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2021シーズンを振り返る 高橋壱晟編

 2021年の高橋は、開幕戦甲府戦、第2節愛媛戦で途中出場を果たすと、第3節琉球戦でスタメン出場。
 そのままシーズン序盤は、ボランチでレギュラーとしてプレーしていきます。

 チームの主軸である田口が怪我で出遅れたこと、熊谷も戦線離脱したことが大きかったのでしょう。
 さらにシーズン序盤のジェフは深刻な得点力不足もあって、高橋のミドルシュートに期待したところもあったのではないでしょうか。
 実際、スタメン2試合目となった第4節松本戦では、高橋のミドルからのゴールを守り切って1‐0で勝利しています。


 ただ、高橋がミドルシュートを狙う攻撃が相手チームにばれて、徐々に警戒されていってしまった印象です。
 現に高橋のゴールは松本戦から長らく遠ざかって、次の得点は第31節群馬戦まで待つことになります。
 ミドルシュート狙いが厳しくなっていったこともあり、第11節新潟戦からはピタリとスタメンから外れてしまいました。

 高橋のミドルシュートは確かに見事で、パワーもあって左右両足でシュートを狙うことができ、精度も高く大きくふかしたシーンもあまり記憶にありません。
 ただ、ミドルシュート以外の選択肢が少ないため、前のコースを相手に警戒されただけで、一気に魅力が薄れてしまう。
 高橋も今年でプロ入り6年目となりますが、この5年間での8ゴールはすべてミドルシュートによるものとなっているはずです。


 鋭いドリブルで相手をかわしたり、変化のあるラストパスを出したり、他の選手に預けて飛び込んだりといった他のプレーは、あまり見られない。
 そういった傾向にあるため、2列目や前線での起用を期待する声は多いものの、前方に近い位置でのプレーは難しいのでしょう。
 あくまでも他の選手がゴール前に絡んでいる中で、ボランチから走り込んでいってミドルを狙う、意外性からのシュートが得意な選手ではないかと思います。

 昨シーズン序盤のジェフは前方での攻撃が機能していなかったこともあって、高橋への警戒が強まり苦労したところもあったのかもしれません。
 チームとしても確実に崩す攻撃などが作れない分、積極的にミドルシュートを狙っていた印象もありましたが、主な攻撃がミドル狙いでは厳しいところがありましたね。
 一方で高橋がスタメンを外れた後、ボランチには田口と熊谷が復帰したため、ポジション争いはさらに厳しくなっていきました。


 田口と熊谷が調子を上げていったこともあってか、シーズン後半からの高橋はボランチとしてではなくCBでの出場が目立っていきました。
 初めてCBとしてスタメン出場したのは6月9日の天皇杯大宮戦で、リーグでは10月3日に行われた第32節松本戦でCBで初スタメンを果たしています。
 これまで長らく中盤で起用されてきただけに、驚きのチョイスでした。

 しかし、個人的には高橋のCBには無理がある印象で、半年間CBを経験してもあまり進歩は感じませんでした。
 空中戦に対しても落下点予測やポジション取りが怪しい印象でしたし、地上戦でも相手に裏を取られることに対する警戒が甘かった。
 ボランチでの守備をそのままやっているように見えましたし、終始危なっかしい対応で本人としても戸惑いがあったのかもしれません。


 もともとフィジカルは強いものの、決して守備がうまいタイプではなく、ボランチでプレーしていた策シーズン序盤もアプローチが遅かったり、1対1のドリブル対応にも不安を見せていました。
 ただ、岡野などがいても高橋をCBとして起用したり、最終節岡山戦でも新井一耀を外して高橋をCB起用したくらいですから、尹監督は諦めていないのかもしれません。
 そうなれば他のCBは良い気はしないでしょうが、小島が残留となったことやCBの補強が若手だけだったことからも、まだCB高橋の線を残しているということなのかなとも感じ取れます。


 結局、2021年の高橋はリーグ戦34試合に出場したということで、プロになってから最多出場となっています。
 しかし、シーズン途中からは途中出場がメインだだっため出場時間は1460分と、ルーキーイヤーの1554分の方が長かったことにになります。

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 また、得点数も3ゴールと2020年と同じ数字になったことなり、成績を伸ばしきれなかったとも言えるでしょう。


 改めて高橋は、どこか米倉にも近いものを感じますね。
 人気のある高卒ルーキーで、キック力など明確な"長所"はあるものの、それが試合で"武器"になるほど効果的には活かしきれてはいない。
 二人ともポテンシャルはあるものの、器用とは言い難い選手なだけに、中盤では悩みを抱えてしまう傾向にあるのでしょうか。

 米倉はその悩みを右SBのコンバートによって一気に振り払った印象ですが、高橋はスピードがあるわけではないだけに、中盤以外のポジションは難しい印象もあります。
 中盤で活躍するためにはもっといろんな小技を覚えなければないでしょうし、より賢くプレーする術を学ばなければいけないのかもしれません。
 今年も田口と熊谷の壁は厚いかもしれませんが、なんとか中盤で機能するようになることが、高橋にとっては一番合っているのではないかと思いますし、どうにかこの1年で壁を乗り越えて欲しいですね。