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2021シーズンを振り返る サウダーニャ編

 新型コロナウィルス感染症の影響で、2021年のサウダーニャはチームへの合流が遅れ、ジェフデビューは5月1日の第11節新潟戦での途中出場となりました。
 そのまま翌戦の第12節山口戦で初スタメンを果たすと、続く岡山戦では個人技から豪快なミドルシュートを決めて初ゴール。
 長崎戦でも2試合連続ゴールを決め、レギュラーの座を確実にしていきました。

 サウダーニャはスピードもあって、豪快かつトリッキーな仕掛けで相手を抜き去るドリブルが魅力。
 体幹もしっかりしていて、ちょっとくらいのチャージではびくともしない、強さもある仕掛けを持っている選手だと思います。
 さらに左足でのキックもパワーがあり正確で、ダイナミックなシュートも特徴ですね。


 しかし、ドリブル突破からのシュート以外では、武器がないのが大きな課題でもありました。
 スタメンで起用され始めた頃から不安視していましたが、ヘディングシュートが全く狙えないのが1トップとしては致命的だったと思います。
 185cmと身長はありますが、空中戦で競り合うことができず、ポジショニングにも不安があり、体から飛び込むようなシーンも皆無だったと思います。

 いくらドリブル突破に魅力があると言っても、それだけしか選択肢がなければ相手チームに警戒されて止められてしまう。
 実際、2021年のサウダーニャのゴールは3つ止まりで、そのすべてがスタメン起用されて最初の5試合で決めたもの。
 それ以降は明らかに相手に対策を取られて、封じられてしまったと言っていいでしょう。


 さらに、守備面においても課題があった。
 スピードがあるため要所要所で守備参加はするものの、継続的な守備やポジション修正などは期待できず。
 1トップがプレスに行けないと押し込まれる時間が長くなり、サウダーニャを1トップで起用する時は、引いて守ってロングカウンターがメインとなっていきました。

 そのロングカウンターでサウダーニャがゴールに絡めた時期はまだ良かったですが、前著のようにサウダーニャの個人技も止められるようになってしまった。
 チームとしても、サウダーニャ起用当初こそ成績を残せたものの徐々に低迷。
 結局、サウダーニャのスタメン起用は第25節新潟戦で終わり、そこからは途中出場がメインとなっていきました。


 シーズン終盤のサウダーニャは、右シャドーでのプレーが増えていきました。
 1トップとしては空中戦やポストプレーで期待できない上に、終盤のジェフは成績を上げていき、プレスからのボール回収が原動力となっていった。
 守備に課題の残るサウダーニャの1トップでは、プレスの構築に不安があったのでしょう。

 ただ、右シャドーで起用されたサウダーニャも、大活躍とはいかず。
 右サイドを豪快に仕掛けるシーンなどはありましたが、有効な攻撃は少なかった印象です。
 実際、アシストも第21節群馬戦での1アシストのみで、シーズン後半はゴールもアシストもなかったことになります。

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 確かにサウダーニャの仕掛けは派手で、インパクトのあるものだと思います。
 チームの攻撃に課題がある状況では、サウダーニャの個人技だけに頼る展開になることも珍しくありません。
 見木などはかなりサウダーニャの個人技を買っているのか、サウダーニャを探してボールを預けることが多いですし、周囲の選手も打開力に期待してしまっているところがあったと思います。


 ただ、サウダーニャの場合、周りの選手を活かしたり、自分がうまく活かされたりといった連係プレーが非常に少ない。
 ポストプレーなども得意ではないし、シンプルに叩いて攻撃のリズムを作るといったチームプレーが出来ない。
 そのため、サウダーニャが入るとボールの回りが非常に遅くなり、チーム全体の攻撃不全を起こしてしまう。

 その結果、サウダーニャの個人技に頼らざるを得ない展開が増えるわけで、ある種のマッチポンプのようなものを起こしているように見えました。
 最終節岡山戦でも右シャドーで久々のスタメンを果たしましたが、右WB福満との連携した攻撃などはほとんど見られませんでした。
 ある程度エゴイスティックで守備のしない選手をチームに組み込む手法もわからなくはないですが、それにしてもサウダーニャの場合は極端な印象を受けます。


 それでもチームに残ったのは、新型コロナウィルスの影響もあって新加入の選手獲得に不安があったのかもしれません。
 また、サウダーニャは性格的に明るく、ベンチスタートでも問題は起こしにくいのかなとも感じます。
 個人的には契約延長はなしかなと予想していたのですが、総合的に判断して完全移籍になったということでしょうか。

 今年の新体制発表会で鈴木GMは、若い外国人選手を狙って補強していることを認め、将来の移籍金獲得なども念頭に置いていることを明らかにしています。

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 それを踏まえて考えると、現時点でサウダーニャなどの完成度が低いのも、仕方のないことなのでしょう。
 ただ、大きな癖のある選手ですし、どこまで成長できるのか。
 選手の成長と言っても、その選手の癖などは大幅には変わらないでしょうし、簡単な道筋ではないようにも思います。

 ともかく、現状だとサーカス的なプレーが多すぎますし、もっとストイックにサッカーという競技に打ち込むべきなのかもしれません。
 大きな武器がある一方で、課題も非常に多いですから、そこを1つ1つ改善することが出来るのか。
 クラブとしても若い外国人選手を育てるという新たなチャレンジに挑むことになるはずですから、クラブ全体に問われるものも多くなってくるのかもしれませんね。