溝渕、佐藤祥、菅原コーチ、山口慶などが所属する栃木の長崎戦

 本日12日に18日以降の試合再開についてJリーグ実行委員会で協議がされるはずでしたが、その前の9日に再開延期の合意が発表となりました。
 正式には本日の実行員会で決定し、何らかの発表があるのではないかと思いますので、その後に取り上げたいと思います。
 さらなる延期が決まりましたが、当ブログでは18日再開見込みでやってきたため、18日の北九州戦後、連戦で行われれる予定だった栃木の開幕戦に関して、既に文章を書き終えていました。
 栃木は気になる選手やスタッフも多いチームですので、そちらをアップさせていただきたいと思います。


 今年の栃木は溝渕、大野がジェフからレンタルで移籍し、元ジェフの佐藤祥も群馬から加入しました。
 ジェフの菅原コーチも加入しており、その絡みもあって3人の獲得に至ったのでしょうか。
 溝渕、大野は契約のためジェフ戦に出場できませんが、ジェフ色の強い注目のチームとなりました。

 開幕戦では長崎と対戦し、大野はメンバー外でしたが、溝渕と佐藤祥はスタメン出場。
 佐藤祥は昨年群馬で本職のボランチとしてJ2昇格に貢献し、栃木でもボランチに入りました。
 昨年松本で苦しんだ溝渕ですが、栃木では右SBでレギュラーとなりました。


 今年も栃木は4-4-2でスタート。
 CB田代、左SB瀬川、ボランチの岩間などは変わりませんが、前線には矢野貴章が入り、ベンチにはエスクデロや西谷優希、ハン・ヨンテなど新加入選手が加わっています。
 また、スタメンには大卒の左SH明本や鹿島からレンタル加入した19歳のFW有馬など、若い選手も選ばれています。

 一方の長崎に関しては、当ブログで攻守にバランスよく戦う4-4-2ではは難しいのではないかと開幕前に話しましたが、まさかの3-6-1でスタート。
 メンバーも元ジェフのGK高木和、清水からDF二見、湘南からDFフレイレなどが入れ替わっており、1トップには町田から加入した富樫が入っています。
 若い右WB米田やシャドーの吉岡なども先発し、変化を感じる構成となっています。

■セットプレーの1発で長崎が先制

 立ち上りは、ホームの長崎が攻め込む展開。
 長崎はシステムのミスマッチを活かして、相手SBをシャドーに食いつかせ、WBが外から攻め込む狙い。
 ただ、栃木も徐々に対応していき、全体をスライドさせて対応していきます。

 すると、10分頃からは栃木の流れ。
 栃木は長身の矢野と有馬に長いボールを供給し、相手を押し込んで瀬川のクロスでゴールを狙う。
 ボールを失った直後のプレスも激しく、ガツガツとした展開で押し込んでいきます。


 10分にはGK高木和からボールを受けた直後のカイオ・セザールから、岩間が中盤でボールを奪取。
 矢野が受けてシュートを放ちますが、角田がブロック。
 20分にはCKから瀬川のボールを187cmのCB柳が狙いますが、GK高木がキャッチ。

 しかし、21分にセットプレーから長崎が先制。
 秋野が左サイドのCKを蹴ると、ニアで富樫がフリックしてファーでフレイレが合わせます。
 流れは栃木でしたが、一発でゴールが決まりました。

 その後もやや栃木ペース。
 栃木は失点してから、より前への意識を高めていった印象です。
 しかし、30分頃からは長崎も相手のプレスに慣れて、後方でパスを繋ぎカイオのところでフリーな状態を作ることで、巻き返していきました。

■栃木が攻め込むも1-0で長崎の勝利

 後半からさらに栃木が、プレスの圧力を高めていきました。
 前半は行けるところは行き、そうでない時は無理をしなかった印象でしたが、後半からはどんどん前からプレスをかけていきます。
 また、サイドの守備も前半はDFラインがスライドしていましたが、後半からはSHが開いてWBを見る形で修正していきました。

 60分には瀬川がロングスローを供給し、ニアですらして田代が足元でシュートを放ちますが、GK高木和がセーブ。
 68分にも途中出場のハン・ヨンテが左サイドからクロスを上げ、明本が頭から飛び込みます。
 ゴールネットを揺らしましたが、その前にプッシング。 


 長崎は、相手のプレスに苦しみ劣勢状態。
 攻撃機会がほぼ作れず、守りの時間が続きます。
 80分には澤田を下げて、ジェフU-18出身で専修大から加入した新人MF氣田が投入されます。

 そこからは、長崎が若干巻き返します。
 栃木は運動量が落ち、1-0で長崎の勝利となりました。

山口慶強化部長と"ストーミング"

 長崎が勝利した試合ではありましたが、栃木の方がやりたいサッカーができていた印象でした。
 栃木はやることが一貫していた。
 前線には長身FWを置き、ボランチが広範囲を守って、SBがクロスを上げ、CBが跳ね返す。

 資金力がないからこそ、やりたいサッカーにあわせて厳選して選手を補強し、強みのはっきりとさせたチームを作る。
 栃木のやり方を見ていると、なぜジェフが迷走しているのかわかる気がします。
 ジェフはお金があるからこそ選択肢が多く、迷いが生じているところがある印象ですし、そこで必要な決断力も示せていないということなのでしょう。


 佐藤祥と溝渕もガチっとチームにあった、プレーが出来ていたと思います。
 2人とも運動量豊富に粘り強く守っていたし、この日の溝渕はクロスやロングスローでも貢献。
 佐藤祥もいろんなエリアに顔を出し、岩間と共に中盤で効いていました。

 そんな栃木の強化部長に昨年就任したのが、元ジェフの山口慶です。
 山口が強化部長を務めるチームのボランチ2人が、岩間と佐藤祥というハードワーカーというのも興味深いですね。
 2014年に引退した山口ですが、こんなにも早く強化部長に就任することになろうとは。


 栃木はボール保持にこだわらず、失った直後に一気にプレスをかけ高い位置で奪い切る、"ストーミング"という概念を取り入れているそうです。
 ここ数年、欧州サッカーのトレンドの1つで、その意図は開幕戦でも確かに感じ取ることが出来ました。
 その分、スタミナが持つのか、リスクケアは大丈夫なのか…という不安もありますが、全てを奪いに行くのではなく、時間帯や展開に応じて使い分けることで対処しようとしているのかもしれません。
 
 そのサッカーを実現するためフィジカルが強くハードワークが出来る選手を集めたのかもしれませんが、一方でボールを奪った後の質には物足りなさも感じました。
 この辺りが新トレンドや斬新な戦術を取り込めばいいというものではないと感じるところで、最終的にいかに勝てるチームを作るかが重要だと言えるところでしょう。
 それでも栃木なりの"ストーミング"を作ろうと感じるところもありますし、ここからどう変化していくのか気になるところだと思います。


 一方の長崎も3バックにして、守備陣も補強によって守備が改善された印象です。
 高木和も安定していて、なぜ2018年にジェフでチャンスすら与えられなかったのかなと思ってしまいます。
 フレイレや二見も、さすがJ1で活躍経験のある選手達ですね。

 ただ、システムなどは変わったものの、大きくチームのイメージは変わらず。
 確かにパスも繋げるしサイド攻撃もあって守備もしっかりしていますが、昨年からどこに強みがあるのかわかりにくいところがある印象です。
 サイド攻撃メインだけど1トップの富樫には高さがなく、昨年も活躍しきれなかったということで、上位進出を考えると誰が点を取るのかが不安材料かなと思います。

 とはいえ、長崎は戦力もあるし、まずは富樫にチャンスを与えて待ってみるということでしょうか。
 両チームともある程度の手応えを感じつつ、課題も感じた開幕戦だったように思います。
 そこから中断期間もあり、どう変わっているのか気になるところですね。