さて、昨日までで開幕戦の全試合を消化しました。
しかし、Jリーグ再開までにはまだまだ時間がかかりそうということで、早期に再開できた場合は没にしようと思っていたエントリーを2つほどアップしていきたいと思います。
内容は図を使った説明に関してです。
まずは開幕戦での町田の攻撃について。
町田対甲府のエントリーはこちらになります。
新たにポポビッチ監督が就任した町田は、昨年までの相馬監督による特徴的な守備に関してだけでなく、攻撃面でも変化を見せていたと思います。
例えば、甲府戦で見せた18分のシーン。
図ではわかりにくいかもしれませんが、三角形で示したパスは共にダイレクトプレーでした。
左SHのマソビッチから、ワンタッチで前線のステファンへ。
パスを受けたステファンは、走り込んできたFW平戸へワンタッチでパス…と素早くパスを展開していきます。
さらに平戸も3タッチと少ないボールタッチで、再びマソビッチに繋いでいます。
この前のプレーでも、後方からのボールを受けたマソビッチが、ダイレクトのヘディングで平戸に繋いでいます。
さらにそこでボールを受けた平戸も、マソビッチにダイレクトパス。
ようするに、マソビッチ、平戸、マソビッチ、ステファンと、4連続でダイレクトパスがつながっていることになります。
この図の後のマソビッチは、中央に持ち込んでいって、後方から走り込んできた中盤の佐野に繋ぎます。
前の開いていた佐野は思い切ってミドルシュートを選択しますが、ゴールポストの左にそれて攻撃が終わりました。
しかし、ゴールにはなりませんでしたが、そこまでのダイレクトパスの展開は非常にスムーズでした。
複数人が少ないボールタッチで繋いでいき、素早く縦へ持ち上がる。
あるいは、そこで守備をかわしながらも、相手守備陣のマークを集中させる。
そうやってタメを作って大きく展開し、空いたスペースを狙うというのが、ポポヴィッチ監督の狙いではないでしょうか。
ダイレクトパスを続けて素早くボールを動かせれば、相手守備陣はボールにアタックに行くポイントを掴みにくくなる。
さらにパスワークに複数人が絡めばそこに相手守備陣が引き付けられることになるし、引き付けられれば他にスペースが出来てしまう。
町田はダイレクトで繋げるテクニックのある選手も多いし、昨年のチームから良い面を引き継いだのか、選手の距離感も良いので可能性を感じる展開だったように思います。
ポポヴィッチ監督のサッカーはワンツーが多いため、FC東京やC大阪では"ワンツー地獄"と揶揄されてしまったこともあります。
その頃にはすでにジェフはJ2だったため、私は2つのチームをしっかりとは見ていないのですが、少なくとも今年の開幕戦での町田を見た印象では、ワンツーというより複数人が絡んでダイレクトパスを繋いで攻めようという意図を感じました。
以前はそこに絡む人数が少なかったのか、J2だからうまくいっているのか、町田というチームがそうさせたのか、それともポポヴィッチ監督自身が変わったのか…。
理由はどうあれ、そこまでネガティブな印象はなかったように思います。
しかし、甲府戦では結局ゴールは生まれませんでしたし、図のようなミドルサードではなく、ゴール前の厳しい局面になったらワンツーが増えてくる可能性もあるかもしれない。
アタッキングサードでのプレーはあまり多くなかったですから、その結果悪い癖が出なかったということなのでしょうか。
ただ、今年の町田はステファン、マソビッチという高さに関する武器もありますし、開幕戦でも最後はそこを使おうという意図を感じました。
それだけに、3月23日にマソビッチが左第5中足骨骨折で全治4か月の診断を受けたのは非常に残念です。
ただ、中断期間も伸びていますし、いろんな選手が入れ替わることで攻撃のバリエーションが増えれば面白いのではないでしょうか。