当ブログはプロモーションを含みます

羽生「オシムさんは僕らに『いつも中間順位にいて楽しいのか?』と」

 前回に続いて、Sportivaでのオシム監督関連の連載記事を取り上げていきます。
 ちなみにSportivaでは西部謙司氏によるオシム監督の記事も昨年12月に掲載されており、こちらではオシム監督の特徴全般が取り上げられています。
 オシム監督時代を知らない方にとっては、どこが凄かったのかを垣間見ることができる記事ではないでしょうか。

 今日は町田の水本のインタビューから。
 当時から活躍するジェフ選手も少なくなってしまいましたが、昨年の水本は過密日程の中、主軸として41試合に出場。
 あの頃から若手の中での素質はトップと思っていましたが、一番息の長い選手となるのかもしれませんね。

sportiva.shueisha.co.jp

「選手にたくさんの選択肢やアイデアを提示してくれるところ、前向きなトライや意図の見えるミスに対して全然怒らないところは、オシムさんに似ていますね。」

 水本はポポヴィッチ監督のオシム監督の類似点に関して話しています。
 サッカーの内容はかなり異なりますが、やはり似ているところはあるということなのでしょう。

 水本が町田に移籍したのも、ポポヴィッチ監督や唐井GMの存在が大きかったのではないでしょうか。
 広島からレンタル移籍した松本に半年しかいなかったのも、五輪で一緒だった反町監督が退団したからなのかもしれません。
 そう考えると人との繋がりを重視している印象も受け、広島に8年半もいたにも関わらずDAZNの解説に「試合に出られないとすぐ移籍する選手」と言われていたのは、さすがに可哀想でした。

sportiva.shueisha.co.jp

「阿部ちゃんは、練習後のケアがよくなったように感じました。練習前にしっかり準備し、練習が終わったあともしっかりケアする。それこそ監督の言う、24時間サッカーに注ぎ込むスタイルが出来上がったんだと思います」

 現在は日本代表で活躍する、松本フィジカルコーチのコメント。
 記事中にもあるように、若い頃の阿部は『ガラスの右足』と言われるほど怪我が多く、特に代表の重要な大会直前に負傷して欠場するというケースが続いていました。
 それがオシム監督就任前後からぴたりと怪我がなくなるわけですが、それも24時間サッカーに集中しろというオシム監督の指導が影響したということなのでしょうか。

 冒頭では臨海の話も出ていて、とても懐かしく感じます。
 牧歌的なスタジアムをオシム監督も愛していたと書かれていますが、サポの中でも移転直後はあのの雰囲気が良かったと言う方は少なくなかったですね。
 もちろんフクアリにはフクアリの良さがたくさんありますが、臨海の雰囲気が人を育てたという面も大きいのではないかと思いますし、今はフクアリにおける強みを作り出さなければいけませんね。

sportiva.shueisha.co.jp

オシムさんは僕らに『いつも中間順位にいて楽しいのか?』と。『優勝はできないけど、降格もない。なんのプレッシャーもなく、サッカーができていいよな。でも、それがいい人生だとは俺は思わない』と語りかけてきたんです。『なぜ、優勝を目指さないのか』『なぜ、代表を目指さないのか』『なぜ、野心を持たないのか』って」

 これも当時からのサポは、何度も聞いた話ですね。
 羽生は「野心」という言葉から、「AMBITION22」という名前の会社を立ち上げたそうで、会社のHPによるとマネジメント会社のようです。

 ただ、一方で引退後、オシム監督に「なんでコーチをやらないんだ?」と言われたとも話しています。
 それに対して。

オシムさんよりいい指導者になれるのかと思った時に、自信がない。例えば、FC東京U-18の監督がオシムさんだったら、10人中8人をトップに昇格させられるかもしれない。でも、自分が2人しか昇格させられなかったら、6人の人生を僕が狂わせてしまったんじゃないかと気にしてしまう」

 捉え方次第ではあるでしょうけど、それこそ「野心」が足りないのではないかなという気がしないでもありません。
 厳密にいえば、「勇気」なのかもしれませんが。


 オシム監督は、羽生にコーチ業をやってほしいと思っているのではないでしょうか。
 知識はあるし経験も豊富だし、オシム監督はコーチを育てることにも意欲的な方だったわけで。
 羽生本人は昔から意外と内気というか、自身を持てない性格なので向いていないともいえるのかもしれませんが、それこそ「野心」が必要な部分なのではないかと。

 羽生は内気だし、勇人は知性より感性のタイプだし、阿部や巻も優し過ぎるところがあるし。
 なかなか、日本人でオシム監督の弟子が成功するのは、難しいのでしょうか。
 間瀬監督などもいますが、まずは坂本に期待すべきなのかもしれません。


 羽生はオシム監督から「野心」の重要性を感じ取ったということで、これも今のジェフに足りていない部分だろうと思います。
 特に近年は1つの勝利で満足してしまうところがある印象だし、選手からも環境に甘えているところがあるのではないかという話が出ている。
 例え多少成績が上がろうとも、あくまでそれは低い次元の話であるわけですし、もっと上を見なければいけないと思います。

 オシム監督時代からスタイルや戦術などは大きく異なるわけですから、比較しても仕方がない。
 しかし、サッカーに対する取り組み方や姿勢に関しては学ぶべきところもあると思いますし、単純に「厳しさ」や「野心」の部分はジェフに足りていないところでしょう。
 クラブとしても2012年に『脱甘』というスローガンを掲げましたが、変わらず今日まで来ている印象ですし、改めてより「厳しさ」を求めていくべきなのではないでしょうか。