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2020シーズンを振り返る 矢田旭編

 矢田のプレーを振り返ることは、昨年のジェフを振り返る上でも、攻守において重要ではないかと思います。
 今オフ、為田、堀米、アランが抜けたことによって、数少ないSHの残留組となった矢田。
 2020年は右SHとしてプレーし、スタメン20試合出場は右SHとして最多、SH全体でも為田の21試合に続いて二番目の数字となります。

 前年まではボランチとしての出場も多かった矢田ですが、尹監督の下ではボランチとしてのスタメンはありませんでした。
 守備面において、ボランチとしてはサイズが小さく不安があったこと。
 攻撃面においても細かく繋ぐプレーは得意なものの、大きな展開はあまり作れないということで、合わなかったということでしょうか。

 逆にSHとして評価されたからこそ、ボランチでのプレーが見られなかったとも言えるのかもしれません。
 以前から何回か話していますが、矢田はSHとしては守備面で貢献できる選手だと思います。
 近年のジェフはSHで献身的に守備ができる選手が少ないですから、矢田は貴重な存在だったのではないでしょうか。


 中でも昨年の矢田は、守備時のポジショニングが非常にうまかったと思います。
 4-4-2でラインを重視し、全体が引いて守るスタイルだからこそ、前に出て行けずに苦戦することが多かったジェフ。
 綺麗なラインなどとも言われていましたが、綺麗なポジショニングだけでは守れないし、勝てないはずです。

 どこかで前に出て相手の攻撃を止めなければいけないわけですが、前に出すぎてもその裏を取られてしまう。
 為田などは前へ追いかけすぎて、裏をぽっかり空けてしまったし、かといって引き続けていれば、相手後方から縦パスを出されしまう。
 そのため、バランスが重要で矢田は少し前に出て、MFラインとFWラインの間あたりにポジショニングすることによって、前後左右を睨みながら守備をする動きを見せていた。

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 図の黒い円の位置から攻撃を作られることが多かったジェフですが、矢田は守備で間を取ることで赤いエリア全体を警戒し、どこにでも行けるポジション取りが出来ていたと思います。

 こういったうまいポジショニングがゾーンディフェンスでは求められると思うのですが、これが出来たのは矢田だけだったと思います。
 それだけ守備センスの高い選手が少なかったともいえますが、監督がそれを仕込めなかったともいえるのではないでしょうか。
 このあたりから、尹監督への不安を感じるところもあるわけですが。

 ただ、矢田も賢く守ることは出来ていたのですが、サイズがないため対人守備はあまり得意ではなく、ボールを奪いきる、後方で跳ね返すといったプレーは期待できなかった。
 特に昨年のジェフは組織的にプレスで囲い込んで奪うというような展開は作れず、個々での対応が主になっていただけに、苦しんだところがあったのではないでしょうか。
 そのためシーズン終盤には、守備役のSHとして運動量豊富でカバーでき、高さや強さもあるアランに役割を奪われたことになります。


 また、攻撃においても、左利きながら右SHとして起用されたこともあって、機能しなかった印象です。
 ここも尹監督のわからないところで、両足で蹴れる為田以外は最後まで逆足のSHにこだわっていた。
 しかし、その意図が見えてきませんでしたね。

 ロングボールを前線に蹴って、SHが中に絞って拾う展開を狙ったのか。
 古いイングランドサッカーのように逆足のSHを置いて、持ち替えてのアーリークロスを蹴り込もうとしたのか。
 トレンドの展開であるSHがハーフスペースを取る形を期待したのか、いろいろと予想はできるのですが、どれも形にはならなかっただけに、無駄なこだわりのように見えました。


 特に堀米は左足でのクロスが大きな武器だっただけに、高さを武器とするサッカーをするのであれば、単純に左からクロスを上げさせれば良いのではと思ったのですが、堀米も右SHでの起用が中心。
 この辺りの配置のセンスからも、尹監督に疑問を感じる部分がありました。
 今年はメンバーも入れ替わったことで、うまくはまる布陣を見つけられることができるのでしょうか。

 矢田も昨年終盤は出場機会が減りましたが、SHが入れ替わったことでもう一度チャンスを得ることができるか。
 個人的には福満と被るイメージもあるので、そこで勝負となるかもしれませんし、もう少し何かしらの武器を身に着けたいところかもしれません。
 矢田も今年で30歳となるわけで、周りをリードするようなプレーも期待したいすね。