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開幕戦バーレーンGP、角田はレースマネジメントのうまさを見せ9位

 今年は角田のデビューにホンダのF1撤退にと、日本のF1挑戦においてターニングポイントになりそうなシーズンですので、角田・ホンダの結果に関わらずGPごとに取り上げていこうかなと思っていました。
 しかし、望外に良いレースだったのではないでしょうか。
 特に角田にとっては。

 開幕前にも話した通り、F1は自由競争が基本でマシンごとの差が大きいため、目下のライバルはチームメイトのガスリーとなります。
 開幕戦バーレーンGPでは、FP1でガスリーが1:32.195で7番手、角田が1:33.329で14番手で、FP2では角田が1:31.294で7番手で、ガスリーが1:31.483の9番手。
 FP3ではガスリーが1:31.583で3番手、角田が1:32.709で13番手と一進一退でした。

 もちろんフリー走行ではテスト内容が異なる可能性があり、そこまで厳密なタイムは重要ではありません。
 しかし、毎セッション同程度のギャップをつけられ、そのまま予選・決勝でも後れを取るケースも少なくないので、FP2の1度でも相手を上回ったのは大きかったと思います。
 なお、個人的には0.3秒差程度なら接戦、0.5秒差程度なら負け、1秒差では完敗で、それ以上は差がつき過ぎといったイメージです。


 どちらに転ぶかわからない状況でしたが、驚いたのは角田のQ1のタイム。
 ガスリーの1:30.848を上回った1:30.607を出し、全体で2番手タイムをマーク。
 現在のF1予選はQ1、Q2と遅いドライバーを足切りしていき、Q3のタイムで上位10名の順位を決める形式なので、Q1を本気で走らなかった上位勢も多かったとは思いますが、それでもインパクトは見せつけました。

 けれども、Q2ではミディアムタイヤを履いて13番手に終わり、Q3進出はならず。
 ルール上、Q3進出ドライバーはQ2でタイムを出した時のタイヤでスタートするため、決勝で使いにくいソフトではなく一発は出ないけれどレースでは持つミディアムを選択したのでしょう。
 それだけチームが角田とガスリーを信用したのではないかともいわれていますが、新人には厳しい要求だったようにも思います。


 ガスリーはQ2で0.7秒ほど角田を上回り、Q3でも5位と素晴らしい結果を残します。
 角田もソフトならQ3進出が望めたと思いますが、それよりもガスリーに大きな差をつけられてしまったことが残念。
 角田本人も予選は悔いが残るとコメントしています。

 それでも金曜からマシンの状態が良いことがわかっていたことは、大きなプラス。
 決勝でも粘りの走行が見せられれば、結果が残せるという状況。
 実際、角田はそれを見事にやってのけました。


 決勝では1週目やスタート直後の赤旗中断後の再リスタートで順位を落としてしまいましたが、その後は冷静にレースマネジメントをしていきました。
 中団でライコネンアロンソベッテルといった元チャンピオンが激しく争う中、その後方につけてジッと様子を伺う。
 そして、その争いでタイヤを消耗した相手を、角田がどんどんと抜いていきました。

 レース終盤にも9位ストロールとのポイント圏内を競い、最終ラップでストロールをパス。
 接戦の中、一度は引き離されましたが、一度距離を取ってタイヤを休ませてから最後に仕留めたのではないでしょうか。
 こういった冷静なレースマネジメントはF2から見せていましたが、それがF1でも通用したというのは大きな収穫で、本人も自信になったのではないでしょうか。


 開幕戦での角田の活躍は日本だけでなく欧州でも高く評価されており、現在はF1のマネージメントディレクターを務めるロス・ブラウン海外メディアも称賛。
 F1公式アカウントが主催している5人の審査員で決めるドライバーの評価ランキングでも、開幕戦で5位につけました。

 ただ、まだ1レースだけですし、評価が固まったわけではないでしょう。
 良いものは良い、悪いものは悪いとはっきりしている印象もある欧州メディアですから、今後のレース次第ではどうなるかわかりません。

 レースマネジメントやQ1で見せた速さなどは収穫ですが、全体的に見るとガスリーに遅れることも多かった。
 本人も述べているように、特に予選は悔しさの残るものでもあったと思います。
 また、スタート直後の対応も反省点でしょう。

 予選での速さやスタート直後の対応は、F2でも課題の見られた部分。
 それだけに、今回だけの問題ではないかもしれませんし、今後どれだけ改善できるかが注目だと思います。
 予選5番手だったガスリーが序盤の接触により下位を走り続けることになったように、1つのミスで大きく沈むのがレースの怖さですから、1つ1つ丁寧に克服していかなければいけないと思います。

 2週間空いて次のレースは18日に決勝が行われるイモラ。
 アルファタウリの母国レースでもありますし、ここで活躍することはチーム内の評価を高める上で非常に重要です。
 ライバルチームもこの2週間で修正してくるでしょうし甘くはないと思いますが、次も良いレースを続けてほしいですね。