが、さらに5秒後には右SB大谷が若干低い位置でボールを持ったタイミングで、ジェフが最終ラインを上げる動きをしています。
 これによってさらに勇人などがDFラインに吸収され、結果的に一列となり7バックにも近い状況となってしまいました。
 いくら後方に人数をかけても、その選手たちが1列で守るような状況になってしまっては、横のスペースは消せたとしても縦のギャップには対応できなくなってしまいます。


 このことからも、最後までラインを維持して守ろうとし過ぎではないかといった印象があります。
 前半ATの中島のヘディングシュートも、ジェフのDFはゴール前に3人いて相手は2人のみだったにもかかわらず、ジェフは横1列でDFライン前の中島をフリーにしています。
 オフサイドを取ろう、ラインを守ろうという意識が強すぎて、肝心の人を見れていないことが多くなっているのではないでしょうか。

 あるいは、ラインディフェンスにこだわるのであれば、マンマーク主体の守備ではなくゾーン主体でポジショニングを重視したボックスディフェンスに切り替えるか。
 そもそもハイプレス・ハイラインでラインの意識を高く保つ守備…ようするに"人"よりも"エリア"重視で最終ラインを守っているにもかかわらず、その他の守備はマンマーク主体で"人"を重視して守っている。
 このあたりから無理がある印象で、2失点目にボランチ2人が最終ラインに吸収されたのも、この辺りに1つの要因があるのではないかと思います。


 ただ、町田戦では相手の縦への鋭い攻撃を警戒してか、柏戦での敗戦の影響もあったのか、あまり最終ラインは高くなかったと思います。
 それが今後どうなっていくのかという問題もありますが、ハイラインをやめるのであれば無理にラインを維持するようなことはせずに、より人に付く意識の高い守備に移行した方が良いのではないか。
 そちらの方がシンプルではないかと思います。

 またあえてオシム監督の話をしますが、ジェフでのオシム監督はマンマーク主体のサッカーでした。
 マンマークにすることによって1人1人の責任がはっきりすることや、90分間集中力を維持することなどを期待したのだと思います。
 どちらも今のジェフには、欠けている要素と言えるのではないでしょうか。


 守備での責任の所在をはっきりさせることによって課題を明確にし、チームや選手の成長を促すことにも繋がったのではないかと思います。
 しかし、現状のジェフは守備の約束事も曖昧なところが多いので、何が問題だったのかもはっきりしていない部分がある印象です。
 2失点目も熊谷が外に流れたのが問題だったのか、勇人がその穴を埋められなかったせいか、増嶋のポジショニングなどが悪かったのか…。

 個人的には増嶋が乾との距離を開けすぎた…あるいは勇人にカバーさせるなら増嶋が前に出て対応すべきだったように思いますが、ともかくどこに問題があったのかあやふやなまま次に進んでは、また同じ問題が出かねないでしょう。
 そういった意味でも、相手のマークを捉えきれない問題が続いていることを考えても、マンマークに移行しても良いのではないかと思わなくもありません。
 いずれにせよ、このままの守備ではまずいと思いますから、早急な改善が求められるのではないでしょうか。